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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

罠にかかったシンデレラ

罠にかかったシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

 華やかなイルミネーション輝くクリスマス間近のロンドン。恋人にふられ、仕事を降格され、家まで追い出されたイーヴィーは、客室係として働く一流ホテルでスイートルームを整えていた。すると上司が現れ、今夜は空室のその部屋に泊まっていいと言う。渡りに船と喜び、イーヴィーは豪華な調度を汚さぬよう眠りについた。明け方、甘い唇の感触で目が覚めた。なぜ男の人が一緒にいるの!? その直後、カメラのフラッシュが光り、パパラッチが逃げ出した。隣の男性をよく見ると、このホテルのイタリア人オーナー、リオだ。これは罠だ、と憤る彼はイーヴィーの身の上についていくつか尋ね、きっぱり宣言した。「これから君との婚約を発表する。」

抄録

キスでぼんやりしながらも事態の深刻さに気づいたイーヴィーは、あわててベッドから飛び出した。そこで服を着ていないのに気づき、とっさにシルクの上掛けをつかんで体に巻きつけた。急いで居間に向かうと、カルロスが肩幅の広い長身の男と真剣に話しこんでいた。さっきキスをしてきた男だ。
 イーヴィーはその男の姿を初めてまともに見て、体がなぜか熱くなるのを感じた。祖父の言葉がよみがえる。“本物の男”
 男は怒りに満ちた黒い瞳でカルロスを見すえていた。
 部屋は彼の圧倒的な存在感に満たされている。
 物音を聞きつけた男の視線がイーヴィーに向けられた。その目に浮かぶ激しい憤怒に、まるで水をかけられたようなショックを覚え、彼女はその場に立ちすくんだ。
「私……服を着ないと」おどおどと口を開くと、男が喉の奥からうなるような声を発した。
「僕が許可するまでそこを一ミリたりとも動くな」
 彼を突き動かしてキスをさせたものがなんであれ、もはやそれがなくなったのは明らかだった。男の目からはやさしさが消えていた。ついさっきまであった甘い誘惑の気配は、かけらも残っていない。
 ふいにイーヴィーは男が何者かに気づき、恐怖に駆られた。彼の写真は、ホテルのパンフレットの裏表紙に〈ザッカレッリ・レジャーグループ〉代表の挨拶とともに載っている。私にキスをしたのは、あのサルヴァトリオ・ザッカレッリだ。美女と車を愛してやまず、マスコミの格好の餌食となっている、リオと呼ばれる男なのだ。
 これまで得た情報によれば、リオ・ザッカレッリは情け容赦のない、冷酷な機械のような人間で、常に利益を優先し、物事の決定において人的価値などいっさい考慮に入れない。自社のホテルに問題があると、まず、刷新の第一歩として、気に入らないものをすべてばっさりと切り捨てる。従業員も例外ではない。経営が順調なホテルに彼が訪れることはないという。問題があるときのみ、刀を振りおろす死刑執行人さながら乗りこんでくるのだ。女性の扱いもビジネスと同様らしい。つき合ってはお払い箱にする。長く彼のもとにいられる者は皆無だ。
 イーヴィーはこれまで目立たないようにし、リオとはかかわりになるまいとしてきた。
 その努力が無残に砕け散ったのを知り、イーヴィーは彼のけぶるような黒い瞳を恐ろしげに見つめた。私がスイートルームで一夜を過ごしたことに、彼は明らかに激怒している。
 許可を与えたのは自分だという事情をカルロスが話してくれなければ、私は仕事を失ってしまう。
 そして、人間としての尊厳も。
 なぜ彼は私にキスしたの? 力強くゆっくりした動きで誘いかける唇、素肌を撫でる心地よい手。あのキスは熱い反応と甘い予感に満ちていた。
 従業員を解雇するときにはキスをする習慣でもあるのかしら。イーヴィーがそう考えているとき、がっしりとした体格の男が部屋に駆けこんできた。
「申しわけありません、社長」男は無言のメッセージを伝えるかのようにリオの目を見つめた。「男を見失いました。裏階段から逃げ出したようです。警察には連絡をすませましたので、私はこれからホテルの監視カメラをチェックします。その女を尋問しますか?」
 尋問ですって? なぜ私に尋問が必要なの? 私に罪があるとすれば、素直すぎたことくらいよ。
「この女性は君の知り合いではないのかい?」カルロスが驚いたような顔をした。「僕はてっきり……なにしろ君の寝室にいたんだから」
 イーヴィーは愕然としてカルロスを見た。支配人は私を見捨てて保身にまわろうとしている。自分の許可のもとに私が寝室を使ったことを告白すれば、懲戒処分ものだと考えたのだろう。無力感にさいなまれながら、イーヴィーは難を逃れる方策を必死にさがした。
「すまない、リオ」カルロスがよどみなく言った。「ふだん従業員の選別に関しては慎重に慎重を期しているんだが、この時期は忙しくて……」言葉をにごし、イーヴィーのほうを向く。「君には失望させられたよ、イーヴィー。これは一種の職権乱用だ」
「彼女はここで働いているのか?」リオが声をとがらせた。「君の部下だというのか?」
 全員の視線がいっせいに集まり、イーヴィーは屈辱のあまり真っ赤になった。一巻の終わりだ。支配人の許可のもとに部屋を使用したと主張しても、本気にする者はだれもいまい。一介の客室係より、支配人の言い分を信じるに決まっている。もう破滅だ。
 自尊心をかなぐり捨て、泣き落とし戦術に出ようか。それとも、もう一度彼にキスをする?
 リオの端整な顔に視線を這わせ、引き締まった魅力的な唇にそそぐ。イーヴィーは彼のキスを思い出し、思わず唇を舌で湿した。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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