マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・テンプテーション

キスの刻印

キスの刻印

著: ヴィッキー・L・トンプソン 翻訳: かたせ美桜
発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・テンプテーション
価格:630円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 ヴィッキー・L・トンプソン(Vicki Lewis Thompson)
 子供のころから自室のクローゼットにこもって詩や物語を書いていたという、天性のストーリーテラーである。アリゾナ大学大学院で修士号を取得したのち、最初は英語教師に、つぎはジャーナリストになったが、満足できなかった。夫の励ましを受けて、ついにロマンス小説家へと転身。以来活躍を続け、黄金の羽根ペン賞をはじめとする数々の賞を受賞、RITA賞にもたびたびノミネートされている。今ではニューヨークタイムズのベストセラーリストの常連。夫ラリーとは偶然立ち寄ったダンスホールで知り合い、一男一女に恵まれた。子供が独立してからは、夫婦で気ままに出かける旅が大きな楽しみだという。自然豊かなアリゾナ州で暮らしている。

解説

 有名な映画監督と元ハリウッド女優の娘でありながら、引っ込み思案で華やかな世界が苦手なモリーは、周囲の期待から逃げるように田舎に移り住んだ。それ以来、女優のゴーストライターとして何作もミステリー小説を書き続けてきた。そろそろ自分の名前でデビューしたい! だが、原稿を読んだエージェントの感想はつれなかった。ラブシーンにリアルさがないというのだ。そこでモリーはリムジン・サービス会社のアレックを相手に、大胆な愛のリサーチを開始することにした。

抄録

「ここみたいなところだね」彼の声は緊張でかすれていた。
「まさにぴったりよ。アレック、この半年ずっとあなたを夢見てきたわ。このホテルの部屋であなたみたいな男性とほんの数時間でも過ごすことができたら、わたしの想像していたことが実現するのよ」
 アレックは震えるように息をついた。「それはすごいプレッシャーだな。君をがっかりさせてしまったらどうしよう」
「あなたのほうががっかりするんじゃないかと心配だわ」
「そんなことはありえないよ」
「いいえ、あるかもしれない」それが最大の心配事だった。「わたしは自分を誤解しているかもしれないもの。自分を解放することも、激しいセックスも、できないかもしれない」
 アレックはため息をついた。「僕には自信がないな。今ここでちゃんとできると約束するわけにはいかないよ」
「試してみてほしいとお願いしているのよ」モリーは期待に震えながら言った。

 アレックはモリーの目を見つめながら、ようやく息をすることを思い出した。こんなにも彼女に求められていると知って嬉しかったが、成功する見込みは低く、失敗する可能性はかなり高い。
 この話に関する経済的処置についても、彼はまだ納得がいかなかった。しかし、彼女が贅沢で匿名性の高いホテルの部屋を希望する理由はわかった。数時間のあいだ、いつもの自分とは違う自分になってみようとしているのだ。その手伝いをしてほしいと言われたなんて、僕は運のいい男だ。
 能力を発揮できるかどうかについてはプレッシャーを感じるが、なんとかして期待に応えなければならない。彼女がAV女優じゃなくてよかった。クライマックスを極めてみたいと思っている満たされない女性だと思うほうが、生活のためにエクスタシーのイメージを作り上げている女性だと考えるよりいい。モリーは手伝ってほしいと言ったのだ。僕は助けを求めている人にはいつだって手を貸さずにはいられない。
 ああ、そうさ。僕は気高い人間だ。彼女の目的のために自分の時間を捧げるのだから。いや、そんなことはないか。でも、彼女の提案に応えることがこんなに勇気のいることだったとは驚きだ。アレックは深呼吸をして言った。「オーケー。やってみるよ」
 モリーは頬を薔薇色に染め、口元を震わせながらほほ笑んだ。「よかった」
「僕にランチの代金を払わせてくれるならね」クレジットカードを使えばいい。払えるかどうかわからない支払い金額をまた増やすのはいやだが、今月このあと二重シフトを組めば、余分な現金収入が見込めるだろう。
「気にすることないのに」
「僕は気にするんだ」
「わかったわ。あなたがランチの支払いをしているあいだに、フロントに行って部屋を取ってくるわ」
 アレックはうなずいてモリーの手を放した。「それがいい」どちらにしろ、彼女がゴールドカードをカウンターにぴしゃりと置いて部屋を取るあいだ、そばにいるのはいやだった。「そのあと、君はここに戻ってくるの?」
「ええ。でも、あなたの分のカードキーを渡したら、わたしは先にひとりで部屋に行くわ。あなたはあとから来て」
「僕がこんな服装をしてるから?」
「あら、違うわ。あなたの服装は気に入ってるわよ。でも、コンドームを買わなくちゃいけないでしょう」
「ああ、もちろん。そのつもりだったよ」すっかり忘れていた。いつもなら絶対に忘れたりしないのに。
「それじゃあ、少ししたら戻るわ」モリーはバッグを手にしてコーヒーショップから出ていった。
 アレックは水を飲み、リラックスした様子を装いながら、こういう成りゆきはいつものことで、ちっとも珍しくないというように座ったままでいた。だが、本当はそんなことはない。そこで、これからの計画を立てておこうと思った。
 まず、薔薇の花を一輪買おう。部屋に入ったら、ゆっくりとモリーに近づいて、差し出すのだ。そして、彼女の目をじっと見つめ、キスをする。モリーを興奮させようと思ったら、手順を決めておくべきだ。ゆっくり進めて、徐々に緊張感を高めていくほうがいいだろう。僕ならできるはずだ。
 ふと、ウエイターにテーブルまで勘定書を持ってきてもらわなければならないことに気がついた。アレックは合図をして、ウエイターを呼んだ。
「何か落ち度がありましたでしょうか、お客様?」
「いや、申し分ないよ」すべてがすばらしかった。目の覚めるような美しい女性に誘われて、彼女の期待にそえないのではないかとびくびくしていることを除けば。「勘定を頼む」
「かしこまりました」
 ウエイターが行ってしまうと、アレックは財布を出して、コンドームと赤い薔薇一輪を買うのに充分な持ち合わせがあるかどうか確かめた。
「お待たせいたしました」ウエイターがアレックの皿の横に革のフォルダーを置いた。「残された料理をお包みいたしましょうか?」

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアはここから無料でダウンロードできます。
詳しくはブンコビューアダウンロード初めての方へをご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。