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誘惑は罪
著: ローリー・フォスター 翻訳: 佐々木真澄発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫、 ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:630円(税込)
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著者プロフィール
ローリー・フォスター(Lori Foster)
愛に対する確固たる信念をセクシーな作風と切れ味のいい文章で表現し、読者の支持を得ている。高校時代からの恋人である夫と三人の息子とともにアメリカのオハイオ州に住んでいる。小説を書くのは大好きだが、いちばん大切なのは、どんなときも家族だと言う。
愛に対する確固たる信念をセクシーな作風と切れ味のいい文章で表現し、読者の支持を得ている。高校時代からの恋人である夫と三人の息子とともにアメリカのオハイオ州に住んでいる。小説を書くのは大好きだが、いちばん大切なのは、どんなときも家族だと言う。
解説
ヴァージニアは家族経営の会社で重要なポストを任されている。そのキャリアに加え、男勝りな性格と冴えない容貌が災いして、なかなか男性には女として見てもらえない。そんなヴァージニアに誘いをかけてきたのが、ディロン。最近会社にやってきたセキュリティ部門の責任者で、男らしくセクシーな彼に、ヴァージニアは夢中になる。だが、運命の人に出会えたと思っていた矢先、事件は起きた。デートの最中、車内でディロンに睡眠薬をのまされたのだ。いったいどういうこと? 混乱しつつ、彼女は意識を失い……。
抄録
ようやくヴァージニアはうなずいた。「ええ、いいわ。それほど気になるなら、私たちの……関係は秘密にしておきましょう。でも、車の中で愛し合うつもりはないわよ。ばかげているもの」
「もちろんしないさ」これこそディロンが待っていたきっかけだった。二週間の努力と果てしない辛抱が終わる。「でも、一日休みをとって、二人きりでどこかへ行って楽しもうよ」彼は唾をのみこみ、言葉を絞り出した。「どうしても君が欲しいんだ、ハニー」
すでにディロンはヴァージニアにキスをしたり触ったりしていなかった。気にさわる、横柄な彼女の口調を聞いているうちに、欲望は消えうせ、ふたたび落ち着きが戻っていた。ヴァージニアには計画の駒になってもらう。目的を果たすためにだまして利用しても、不当に扱うつもりは毛頭なかった。少し恥をかかせるかもしれないが、傷つけはしない。ヴァージニアに近づくのは、クリフの卑劣な計画をやめさせ、弟を救うまでのことだ。
ヴァージニアは首を振っていた。「今はそんなひまはないわ。仕事が山ほどあるの。これから私の家に来てちょうだい。誰にも気づかれないよう、別々にここを出ましょう。あなたは自分の評判をとてもだいじにしているようだから」
ディロンは、あてこするように話すヴァージニアを引っぱたいてやりたいと思った。どう考えても、彼女はほんの一、二時間一緒にいたいだけなのだ。一時の遊びであって、一晩かけて深くかかわる気はないらしい。ばかばかしいことだが、ディロンはひどく侮辱された気がした。いつでも呼べるセックス用の男と決めこまれたようなものではないか。
充分な時間が欲しい。ヴァージニアの信用を得て、弟を破滅させようとしている策略の手がかりをつかまなくては。だが、僕たちが付き合っていることをクリフが嗅ぎつけたら、手がかりどころではなくなる。ディロンは正直に答えた。「だめだよ、危険すぎる。君の家で誰かに見られるかもしれない」
ヴァージニアはおおげさにため息をつき、ディロンをにらみつけた。暗い夜に、はしばみ色の瞳は金色に見える。「あなた、ほんとうにその気があるの? ついさっきまであれほど燃えていたのに、あれこれ難癖をつけるなんて。こんなに神経質、というか、やけに注意深い人は初めてよ」
用心深く目を細め、ディロンはヴァージニアの顔を見つめた。波風を立てないように答えるにはどうしたらいいのだろう。会社の名目上の社長はクリフだが、実質的に経営しているのはヴァージニアだ。弟を泥沼から救うには、彼女だけが頼みの綱だ。
ヴァージニアはふたたびため息をついた。「ごめんなさい。言いすぎたわ。正直言うと、こういうことに慣れていなくて」
そうだろうとも。これほど性格のきつい女を追いかける男がどこにいる? だが先ほどキスをしたときは、やわらかく、しなやかで、女らしかった。実際、ヴァージニアがどれほど冷淡でいばり屋か忘れたほどだ。彼女の意外な面を知ったのは偶然だった。いばらを越えて内側を見ようとした男はそうはいなかったのだ。ウェイドのためでなければ、僕もぜったいに近づこうとしなかっただろう。ディロンはわずらわしくなり、そうしたことは考えまいとした。
「ヴァージニア、面倒だとはわかっているんだが、ほかに……」
「すべて忘れたほうがいいのかも。私は火遊びするタイプじゃないし、とても気まずくなってきたわ」
「だめだ!」今さらやり直す余裕はない。ここまで来るのに、思ったより時間がかかったのだ。だが、ディロンの剣幕にヴァージニアは眉を生意気そうにつりあげた。ディロンは咳払いし、彼女を揺さぶらないようにこぶしを固めなくてはならなかった。「つまりね」ディロンはやっとの思いで甘い声を出した。「君は僕への気持ちまで変えられないよ。僕は君が欲しくてたまらないんだ」おまけとして、ディロンはもう一度ヴァージニアにキスをした。だが、すぐにこれがおまけにすぎないことを忘れ、楽しみはじめた。ヴァージニアが唇を開き、舌と舌が触れ合う。
なんということだ。しかし、いばり屋にしてはすばらしい味だ――熱くて甘くてセクシーで。ディロンは思わずヴァージニアの豊かな胸のふくらみにまた手を伸ばした。セーターとコートごしでも、そのやわらかさが感じられる。ヴァージニアはくぐもった声をあげ、ディロンが唇を離すと、震える声でささやいた。「都合をつけられるかどうか考えさせて。今週中に連絡するわ」
ディロンがとめる間もなく、ヴァージニアは車のドアを開けた。だが、これでよかったのだ、と彼は思った。私道には車がずらりと駐車していた。行き来する人々に二人の姿を見られたかもしれない。ディロンは目先のことにとらわれるあまり、不注意になっていた。
誰もディロンの正体を知らなかった。いや、知られてはならない。なぜなら、ヴァージニアの信頼を得てクリフの策略をつぶしたら、ディロンは姿を消すつもりだったからだ。ヴァージニアとの関係を疑われたら、計画は失敗する。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「もちろんしないさ」これこそディロンが待っていたきっかけだった。二週間の努力と果てしない辛抱が終わる。「でも、一日休みをとって、二人きりでどこかへ行って楽しもうよ」彼は唾をのみこみ、言葉を絞り出した。「どうしても君が欲しいんだ、ハニー」
すでにディロンはヴァージニアにキスをしたり触ったりしていなかった。気にさわる、横柄な彼女の口調を聞いているうちに、欲望は消えうせ、ふたたび落ち着きが戻っていた。ヴァージニアには計画の駒になってもらう。目的を果たすためにだまして利用しても、不当に扱うつもりは毛頭なかった。少し恥をかかせるかもしれないが、傷つけはしない。ヴァージニアに近づくのは、クリフの卑劣な計画をやめさせ、弟を救うまでのことだ。
ヴァージニアは首を振っていた。「今はそんなひまはないわ。仕事が山ほどあるの。これから私の家に来てちょうだい。誰にも気づかれないよう、別々にここを出ましょう。あなたは自分の評判をとてもだいじにしているようだから」
ディロンは、あてこするように話すヴァージニアを引っぱたいてやりたいと思った。どう考えても、彼女はほんの一、二時間一緒にいたいだけなのだ。一時の遊びであって、一晩かけて深くかかわる気はないらしい。ばかばかしいことだが、ディロンはひどく侮辱された気がした。いつでも呼べるセックス用の男と決めこまれたようなものではないか。
充分な時間が欲しい。ヴァージニアの信用を得て、弟を破滅させようとしている策略の手がかりをつかまなくては。だが、僕たちが付き合っていることをクリフが嗅ぎつけたら、手がかりどころではなくなる。ディロンは正直に答えた。「だめだよ、危険すぎる。君の家で誰かに見られるかもしれない」
ヴァージニアはおおげさにため息をつき、ディロンをにらみつけた。暗い夜に、はしばみ色の瞳は金色に見える。「あなた、ほんとうにその気があるの? ついさっきまであれほど燃えていたのに、あれこれ難癖をつけるなんて。こんなに神経質、というか、やけに注意深い人は初めてよ」
用心深く目を細め、ディロンはヴァージニアの顔を見つめた。波風を立てないように答えるにはどうしたらいいのだろう。会社の名目上の社長はクリフだが、実質的に経営しているのはヴァージニアだ。弟を泥沼から救うには、彼女だけが頼みの綱だ。
ヴァージニアはふたたびため息をついた。「ごめんなさい。言いすぎたわ。正直言うと、こういうことに慣れていなくて」
そうだろうとも。これほど性格のきつい女を追いかける男がどこにいる? だが先ほどキスをしたときは、やわらかく、しなやかで、女らしかった。実際、ヴァージニアがどれほど冷淡でいばり屋か忘れたほどだ。彼女の意外な面を知ったのは偶然だった。いばらを越えて内側を見ようとした男はそうはいなかったのだ。ウェイドのためでなければ、僕もぜったいに近づこうとしなかっただろう。ディロンはわずらわしくなり、そうしたことは考えまいとした。
「ヴァージニア、面倒だとはわかっているんだが、ほかに……」
「すべて忘れたほうがいいのかも。私は火遊びするタイプじゃないし、とても気まずくなってきたわ」
「だめだ!」今さらやり直す余裕はない。ここまで来るのに、思ったより時間がかかったのだ。だが、ディロンの剣幕にヴァージニアは眉を生意気そうにつりあげた。ディロンは咳払いし、彼女を揺さぶらないようにこぶしを固めなくてはならなかった。「つまりね」ディロンはやっとの思いで甘い声を出した。「君は僕への気持ちまで変えられないよ。僕は君が欲しくてたまらないんだ」おまけとして、ディロンはもう一度ヴァージニアにキスをした。だが、すぐにこれがおまけにすぎないことを忘れ、楽しみはじめた。ヴァージニアが唇を開き、舌と舌が触れ合う。
なんということだ。しかし、いばり屋にしてはすばらしい味だ――熱くて甘くてセクシーで。ディロンは思わずヴァージニアの豊かな胸のふくらみにまた手を伸ばした。セーターとコートごしでも、そのやわらかさが感じられる。ヴァージニアはくぐもった声をあげ、ディロンが唇を離すと、震える声でささやいた。「都合をつけられるかどうか考えさせて。今週中に連絡するわ」
ディロンがとめる間もなく、ヴァージニアは車のドアを開けた。だが、これでよかったのだ、と彼は思った。私道には車がずらりと駐車していた。行き来する人々に二人の姿を見られたかもしれない。ディロンは目先のことにとらわれるあまり、不注意になっていた。
誰もディロンの正体を知らなかった。いや、知られてはならない。なぜなら、ヴァージニアの信頼を得てクリフの策略をつぶしたら、ディロンは姿を消すつもりだったからだ。ヴァージニアとの関係を疑われたら、計画は失敗する。
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