和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
著者プロフィール
ジャネット・ケニー(Janette Kenny)
アメリカ中西部カンザス州に生まれる。父親は大衆小説、母親は古典文学を彼女に読ませ、本を通して想像もつかない世界を見て育った。やがて、祖母の屋根裏部屋でハーレクイン・ロマンスを見つけ、“恋に落ちた”という。馬に乗ってミシシッピから西部まで歴史をたどる旅をしたこともあり、これまでヒストリカル・ロマンスで二度の受賞歴がある。
アメリカ中西部カンザス州に生まれる。父親は大衆小説、母親は古典文学を彼女に読ませ、本を通して想像もつかない世界を見て育った。やがて、祖母の屋根裏部屋でハーレクイン・ロマンスを見つけ、“恋に落ちた”という。馬に乗ってミシシッピから西部まで歴史をたどる旅をしたこともあり、これまでヒストリカル・ロマンスで二度の受賞歴がある。
解説
ジェンマの上司チェーザレが病に倒れ、不仲の息子ステファノが代理をつとめることになった。ああ、どうしよう!実はジェンマとチェーザレには二人しか知らない秘密があり、ある理由から、彼女は毎月多額のお金をボスから受け取っている。そのせいでステファノはジェンマを父親の情婦だと思いこみ、母親の死の原因にもなったと信じて憎んでいるのだ。もし真相を知られてしまえば、チェーザレは窮地に追いこまれる。そんなジェンマの戸惑いをよそに、ステファノは帳簿を前に彼女に冷酷な言葉を浴びせはじめた。「金を一括で返してもらう。さもなくば、君を僕の愛人にするまでだ」
■ボスの秘密をどうしても明かせないがゆえに、しかたなくステファノの愛人になるジェンマ。その実、彼に惹かれる気持ちも止められず……。はたして二人のじれったい恋のゆくえは?期待の新人ジャネット・ケニーの作品は来月もお届けします。
■ボスの秘密をどうしても明かせないがゆえに、しかたなくステファノの愛人になるジェンマ。その実、彼に惹かれる気持ちも止められず……。はたして二人のじれったい恋のゆくえは?期待の新人ジャネット・ケニーの作品は来月もお届けします。
抄録
ステファノはジャングルをうろつく豹にも似た、しなやかな動きでジェンマに近づいてきた。
ステファノが視線でジェンマを口説いていることは、見間違いようがなかった。暗くけぶるステファノの瞳には、同じように官能を高ぶらせたジェンマ自身の顔が映っている。
「したくてたまらなかったことって?」動くこともままならず、ジェンマにはそれだけ言うのが精いっぱいだった。
ステファノは両手の指をジェンマの髪に差し入れ、彼女の頭をしっかりとつかんだ。わたしにキスするつもりなんだわ、とジェンマは思った。
ジェンマの頭は逃げなさいと叫んでいたが、体はわれしらず彼に引き寄せられていた。
「だめよ」ジェンマは弱々しく抗議の声をあげた。
もちろんステファノは聞く耳を持たなかった。
唇が重なった瞬間、それまで知らなかった快感が全身を駆け抜けた。膝から力が抜け、ジェンマはよろめいた。
激しいキスがもたらす官能の嵐に、ジェンマは恐れおののいた。もしステファノが自分の欲望をすべて解き放ち、思うさまわたしを求めてきたら、彼を押しとどめる術などない。
何より、わたしのほうが、ステファノのキスと愛撫でもたらされた快感に屈せずにはいられないだろう。
ジェンマは彼から逃れようと、その広い胸に両手を押しつけた。ところがシルクのシャツで手が滑り、相手を押しのけるどころか、遠ざけることさえできなかった。
「美しい人《ベラ》」ステファノはささやくと、さらにキスを深めた。
ジェンマはステファノの胸に指を広げ、そのたくましく力強い感触におののいた。
ステファノはまるで太陽のように熱かった。めくるめく熱い官能がジェンマに伝わり、渦を巻くように体内に広がっていく。
これ以上近くにいたら、溶けてしまいそうだ。なのにジェンマはステファノを押しやることもできず、全身を包む官能の悦びにわれを忘れていた。
ステファノの喉から低いうめきがもれた。ステファノは唇を重ねたまま、ジェンマの体を引き寄せ、かき抱いた。長々と続くキスが、高らかに情熱を歌い上げるアリアのように、ジェンマの五感を酔わせた。
ずっと、こんなふうにキスで愛を交わしてくれる男性が現れるのを待っていたような気がした。ゆっくり舌を絡みあわせ、崇めるように、それでいて奔放な情熱のおもむくままに唇を重ねてくれる男性を。
ジェンマは欲望の波にさらわれ、太陽であるステファノに導かれるがままに、血を熱くたぎらせていた。ジェンマはわれしらず彼の背に手をまわし、さらに強くしがみついていた。
ステファノが片手でジェンマの頭を支え、もう一方の手でゆっくりと彼女の体を探りはじめた。うやうやしいと言ってもいいほどの優しい愛撫に、目に涙が浮かんだ。彼女は炎に引き寄せられる蛾のように、さらに身をすり寄せた。
ステファノは惜しげもなく与えてくれた。荒々しさはみじんも感じさせず、むしろゆっくりと崇めるように、ジェンマの口と体を探り続けた。
やがて彼が唇を離した。ジェンマはキスが終わったことに抗議するように低くうめき、彼の目を見上げた。
もはやステファノの瞳に情熱の炎は燃えておらず、ただ嘲るような冷ややかな光があるだけだった。ふいにジェンマは、自分がステファノの腕に抱かれ、ぴったり体を押しつけていることを、熱く脈打つステファノの欲望の証が腹部に押し当てられていることを痛いほどに意識した。
「君とベッドをともにしたい。君も僕と同じ気持ちのはずだ」ステファノはわずかに身を離し、紅潮したジェンマの頬に指を走らせた。「でも、その前にビアレッジョでディナーの約束だったな。お楽しみはディナーのあとで。いいかい?」
ぼんやり霞がかかったような頭が、ステファノに言われたことを理解するのに少し時間がかかった。ジェンマは慌てて身を離し、“君はいますぐ体の関係を持ちたがっている”とほのめかしたステファノを憎らしく思った。だが同時に、欲望の波にさらわれてしまった自分自身にも腹が立った。
「いいえ。ディナーのあとだろうがいつだろうが、今後いっさい、そんなことにはなりません」
さっき熱烈なキスをしてくれた唇が、固く引き結ばれた。みだらな輝きの消えた目にいらだちが浮かび、ステファノは鋭い視線でジェンマを見つめた。
「それはどうかな」
ジェンマは黙って首を横にふった。議論したところで無意味だったからだ。
ステファノは類まれな美貌と体格に恵まれた、自信たっぷりのプレイボーイだ。そのうえ金持ちときている。どんな女性も喜んで自分のベッドに飛びこんでくると信じているに違いない。
ステファノにかき立てられた歓喜の波はすばらしく、われしらず激しいキスを返してしまった。だから彼は、わたしがさらに親密な体の関係を求めていると誤解したのだろう。初心なわたしには、誘惑への免疫などまるでないに等しいのに。
ステファノはジャケットをはおった。すると、優しかった恋人が尊大な専制君主に逆戻りしてしまった。「行くぞ」
ビルを出るまでの間、ジェンマはステファノがこちらの背中に手を添えるのをがまんしなければならなかった。いやおうなく彼に惹かれてしまうのはいやだったが、熱い思いを押しつぶすこともできない。
早く借金を返して、ただのボスと秘書という関係に戻りたい。ジェンマは切にそう思った。
*この続きは製品版でお楽しみください。
ステファノが視線でジェンマを口説いていることは、見間違いようがなかった。暗くけぶるステファノの瞳には、同じように官能を高ぶらせたジェンマ自身の顔が映っている。
「したくてたまらなかったことって?」動くこともままならず、ジェンマにはそれだけ言うのが精いっぱいだった。
ステファノは両手の指をジェンマの髪に差し入れ、彼女の頭をしっかりとつかんだ。わたしにキスするつもりなんだわ、とジェンマは思った。
ジェンマの頭は逃げなさいと叫んでいたが、体はわれしらず彼に引き寄せられていた。
「だめよ」ジェンマは弱々しく抗議の声をあげた。
もちろんステファノは聞く耳を持たなかった。
唇が重なった瞬間、それまで知らなかった快感が全身を駆け抜けた。膝から力が抜け、ジェンマはよろめいた。
激しいキスがもたらす官能の嵐に、ジェンマは恐れおののいた。もしステファノが自分の欲望をすべて解き放ち、思うさまわたしを求めてきたら、彼を押しとどめる術などない。
何より、わたしのほうが、ステファノのキスと愛撫でもたらされた快感に屈せずにはいられないだろう。
ジェンマは彼から逃れようと、その広い胸に両手を押しつけた。ところがシルクのシャツで手が滑り、相手を押しのけるどころか、遠ざけることさえできなかった。
「美しい人《ベラ》」ステファノはささやくと、さらにキスを深めた。
ジェンマはステファノの胸に指を広げ、そのたくましく力強い感触におののいた。
ステファノはまるで太陽のように熱かった。めくるめく熱い官能がジェンマに伝わり、渦を巻くように体内に広がっていく。
これ以上近くにいたら、溶けてしまいそうだ。なのにジェンマはステファノを押しやることもできず、全身を包む官能の悦びにわれを忘れていた。
ステファノの喉から低いうめきがもれた。ステファノは唇を重ねたまま、ジェンマの体を引き寄せ、かき抱いた。長々と続くキスが、高らかに情熱を歌い上げるアリアのように、ジェンマの五感を酔わせた。
ずっと、こんなふうにキスで愛を交わしてくれる男性が現れるのを待っていたような気がした。ゆっくり舌を絡みあわせ、崇めるように、それでいて奔放な情熱のおもむくままに唇を重ねてくれる男性を。
ジェンマは欲望の波にさらわれ、太陽であるステファノに導かれるがままに、血を熱くたぎらせていた。ジェンマはわれしらず彼の背に手をまわし、さらに強くしがみついていた。
ステファノが片手でジェンマの頭を支え、もう一方の手でゆっくりと彼女の体を探りはじめた。うやうやしいと言ってもいいほどの優しい愛撫に、目に涙が浮かんだ。彼女は炎に引き寄せられる蛾のように、さらに身をすり寄せた。
ステファノは惜しげもなく与えてくれた。荒々しさはみじんも感じさせず、むしろゆっくりと崇めるように、ジェンマの口と体を探り続けた。
やがて彼が唇を離した。ジェンマはキスが終わったことに抗議するように低くうめき、彼の目を見上げた。
もはやステファノの瞳に情熱の炎は燃えておらず、ただ嘲るような冷ややかな光があるだけだった。ふいにジェンマは、自分がステファノの腕に抱かれ、ぴったり体を押しつけていることを、熱く脈打つステファノの欲望の証が腹部に押し当てられていることを痛いほどに意識した。
「君とベッドをともにしたい。君も僕と同じ気持ちのはずだ」ステファノはわずかに身を離し、紅潮したジェンマの頬に指を走らせた。「でも、その前にビアレッジョでディナーの約束だったな。お楽しみはディナーのあとで。いいかい?」
ぼんやり霞がかかったような頭が、ステファノに言われたことを理解するのに少し時間がかかった。ジェンマは慌てて身を離し、“君はいますぐ体の関係を持ちたがっている”とほのめかしたステファノを憎らしく思った。だが同時に、欲望の波にさらわれてしまった自分自身にも腹が立った。
「いいえ。ディナーのあとだろうがいつだろうが、今後いっさい、そんなことにはなりません」
さっき熱烈なキスをしてくれた唇が、固く引き結ばれた。みだらな輝きの消えた目にいらだちが浮かび、ステファノは鋭い視線でジェンマを見つめた。
「それはどうかな」
ジェンマは黙って首を横にふった。議論したところで無意味だったからだ。
ステファノは類まれな美貌と体格に恵まれた、自信たっぷりのプレイボーイだ。そのうえ金持ちときている。どんな女性も喜んで自分のベッドに飛びこんでくると信じているに違いない。
ステファノにかき立てられた歓喜の波はすばらしく、われしらず激しいキスを返してしまった。だから彼は、わたしがさらに親密な体の関係を求めていると誤解したのだろう。初心なわたしには、誘惑への免疫などまるでないに等しいのに。
ステファノはジャケットをはおった。すると、優しかった恋人が尊大な専制君主に逆戻りしてしまった。「行くぞ」
ビルを出るまでの間、ジェンマはステファノがこちらの背中に手を添えるのをがまんしなければならなかった。いやおうなく彼に惹かれてしまうのはいやだったが、熱い思いを押しつぶすこともできない。
早く借金を返して、ただのボスと秘書という関係に戻りたい。ジェンマは切にそう思った。
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本の情報
紙書籍初版: 2011/10/5
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>オフィス/ボス
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>愛人契約
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ラテン
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
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