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アフロディーテの醜聞

アフロディーテの醜聞


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ゲイル・ウィティカー(Gail Whitiker)
 英国ウェールズ生まれ。幼いころ、両親と共にカナダに移り住んだ。リージェンシー・ロマンスとの出会いをきっかけに才能を開花させ、作家デビューを飾る。当時の歴史や社会、優雅な言葉遣いに魅力を感じるという。余暇には旅行やスキューバダイビング、ゴルフを楽しむ。バンクーバー島在住。

解説

 十八歳で天涯孤独の身となったデジレーは、亡き両親から受けた教育を頼りに女学園の教師として働いている。ある夏の暑い日、息抜きに森の奥にある美しい水辺に足を伸ばし、衣服を脱ぎすてて水と戯れていると、突然、“アフロディーテ”と甘い声で呼びかけられた。木陰にたたずんでいたのは放蕩者と名高いバックワース子爵。彼は賞賛するようにデジレーを眺めまわし、ぶしつけにも、愛人にならないかと持ちかけてきた。デイジーは情婦になるつもりはない、と憤慨して即座に断った。子爵の不届きな申し出を受けざるを得ない日がくるとは思わずに。

抄録

「さあ、アフロディーテ、どうする?」男がそそのかすようにささやいた。「ぼくと暮らし、ぼくの恋人になってくれ。ふたりで数々の楽しみを味わおう」
 《若き羊飼いの恋歌》として有名なマーローの詩を悪用され、デジレーの目に怒りの火花が散った。「あなたのすばらしい申し出をうれしがるとでも思っていらっしゃるんでしょうが、わたしはそんなことで口説き落とされる愚かな羊飼いの娘ではありません。あなたの歓心を買うためだけに生きることをいとわないどこかの尻軽女とも違います」
「ふたりいっしょに楽しむんだ」彼は口先もなめらかに言った。「ぼくは愛を与えることと与えられることの両方に喜びを感じると請け合おう」
 ふいにデジレーは耐えきれなくなった。自分はいま森の中で首まで水につかり、妖精の羽のように透けるシュミーズ姿で、世間話でもするように見知らぬ男と会話している。ロンドンへ行って彼の愛人になるかどうかという話を!
 まったく、彼はサイウェル侯爵と変わらないわ。この付近に住む娘たちを摘みごろの熟した果実と見なしていたあの老人と。
「あなたの愛人になりたいとは思いませんし、誰の愛人にもなりません」デジレーはきょうエリザベス・ペリーを懲らしめたときの声とそう違わない声で言った。「わたしは利口な女で、自分をとても高く評価しておりますので、そんなまねをして自分の価値を落とすことなどできません。でも、心配なさらないで。あなたの申し出にふたつ返事で飛びつく女は大勢いますわ。さて、あなたがしばらくこちらに背を向けてわたしを見ないようにしていてくだされば、これで失礼します」
 一瞬のためらいはあったものの、男はしぶしぶうなずいた。「いいだろう。セバスチャン・ムーアはご婦人が望まぬことを無理強いする男だなどと言われては困るからな。男と女が密通するときは、お互いに対する敬意と親愛の情がなければ、どんな満足感も得られるものではない。たとえこんな触れ合いでも」
 そう言うと、男はいきなり顔を寄せ、デジレーにぴたりと唇を重ねた。熱い唇で彼女の口を我が物顔に覆いながら、腰にしっかり片腕をまわし、自分の固く引き締まった大きな体に引き寄せた。
「さらば、アフロディーテ」唇を重ねたまま男はつぶやいた。「きみのことやこの偶然の出会いのことは、しばらくは忘れられないだろう」
 セバスチャン・ムーアと名乗った男は彼女に背を向け、もと来た方角へ泳ぎだした。
 森の静けさに包まれ、デジレーは水の中に立ったまま、泳ぎ去る彼をじっと見送った。その姿が視界から消えたあともずっと見ていた。着替えをして急いで学校に戻るべきなのはわかっているが、仕事だの義務だのという考えはなぜか頭の隅へ追いやられていた。彼の指がそっと胸をかすめたときのことが頭を離れない。あんなふうに触れられたのははじめてだ。体がかっと燃え、同時に氷のように冷たいと感じたのははじめてだった。
 そしてあのキス。重ねられた唇は信じられないほど柔らかく、それでいて断固としていた。自分のひんやりした唇に重ねられた彼の唇の熱さは、興奮と、息が切れるような奇妙な感覚を呼び覚ました。
 でも、自分の心を裏切るようなあんな反応を体から引き出したセバスチャン・ムーアというのは何者だろう? 彼の声がなぜまだ心にまとわりついているのだろう? あの男はわたしに愛人になれと言った! わたしをひとかけらの敬意もなく扱い、紳士ならば決してレディにこんな口のきき方はしないという物言いで話しかけてきた。わたしにキスまでして――それも、許しも請わずに! もちろん、あんな勝手なことをする男は、そして明らかにわたしを軽く見てひとりの人間として扱わないような男は、うんざりだわ。
 ええ、もちろんうんざりよ。ガーディング女学園に戻ったら、ヘレンにこの話をしてふたりで笑いころげよう。そして、あんな不届きな男には二度と会わないのがなによりだ、と自分に言い聞かせよう。
「そのうちきっと、本当にそう思えるようになるから」デジレーは小さくつぶやきながら、ゆっくりと水から上がって、身支度をはじめた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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