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楽園の罠に落ちて

楽園の罠に落ちて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

解説

 ソフィーは兄のジェイクから相談を持ちかけられて困惑した。モニカという女性と結婚したいのだが問題があるという。モニカの兄ダニエルは両親の死以来、妹を自分の手で育ててきた。それゆえ保護者意識が強く、ジェイクとは以前から仲が悪い。そこで、なんとかあいだを取り持ってもらえないかというのだ。ソフィーはダニエルの会社に出向き、ようやく面会までこぎつけた。だが、成功した男のオーラをまとう彼の魅力に気圧されて説得は失敗。さらにきつい言葉を浴びせかけられてしまう。「財産目当ての男になど妹は渡さない!」彼の目の奥に怒り以上の何かがあるとソフィーは気づき、愕然とした。

抄録

 それは彼の目のせいだ、と自分を見下ろすダニエルを見ながらソフィーは思った。彼の目が放つ熱がソフィーの目に伝わり、それが彼女の体じゅうに広がっていくのだ。その目が伝えてくることは筋の通らないことなのに、それでもソフィーの爪先は靴のなかで丸まった。
 ダニエルがほほ笑み、手を伸ばしてきた。手の甲で頬を優しく撫でられ、ソフィーの体に電流が走る。視野が狭くなり、彼の肩しか見えない。
「今きみに“ぼくと結婚してくれ”と言ったら、きみはイエスと答えるのか?」
 彼の声ははるかかなたから聞こえてくるように思えた。彼の親指が顎を撫で、ソフィーの唇からため息がもれる。「ミスター・カルアナ……」彼女は言葉をのみこんだ。思考が混乱している。わたしは帰るはずだった。間違いなく帰るところで、それまで二人は口論していたはずだ。それなのに、これはなんだっていうの?
「ダニエルだ」彼は言った。その声はまるでチョコレートのようになめらかで豊かで、禁断の響きがした。「ミスター・カルアナはもう飽きた。ダニエルと呼んでくれ。ぼくもきみをソフィーと呼ぼう」
「ミスター・カルアナ」そう言ってから、ソフィーは言い直した。「ダニエル」そして唇をなめた。そう呼ぶことはあまりに親密に感じられる。
 ダニエルはさらに近づいてきた。彼の手がソフィーの首にあてられ、自分のほうに引き寄せる。「きみはどう答える?」
 この質問には何か意味があると彼女は気づいていた。それがなんなのかわかりさえすればいいのに。だが、ダニエルの男性らしい香りに包まれていると、彼が何を尋ねているのか理解できなかった。ただ本能的にそんなことは起こるはずはないと思っているだけだった。ソフィーは論理の細い糸にしがみついた。彼の唇が彼女の唇をかすめ、さらにもう一度最初のときと同じくらい軽くかすめたときでさえ、しがみついていた。
 ソフィーの体は震え、膝が曲がりそうになった。抱き寄せられて、組んだ腕が彼の胸に押しつけられると、その腕が守っている書類入れがここにいる理由を思い出させてくれた。
 それに妹の結婚に反対するような男性に誘惑されるわけにはいかない! ソフィーはダニエルの胸の感触がいかに心地よいか考えるまいとしながら、自由にできる片手で彼の胸を押し返した。それでも首にあてられた彼の手がさらに引き寄せようとする。
 ソフィーは顔を背けた。今度は頬に彼の温かい息を感じた。「ミスター・カルアナ」そして懇願した。二人のあいだに距離を置くために親密さをなくす必要がある。「こんなのばかげているわ。わたしたちはお互いをほとんど知らないのに」
 ダニエルがさっと背を向け、手が離れた。とたんに彼がいた場所に冷たい空気が満ちた。「それこそぼくが言いたいことだ」彼は怒ったように言うと、髪をかきむしりながら外の景色に目をやった。「ぼくたちはお互いをほとんど知らない。それなのに、ぼくの妹が出会ってほんの一カ月の男と結婚することを、きみはまともだと考えているようだ」
「でも、ジェイクは初対面で妹さんを乱暴に扱ったりはしなかったでしょうね」
 ダニエルは肩をこわばらせ、振り向いた。ソフィーは彼の目を見るまでもなく後悔していた。「いいか、ぼくがきみを乱暴に扱っていたなら、はっきりした跡を残していただろう」
 ソフィーの背筋に震えが走ったが、それを隠すためにできるかぎり自分を抑えた。彼はシルクのように柔らかく触れ、それだけで跡を残すのに充分だった。彼の情熱をもろに浴びたら、どれほどすばらしいことになるのだろう?
 そう、わたしは彼の言葉を信じる。だから今すぐここから逃げ出さなくてはならない。わたしはプロのウエディング・プランナーのはずだ。プロは自分が手配している結婚式の家族とつきあうわけにはいかない。たとえ花婿が自分の兄であっても。いや、兄だからこそ、あってはならないのだ。「言ったでしょう、わたしは帰らないといけないの」
 そう、彼女がここを去るのが早ければ早いほどいい、とダニエルは考えた。彼女は頬を染め、髪を乱し、目を見開いて警戒している。ぼくに再びキスされるのを恐れているようだ。彼女がそんな目で見続けたら、そうなる可能性は大いにある。
 ぼくはなぜこんなことをした? お互いをよく知らないうちに結婚することがいかにばかげているかを証明したかったのだ。それなのに途中で迷子になった。彼女の頬の官能的な曲線と女性特有の温かな香りとのあいだで。
「きみを空港まで送る車が下で待っている」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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