和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・プレゼンツ スペシャル
著者プロフィール
アン・メイジャー(Ann Major)
USAトゥデイのベストセラーリストに載り、他の大人気作家たちからも賛辞を寄せられる。中でもサンドラ・ブラウンは“表紙に彼女の名前がある――すなわち、その本はいい読み物を意味する”と絶賛。生粋のテキサス人で、英文学とスペイン文学の修士号を持ち、二年間教師をしていたこともある。英語、スペイン語はもちろん、フランス語も堪能。作家としての輝かしいキャリアに加え、三十年続けてきたピアノのほうもプロ並みの腕前。旅行に行くのが好きで、趣味は夫とコロラド山中をハイキングすることだという。
USAトゥデイのベストセラーリストに載り、他の大人気作家たちからも賛辞を寄せられる。中でもサンドラ・ブラウンは“表紙に彼女の名前がある――すなわち、その本はいい読み物を意味する”と絶賛。生粋のテキサス人で、英文学とスペイン文学の修士号を持ち、二年間教師をしていたこともある。英語、スペイン語はもちろん、フランス語も堪能。作家としての輝かしいキャリアに加え、三十年続けてきたピアノのほうもプロ並みの腕前。旅行に行くのが好きで、趣味は夫とコロラド山中をハイキングすることだという。
解説
乗っていた飛行機が真冬のメキシコ湾に墜落したとき、名門ケンブル一族の令嬢ミアは死を覚悟した。奇跡的に九死に一生を得たものの、いわれなき嫌疑をかけられ、いまミアはメキシコで獄中生活を送っている。このままでは一生ここで暮らすことになってしまう。絶望の日々を送るミアを救いに来たのは、シャンハイ・ナイト――幼いころから憧れていた男性だった。
抄録
「あなたのことが心配でしかたなかったの。ここへ来ずにはいられなかったの」
長いまつげに縁取られた大きな茶色の瞳が彼を見つめた。彼女の赤い髪で雨粒がダイヤモンドのように光っている。シャンハイは、彼女の上を向いたキュートな鼻の先についた、ひと粒の水滴をじっと見つめた。彼女はいつもとは違い、口紅とアイライナーをつけていた。
「そんなに口説かれたいなら、僕のようなカウボーイの家まで押しかけて、そいつらに身を投げ出せ」
「あなたはそんな人じゃない。お互いにわかってるじゃない。あなたはいい人だもの」
「いい人だと? まったく世間知らずなお嬢さんだな。男はいい人間なんかじゃない。みんな、君をものにしようと、待ち構えているんだぞ」
「スポットはどこ?」
「家だ」
ミアががちがちと歯を鳴らし始めた。腕をこすって体を温めようとしている。
「君の親父さんに見つかったら、僕は刑務所行きだ。僕は年を取って頭が真っ白になるまで出られなくなる。十八歳になってから、出直してくれ」
「その前に、あなたが別の女の子に……たとえば、ウエンディ・ハーパーに、取られちゃったらどうすればいいの?」
シャンハイは黙っていた。
「ずぶ濡れで、寒くてしかたないわ。毛布か、シャツか何か貸してくれてもいいじゃない」ミアは短く息をのんだ。彼女は、シャンハイよりもずっと不安を感じているのだ。
すると、ミアは彼の椅子の背もたれにかけてあった湿ったシャツを取り上げ、袖に腕を通した。自分の腕よりも袖のほうが長いことに気づくと、袖をまくり上げた。
「どうして言われたことができない?」
「言うことをきいていたら、したいことができないもの」いったん言葉を切り、シャツを引っ張って、はおった。
「僕が捕まえて抱き寄せたらどうする? 君に一、二回キスをしたら? もう僕にかまうことなく、君と同年代の男たちを追いかけてくれるかい?」
ミアは体を起こしてシャンハイに向き直った。にっこりと笑い、唇をすぼめる。「神に誓うわ。嘘だったら死んでもいい」
「君はどうしようもないな。女は男に自分を追わせるようしむけるものなんだぞ」
「ばかばかしい。あなたは私のことなど追ってくれないじゃない」
「君が若すぎるからだ」
「私が大人になったら、そう十八歳になったら、本当に……」
「君はケンブル一族の人間だ」
「キスして」ミアは眠りを誘うような低い声でささやいた。「あなたを追放するっていうパパの言葉が本気なら、これが私にとって最後のチャンスかもしれない。私は一生、知らずに過ごさなければならなくなるのよ……あなたがどんな人かということを」
シャンハイは自分が何をしているのかも理解できないまま彼女に近づき、頭をかがめて彼女の頬に唇をそっと近づけた。唇が触れたら飛びのくつもりだった。「ほら、さあ帰れ!」
「してほしかったのはこんなキスじゃない。わかってるくせに!」
ミアが優しくシャンハイの肩をつかんでしがみついた。ミアの手を振りほどこうとしたが、彼女の息があたり、頬がかっと熱くなった。彼の大きな体に寄り添う彼女の体は、もはや子供というよりまさに女性そのものだった。
心臓が痛いほどに重々しく打ち始めた。それだけでも地獄で焼かれるに値することだ。
「唇にして。お願い。ロデオのときに、ウエンディにしてたみたいに」
「見てたのか!」
「一度だけよ――お願い」
シャンハイはさっと体を引いた。それでも、欲しいものをなんとしても手に入れようとする彼女のやり方にはひそかに感心していた。
ミアは頬に手をあてた。「なんだか、ここがすごく熱いわ。あなたに触れられたところ……」
どういうわけか、彼の唇も彼女へのキスのせいでひどく熱を帯びていた。
彼女は無邪気だが、積極的で、そして実に魅力的だった。
十歳若ければよかった。そうすれば彼女を抱きしめても、自分が悪者であるような気にならなくてすむのに。
一秒たりともその状態に耐えられなくなったシャンハイは、外に出てポーチに立ち、雨を見つめた。
ミアがあとを追ってきた。
「さあ、もう帰るんだ。約束だぞ」
ミアは首を横に振った。「口にしてくれなくちゃだめ」彼女の声はあまりに小さく、雨の音にかき消されそうで、シャンハイは必死に耳を澄ませなければならなかった。
ケンブル一族の人間をかばうのは、どうも落ち着かない。特に、彼女がこれほどまでに美しいときては。
「ミア――」
振り返ったシャンハイの目に入ってきたのは、ポーチのランプの光を背後から浴びた彼女の姿だった。だめだ、彼女はまだ子供なんだぞ。濡れて体の線が浮き出たドレスを身につけ、大きな目で彼の口をじっと見つめる彼女は、さわやかで若々しい色気と女性らしさそのものだった。
「行け」
「どうして、まだ、私があげた七面鳥の羽根を帽子につけているの?」
「別に意味はない」
*この続きは製品版でお楽しみください。
長いまつげに縁取られた大きな茶色の瞳が彼を見つめた。彼女の赤い髪で雨粒がダイヤモンドのように光っている。シャンハイは、彼女の上を向いたキュートな鼻の先についた、ひと粒の水滴をじっと見つめた。彼女はいつもとは違い、口紅とアイライナーをつけていた。
「そんなに口説かれたいなら、僕のようなカウボーイの家まで押しかけて、そいつらに身を投げ出せ」
「あなたはそんな人じゃない。お互いにわかってるじゃない。あなたはいい人だもの」
「いい人だと? まったく世間知らずなお嬢さんだな。男はいい人間なんかじゃない。みんな、君をものにしようと、待ち構えているんだぞ」
「スポットはどこ?」
「家だ」
ミアががちがちと歯を鳴らし始めた。腕をこすって体を温めようとしている。
「君の親父さんに見つかったら、僕は刑務所行きだ。僕は年を取って頭が真っ白になるまで出られなくなる。十八歳になってから、出直してくれ」
「その前に、あなたが別の女の子に……たとえば、ウエンディ・ハーパーに、取られちゃったらどうすればいいの?」
シャンハイは黙っていた。
「ずぶ濡れで、寒くてしかたないわ。毛布か、シャツか何か貸してくれてもいいじゃない」ミアは短く息をのんだ。彼女は、シャンハイよりもずっと不安を感じているのだ。
すると、ミアは彼の椅子の背もたれにかけてあった湿ったシャツを取り上げ、袖に腕を通した。自分の腕よりも袖のほうが長いことに気づくと、袖をまくり上げた。
「どうして言われたことができない?」
「言うことをきいていたら、したいことができないもの」いったん言葉を切り、シャツを引っ張って、はおった。
「僕が捕まえて抱き寄せたらどうする? 君に一、二回キスをしたら? もう僕にかまうことなく、君と同年代の男たちを追いかけてくれるかい?」
ミアは体を起こしてシャンハイに向き直った。にっこりと笑い、唇をすぼめる。「神に誓うわ。嘘だったら死んでもいい」
「君はどうしようもないな。女は男に自分を追わせるようしむけるものなんだぞ」
「ばかばかしい。あなたは私のことなど追ってくれないじゃない」
「君が若すぎるからだ」
「私が大人になったら、そう十八歳になったら、本当に……」
「君はケンブル一族の人間だ」
「キスして」ミアは眠りを誘うような低い声でささやいた。「あなたを追放するっていうパパの言葉が本気なら、これが私にとって最後のチャンスかもしれない。私は一生、知らずに過ごさなければならなくなるのよ……あなたがどんな人かということを」
シャンハイは自分が何をしているのかも理解できないまま彼女に近づき、頭をかがめて彼女の頬に唇をそっと近づけた。唇が触れたら飛びのくつもりだった。「ほら、さあ帰れ!」
「してほしかったのはこんなキスじゃない。わかってるくせに!」
ミアが優しくシャンハイの肩をつかんでしがみついた。ミアの手を振りほどこうとしたが、彼女の息があたり、頬がかっと熱くなった。彼の大きな体に寄り添う彼女の体は、もはや子供というよりまさに女性そのものだった。
心臓が痛いほどに重々しく打ち始めた。それだけでも地獄で焼かれるに値することだ。
「唇にして。お願い。ロデオのときに、ウエンディにしてたみたいに」
「見てたのか!」
「一度だけよ――お願い」
シャンハイはさっと体を引いた。それでも、欲しいものをなんとしても手に入れようとする彼女のやり方にはひそかに感心していた。
ミアは頬に手をあてた。「なんだか、ここがすごく熱いわ。あなたに触れられたところ……」
どういうわけか、彼の唇も彼女へのキスのせいでひどく熱を帯びていた。
彼女は無邪気だが、積極的で、そして実に魅力的だった。
十歳若ければよかった。そうすれば彼女を抱きしめても、自分が悪者であるような気にならなくてすむのに。
一秒たりともその状態に耐えられなくなったシャンハイは、外に出てポーチに立ち、雨を見つめた。
ミアがあとを追ってきた。
「さあ、もう帰るんだ。約束だぞ」
ミアは首を横に振った。「口にしてくれなくちゃだめ」彼女の声はあまりに小さく、雨の音にかき消されそうで、シャンハイは必死に耳を澄ませなければならなかった。
ケンブル一族の人間をかばうのは、どうも落ち着かない。特に、彼女がこれほどまでに美しいときては。
「ミア――」
振り返ったシャンハイの目に入ってきたのは、ポーチのランプの光を背後から浴びた彼女の姿だった。だめだ、彼女はまだ子供なんだぞ。濡れて体の線が浮き出たドレスを身につけ、大きな目で彼の口をじっと見つめる彼女は、さわやかで若々しい色気と女性らしさそのものだった。
「行け」
「どうして、まだ、私があげた七面鳥の羽根を帽子につけているの?」
「別に意味はない」
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2011/6/20
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・プレゼンツ スペシャル
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>愛の復活/運命の再会
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>初恋
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>サスペンス
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・プレゼンツ スペシャル
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>愛の復活/運命の再会
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>初恋
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>サスペンス
形式
【XMDF形式】
XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアはここから無料でダウンロードできます。
詳しくはブンコビューアダウンロード初めての方へをご覧下さい。
対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。
































