和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
砂漠の後見人
著: スーザン・スティーヴンス 翻訳: 柿原日出子発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:630円(税込)
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著者プロフィール
スーザン・スティーヴンス(Susan Stephens)
プロのオペラ歌手として活躍していた経歴を持つ。夫とは、出会って五日後には婚約をし、三カ月後には結婚したという。現在はチェシャー州で、三人の子供とたくさんの動物たちに囲まれて暮らしている。昔からロマンス小説を読むのが大好きだった彼女は、自分の人生を“果てしない、ロマンティックな冒険”と称している。
プロのオペラ歌手として活躍していた経歴を持つ。夫とは、出会って五日後には婚約をし、三カ月後には結婚したという。現在はチェシャー州で、三人の子供とたくさんの動物たちに囲まれて暮らしている。昔からロマンス小説を読むのが大好きだった彼女は、自分の人生を“果てしない、ロマンティックな冒険”と称している。
解説
亡き両親の足跡をたどるためザッダラ王国をおとずれたザラは、高貴な風格の男性が砂漠の川で沐浴しているのを目にした。息をのむほど美しい姿に見とれて思わず写真におさめると、気づいた従者にとらえられ、豪華なテントへ連れていかれてしまう。そこで先ほどの貴人とふたりきりになり一抹の不安を感じるが、意外にも彼はザラを客人として迎え、3夜にわたりもてなすと告げた。アラブ人らしい豊かな黒髪と力強く官能的な瞳に魅せられ、彼女は生まれてはじめての熱い夜を思いうかべて胸を高鳴らせた。ほどなくして、想像したとおりの至福の時に包まれた――彼がザラの純潔に気づいて急に態度を翻し、その場を去るまでは。
抄録
「どういうことか話してもらえるのかしら? そのつもりがないなら、帰っていただいていいのよ」ザラはドアを指した。
「話をしないといけない。二人とも避けるわけにはいかない」
「それであなたはここに来たの?」ザラは部屋を見まわした。この家は彼女の避難所であり、彼は侵入者だと言わんばかりだ。
「きみのほうからぼくのところに来たか?」
シャーヒーンは感情を表さないように気をつけていたので、ザラの目に涙があふれたのを見て驚いた。彼がここに来る前に彼女を動揺させるようなことが起こったに違いない。彼は床の写真に目をやり、ザラがそれに気づいた。
「あなたは何もわかっていない。何をしたかわかっていない……」ザラは自分の胸をつかんだ。「あなたは高潔な支配者になるのに忙しく、ふつうの人間のことに気がつかないのよ」
ザラの言葉は真実からかけ離れていたが、シャーヒーンは黙っていた。いま彼がザラを慰める言葉をかけることはできなかった。
「写真を見ていたわね。もっとちゃんと見たらどう?」ザラは叫んだ。
ザラの顔に涙が流れていたが、気づいていないようだった。気づいていたら、涙をこらえただろう。
ザラは数枚の写真を取ると、シャーヒーンの目の前に突き出した。「見なさい、シャーヒーン」押し殺した声で言った。「これがあなたのしたことよ。前進する前に過去を理解しなければいけないと言ったわね? あなたこそ理解しないといけないのよ」
シャーヒーンは写真を見るしかなかった。
「三歳の誕生日に祖父母といっしょに撮ったものよ……これは四歳のわたし、五歳、六歳。わたしの両親はどこにいるの、シャーヒーン? ああ、思い出した」ザラが答えた。「あなたのためにザッダラで仕事をしていたのだった……」
彼のためではなく彼の父のためだったが、シャーヒーンは訂正しなかった。
「さて、七歳のわたしはどこかしら?」嵐が去り、怒りが消えていくように、穏やかな声になった。ザラは写真を捜すのに夢中になっているようだった。「ああ、あった」ザラは勝ち誇ったように言い、写真を彼に差し出した。「今度はあなたが話す番よ。これはなんでしょう?」
シャーヒーンは唇をなめ、挑戦してみた。「幼いときのきみだ……駅のプラットホームで待っている……」
「そう、そのとおり。続けて……」
ザラの口調は穏やかだった。もしもその表面の下に隠されたかすかな興奮状態を聞き分けなかったなら、シャーヒーンはほっとしていたかもしれない。「休暇で出かけるところだ。スーツケースの上に座っている――」
「学校の寄宿舎に行くところよ、シャーヒーン」ザラは彼をさえぎった。「寄宿舎に向かう七歳の誕生日のわたしよ。二度と家に帰ることはなかった。両親が亡くなったから、祖父母と暮らしたけど、祖父母はわたしの面倒を見られなくなり、それであなたのお父さんが解決策を見つけ出したというわけ。すばらしい解決策でしょう?」
「家に帰らなかったというのはどういうことだ? 休暇があっただろう?」だがザラはもうシャーヒーンの言うことを聞いていなかった。彼に背を向け、暖炉上部のマントルピースをつかんでいた。緊張のせいで関節が白くなっている。ザラの話にシャーヒーンは何も言えなかった。何が言えるだろう? 過去の誤りを正すために何ができるだろう? 彼女をこのままほうっておけないことだけはわかっていた。
けれどもシャーヒーンが慰めようとすると、ザラは彼を乱暴に払いのけた。
「落ち着くんだ、ザラ」
ザラは軽蔑したような声を出した。
シャーヒーンはザラを振り向かせ、顔を見て話をするために肩をつかもうとした。だがそれより早く、ザラは彼の顔を二度なぐった。自暴自棄になっていたのと、過去から自由になりたいという思いからだった。
シャーヒーンはザラの手首をつかみ、体の両脇に腕を下ろさせた。荒れ狂う情熱を浮かべた目で見つめられ、シャーヒーンは正しいと思われるただひとつのことをした。ザラに激しくキスをしたのだ。
シャーヒーンが思ったとおり、ザラは体をこわばらせ、口を固く閉じた。だが互いの意志が闘っているうちに、ザラは喉の奥で怒りの声をあげた。シャーヒーンは彼女の手首を放し、さらに刺激的なキスをした。ザラは拳で力なく彼をなぐった。もう一度、そしてまた一度となぐりながらも、ザラの唇は開き、キスを返していた。
ザラの怒りが情熱に変わり、情熱が高まっていくと、シャーヒーンの感情に変化が起こった。自分のしていることに気づき、嫌悪でいっぱいになった。彼女が被後見人だと知りながらキスをしたのだ。今度ばかりは弁解の余地はなかった。
シャーヒーンは後ずさりしながら、両手を彼女の震える腕に沿って滑らせた。ザラが何か言いかけたが、聞きたくなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「話をしないといけない。二人とも避けるわけにはいかない」
「それであなたはここに来たの?」ザラは部屋を見まわした。この家は彼女の避難所であり、彼は侵入者だと言わんばかりだ。
「きみのほうからぼくのところに来たか?」
シャーヒーンは感情を表さないように気をつけていたので、ザラの目に涙があふれたのを見て驚いた。彼がここに来る前に彼女を動揺させるようなことが起こったに違いない。彼は床の写真に目をやり、ザラがそれに気づいた。
「あなたは何もわかっていない。何をしたかわかっていない……」ザラは自分の胸をつかんだ。「あなたは高潔な支配者になるのに忙しく、ふつうの人間のことに気がつかないのよ」
ザラの言葉は真実からかけ離れていたが、シャーヒーンは黙っていた。いま彼がザラを慰める言葉をかけることはできなかった。
「写真を見ていたわね。もっとちゃんと見たらどう?」ザラは叫んだ。
ザラの顔に涙が流れていたが、気づいていないようだった。気づいていたら、涙をこらえただろう。
ザラは数枚の写真を取ると、シャーヒーンの目の前に突き出した。「見なさい、シャーヒーン」押し殺した声で言った。「これがあなたのしたことよ。前進する前に過去を理解しなければいけないと言ったわね? あなたこそ理解しないといけないのよ」
シャーヒーンは写真を見るしかなかった。
「三歳の誕生日に祖父母といっしょに撮ったものよ……これは四歳のわたし、五歳、六歳。わたしの両親はどこにいるの、シャーヒーン? ああ、思い出した」ザラが答えた。「あなたのためにザッダラで仕事をしていたのだった……」
彼のためではなく彼の父のためだったが、シャーヒーンは訂正しなかった。
「さて、七歳のわたしはどこかしら?」嵐が去り、怒りが消えていくように、穏やかな声になった。ザラは写真を捜すのに夢中になっているようだった。「ああ、あった」ザラは勝ち誇ったように言い、写真を彼に差し出した。「今度はあなたが話す番よ。これはなんでしょう?」
シャーヒーンは唇をなめ、挑戦してみた。「幼いときのきみだ……駅のプラットホームで待っている……」
「そう、そのとおり。続けて……」
ザラの口調は穏やかだった。もしもその表面の下に隠されたかすかな興奮状態を聞き分けなかったなら、シャーヒーンはほっとしていたかもしれない。「休暇で出かけるところだ。スーツケースの上に座っている――」
「学校の寄宿舎に行くところよ、シャーヒーン」ザラは彼をさえぎった。「寄宿舎に向かう七歳の誕生日のわたしよ。二度と家に帰ることはなかった。両親が亡くなったから、祖父母と暮らしたけど、祖父母はわたしの面倒を見られなくなり、それであなたのお父さんが解決策を見つけ出したというわけ。すばらしい解決策でしょう?」
「家に帰らなかったというのはどういうことだ? 休暇があっただろう?」だがザラはもうシャーヒーンの言うことを聞いていなかった。彼に背を向け、暖炉上部のマントルピースをつかんでいた。緊張のせいで関節が白くなっている。ザラの話にシャーヒーンは何も言えなかった。何が言えるだろう? 過去の誤りを正すために何ができるだろう? 彼女をこのままほうっておけないことだけはわかっていた。
けれどもシャーヒーンが慰めようとすると、ザラは彼を乱暴に払いのけた。
「落ち着くんだ、ザラ」
ザラは軽蔑したような声を出した。
シャーヒーンはザラを振り向かせ、顔を見て話をするために肩をつかもうとした。だがそれより早く、ザラは彼の顔を二度なぐった。自暴自棄になっていたのと、過去から自由になりたいという思いからだった。
シャーヒーンはザラの手首をつかみ、体の両脇に腕を下ろさせた。荒れ狂う情熱を浮かべた目で見つめられ、シャーヒーンは正しいと思われるただひとつのことをした。ザラに激しくキスをしたのだ。
シャーヒーンが思ったとおり、ザラは体をこわばらせ、口を固く閉じた。だが互いの意志が闘っているうちに、ザラは喉の奥で怒りの声をあげた。シャーヒーンは彼女の手首を放し、さらに刺激的なキスをした。ザラは拳で力なく彼をなぐった。もう一度、そしてまた一度となぐりながらも、ザラの唇は開き、キスを返していた。
ザラの怒りが情熱に変わり、情熱が高まっていくと、シャーヒーンの感情に変化が起こった。自分のしていることに気づき、嫌悪でいっぱいになった。彼女が被後見人だと知りながらキスをしたのだ。今度ばかりは弁解の余地はなかった。
シャーヒーンは後ずさりしながら、両手を彼女の震える腕に沿って滑らせた。ザラが何か言いかけたが、聞きたくなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2011/10/20
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・ロマンス
小説・ノンフィクション>ハーレクイン>シーク/砂漠
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