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愛と言わない理由

愛と言わない理由


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆2
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

 大企業の御曹司ラファエロと、屋敷の庭師の娘グローリー。5年前、若き二人は身分の差など気にせず愛し合っていた。だが彼の父親に、息子と別れなければ家族を破滅させると脅され、何も知らないラファエロに裏切り者だと恨まれながらも、グローリーは泣く泣く一人屋敷を去るしかなかった。そして今、彼女はすがる思いでラファエロを訪ねた。弟が屋敷で騒ぎを起こし、窃盗の疑いまでかけられているのだ。弟を訴えないで――懇願するグローリーに、彼は冷淡に告げた。「なんとかしてやろう、きみが体を差し出すなら」

抄録

「昼食?」グローリーは不意をつかれ、あわててたずねた。
「空腹でね」ラファエロは輝く黒い瞳でグローリーを見た。
 グローリーは体を震わせた。視線を彼の口元へと移す。その下のがっしりとした顎に、かすかに髭が生えているのが見えた。そういえば、彼は一日に二度はかならず髭を剃っていた。そんなささいな記憶から、ラファエロがどんなふうにキスをしたか、彼女をどんな気持ちにさせてくれたかが思い出された。ほかの男性が相手ではあれほどまでに高揚することはなかった。グローリーはあらためて自分が彼に寄せていた思いの深さを噛みしめた。
「深刻な顔だね」ラファエロが低い声で言った。その声に男性ならではの自信を聞き取り、グローリーは彼の頬を平手打ちしたい衝動に駆られた。彼の発散している性的魅力から、身を振りほどきたい。グローリーは願った。
 なぜわたしは戻ってきたりしたのだろう? また彼に会いたくて、理由をでっちあげただけではないかしら?
 ラファエロにエレベーターの中へ押しこまれながら、グローリーは説明した。「戻ってくるんじゃなかったわ。でもせっかくだから言うけれど、弟に例のかぎたばこ入れの話をしたら、まったく知らない様子で……」
 グローリーがいったん息を継いでさらに話そうとしたとき、ラファエロが彼女をエレベーターの一角へ押しやり、その両肩に手を置いた。「きみはしゃべりすぎる」
「だけど弟は仲間に話してみると言っていたから、何かわかるかもしれない。わたしはバーミンガムに戻るわ」グローリーはラファエロにかまわず話しつづけた。自分の緊張した体からほんの数センチのところに、彼のすらりとした体がある。気持ちとは裏腹に体内にわき上がる興奮をどうすることもできなかった。
「きみはバーミンガムには帰らない」ラファエロは指をグローリーの腕に沿って下ろし、小さな手を握りしめた。
「やめて! 話を聞いていなかったの? あなたの申し出には応えられないわ。あなたと関係を持つわけには……」グローリーは叫び、ラファエロの抱擁から逃れようとした。
 ラファエロはうなり声をもらし、片手をグローリーのハニーブロンドの髪の中に入れて頭を押さえ、貪欲なほどの激しさで唇を合わせた。彼女が体をこわばらせた一瞬、ラファエロはすかさず冷たい金属製の壁にグローリーを押しつけ、両手でヒップをすくい上げるようにして、その体を抱き寄せた。舌先を彼女の唇の間へ差し入れ、中の柔らかさを味わうように動かす。グローリーの全身が震え、すべての神経が反応した。
 グローリーは両腕をラファエロの首にまわしてしがみつき、われを忘れてキスを返した。苦しげなうめき声が喉の奥で鳴る。かつて必死に忘れようとした情熱が、ほとばしり出た。たくましい男性の体に力ずくで押さえこまれ、危険な炎に身を焼いた彼女は、抑えようのない興奮に身をまかせた。
 突然ラファエロが動きを止めた。低いうなり声とともに彼は身を引き、グローリーを見下ろした。「驚いたな、エレベーターの中だというのに」
 ラファエロはグローリーを床に下ろした。彼女は呆然としながらも、エレベーターのドアは閉まっているのに動いてはいないことに気づいた。すべての行き先階のボタンが点滅している。「なぜ動いていないの?」
「ぼくが止めた」ラファエロはそっけなく答え、いくつかのボタンを押した。
 エレベーターは小さく揺れて下降しはじめた。グローリーは震える手で、しわになった上着を直した。ラファエロを見上げることができない。奔放な気持ちと純潔を重んじる気持ちが交錯して、気のきいた言葉のひとつも思い浮かばない。唇が彼の熱で燃えるようだ。体はまだ震え、ラファエロに触れられたとたんに感じた期待をもてあましている。全身がばらばらになってしまいそうだった。
「ぼくの家へ行こう」ラファエロは低い声で言った。
 昼食をとることがラファエロの最終目的ではないと察し、グローリーは髪の毛の付け根まで赤くなった。「もう帰るわ。いまのは事故みたいなもので……」
 エレベーターのドアが電子音とともに開き、二人は他人の目にさらされた。外でエレベーターを待っていた人々がわれ先に乗りこもうとし、中にいた男性の姿を見て動きを止めた。好奇心むき出しの視線が、ラファエロとグローリーに浴びせられる。
 グローリーは走り出し、行き交う人々をかき分けて出入口を目指した。駅までの道のりの半分まで来たとき、息が切れてどうにも走れなくなり、彼女はようやく歩調をゆるめた。
 ラファエロとの間に起こった出来事を考え、グローリーは言いようのない動揺と困惑を覚えた。なぜあんなまねをしてしまったのだろう? 自分の気持ちを話しに来ただけと伝えた次の瞬間に、わたしはラファエロにしがみついていた。矛盾するにもほどがある!

*この続きは製品版でお楽しみください。

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