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初恋にさよなら

初恋にさよなら


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・デジタル
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 つい先日、最愛の父親を亡くしたダナは、父の遺言書を読んで愕然とした。遺言の指示に従わなければ、父が遺した小さな牧場を相続できないというのだ。その指示とは1カ月以内にダナが結婚すること。それも、ダナが昔から想いを寄せる隣人のハンクと!

抄録

 ダナは片手を目の上にかざして、あたりを見まわした。何キロもテキサスの大地が広がる以外、なにも見えない。自分の行動にもっと注意を払っていれば、こんなことにはならなかっただろうが、ダナは父親の死という現実に打ちのめされていた。彼女は三日間、泣きつづけた。顧問弁護士から、父親が残した遺言書の屈辱的な条項について聞かされてからは、自分でもあきれるほど泣けてしようがなかった。とても恥ずかしくて、その内容をハンクに伝えるのは無理だと思った。しかし、自分と同じくらいハンクにもかかわる内容なのに、どうして伝えないでいられるだろう? ダナはみじめな気持ちで父を思った。パパ、どうして私にこんな仕打ちができるの? 私に自尊心をかなぐり捨てろっていうの?
 ダナは頬をつたう涙をぬぐった。泣いていたって、なにも始まらないわ。パパは死んで、遺言の内容は実行されなければならないのよ。
 なにか聞こえた、とダナは思った。静まり返った放牧地に響くその音は、はっきりと耳に届いた。リズミカルな音だ。聞き覚えがあるような気がした理由は、ほどなくわかった。サラブレッドの種馬の蹄の音だった。その馬がだれのものか、ダナはわかりすぎるほどわかっていた。
 しばらくすると、思ったとおり、背の高い男性が馬にまたがって現れた。細くて浅黒い顔が見えないくらい、つばの広いカウボーイハットを目深にかぶる癖と、優雅な馬の乗り方で、遠くからでもハンク・グラントだということはすぐにわかる。たとえわからなかったとしても、彼の馬、キャピーは一目でそれとわかる。キャピーは、馬体が黄金色で、たてがみと尾が銀白色のパロミノで、血統も申し分がなく、相当な種付け代を稼ぎ出す。たまに興奮して暴れることもあるが、去勢されていない馬にしては驚くほど性格が穏やかだ。とはいえ、背中にはハンク以外の人間は決して乗せようとしないが。
 ハンクは、うつぶせになったダナのそばで、手綱を引いてキャピーをとめた。ダナはハンクの顔が楽しそうにほころぶのを見たすぐあと、いかにもおかしそうな彼の低い声を聞いた。
 「またかい?」ハンクはあきれたようにきいた。これまでに何度もダナを助けるはめになったことを思い出しているのは間違いない。
 「フェンスが倒れたのよ」ダナは喧嘩腰で言い、口にかかったブロンドの髪の房をふうっと吹きはらった。「それに、あのフェンスのおんぼろ修理工具は、レスラーみたいな力持ちの手じゃないと、動かないんだもの!」
 「そうなんだよ、ハニー」ハンクはいかにも南部人らしくゆっくりと言って、腕組みをして鞍の前部に身を乗り出した。「フェンスってやつは、女性の解放運動のことはちっともわかっていないんだ」
 「そういうくだらないことを言うのはやめて」ダナは不服そうに言った。
 ハンクの口の両端がきゅっとつりあがった。「そういう挑戦的な口をきくには、その格好はちょっと情けなさすぎないか?」そっけなくつぶやきながら、ハンクはくい入るような視線をダナの全身に走らせた。シャツからのぞく胸のふくらみに一瞬、視線が引きつけられたそのとき、彼の目の奥でなにかがきらりと光った。
 ダナは居心地悪そうに体を動かした。「ねえ、ハンク、なんとかしてちょうだい」身をよじって懇願する。「私、九時からずっとこんな状態で、もう喉がからからなの。暑くてたまらない!」 「わかったよ、お嬢ちゃん」ハンクはひらりと鞍から降りて、手綱をキャピーの首にかけた。キャピーはさっそく、近くの草を食みはじめる。ハンクは、有刺鉄線にがんじがらめになったダナの脚のそばにひざまずいた。はき古したジーンズが彼の脚の長くてたくましい筋肉にぴったり張りつく。それが見えただけでうれしくなりながらも、ダナはその気持ちがくやしくて歯ぎしりをした。
 ハンクはハンサムだった。男性独特の美しさのようなものがあって、分別のある年配の女性さえ、彼を見るとため息をついてしまう。体つきはカウボーイらしく細身で、気品があり、広告代理店が好みそうな顔つきをしていた。けれども、ハンク本人は自分の魅力にはまったく気づいていない。十年前に妻に逃げられ、離婚してからは、もう二度と結婚する意思はなかった。地元では、一つのことを除いて、ハンクに女性は必要ないのだというもっぱらの評判だった。彼はつつしみ深く、自分の女性関係については口が堅く、そのあたりの事情を知っているのはダナだけのようだった。ハンクは、ダナにはなんでも気軽に話した。実際、ほかのだれにも話さないようなことでも、ダナには打ち明けていた。
 じっと考えこむように唇を引き結び、ダナにけがはないかと調べてから、ハンクは手袋をはめた手で、彼女にからまった有刺鉄線をはずしはじめた。ハンクはどんなときでも几帳面で、一つのことに専念し、しかも慎重だった。決して軽率なことはしない。それは、だれの目にも明らかな彼の特長の一つだった。
 「だめだ、これではうまくいかない」ハンクはつぶやき、ポケットに手を突っこんだ。「君を助けるには、ジーンズを切らなければならないんだ、ハニー。申し訳ないが。新しいのを買ってあげるから」
 ダナの顔にさっと赤みが差した。「まだそれほどお金に困ってるわけじゃないわ!」
 ハンクはダナの濃いブルーの目を見おろし、頬が赤くなっていることに気づいた。「君はほんとうに誇り高いな、ダナ。餓死することになっても、助けを求めないんだろう」彼はさっと振るようにして小型ナイフを開いた。「だからこそ、僕たちはこんなに仲がいいんだな。いろいろな面で二人はよく似ている」
 「あなたは私よりずっと背が高いし、髪も黒いわ。私はブロンドよ」ダナは自信満々に指摘した。
 ダナの予想どおり、ハンクはにっこりした。二人きりのときもそうだが、とくにまわりに他人がいるとき、ハンクはめったにほほえまない。ダナは、ハンクがほほえむときにきらっと目を輝かすのを見るのが大好きだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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