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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

ダークスーツを着た悪魔

ダークスーツを着た悪魔


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

 「君の父親はどこにいる?」買収した会社に乗り込んできて、デイモンはポリーにいきなり切り出した。世間ではビジネス界の大物がなぜ小さな広告代理店に興味を持つのか、不思議がっているけれど、ポリーにはわかっていた。会社が乗っ取られたと知れば、雲隠れした父が連絡を取ると考えたのだ。でもデイモンの妹と駆け落ち中に、そんなことをするとは思えない。恋多き父は仕事など二の次で、いつも若い恋人に夢中だから。「本当に知らないの」妹を心配しすぎる彼も、過保護だと思うけど。それより、父の会社をこれからどうするかは今やデイモン次第だった。ポリーはともに働いてきた社員たちを守るため、立ちあがった。

抄録

 デュカキス・タワーの最上階にあるペントハウスについて、ポリーもかねがね噂は聞いていた。誰もが興味津々だった。建設中から三百六十度の景観やルーフガーデン、そして屋内プールなどがしばしば話題にされていた。それでも、噂で聞くのと実際に見るのとではまったく比べ物にならない。
 「まあ……」
 ポリーは目の前に広がるロンドンの夜景に思わず息をのんだ。文字どおり三百六十度がガラス張りになっている。それでいて居心地のよさが感じられるのは、空間を上手に区切ってリビングスペースを確立した建築家の才能だろう。モダンなデザインと家庭の安らぎが見事に両立している。
 「すごい……すばらしい」ポリーはぐるりと見まわしながら感嘆の声をあげた。「これなら絶対に閉所恐怖症にはならないわね」
 「広々とした空間が好きなんだ。ギリシアにある別荘もモダンで、光をふんだんに取り入れている」
 デイモンはそう言うと空間の奥のほうを指さした。
 「一番端にあるゲストルームを使うといい。案内するよ」
 よく磨かれた木の床を白いふかふかのラグが覆っている。ポリーはすばやくブーツを脱いでデイモンのあとに続いた。居間のスペースには座り心地のよさそうなソファや趣味のいい調度品が配置されている。さらに進むとキッチンスペースがあり、機能的なデザインでまとめられていた。
 「お腹がすいているならシェフに何か作らせるよ」彼女の視線に気づいたのか、デイモンが声をかけてくる。
 「鎮痛剤入りのパスタソースでもあれば別だけど……。いいえ、結構よ。でも、ありがとう」
 ふと見ると、フロアの中央にガラスの螺旋階段がある。小さなスポットライトで照らし出され、まるでおとぎ話の挿絵のようだ。彼は女性を抱えてあの階段をのぼったことがあるかしら? さっきわたしを抱きかかえてリムジンに乗りこんだように……。
 「ポリー?」デイモンの声にはっと我に返る。彼女は顔を赤らめながら、促されるままゲストルームへ入った。ここでもやはりガラス越しにロンドンの夜景が広がっている。しかも、ベッドの位置から夜景が楽しめるように計算されていた。
 ここに泊まったら、もう帰りたくなくなるに違いない。
 「バスルームはあのドアの向こうだ。髪に血がついている……」デイモンが手を伸ばし、触れていいものかどうか迷った様子で、再び下ろした。
 ふたりのあいだの空気が見る見る濃密になっていく。互いに相手の体を意識しているのは明らかだ。
 「手伝おうか?」
 ポリーはどぎまぎした。そんなことを言われたのは初めてだ。“イエス”と言ってみたい気もするが、やはり彼の前で服を脱ぐのは恥ずかしい。「ひとりでできるわ。でも、ありがとう」
 デイモンが手を伸ばして、ベッドの横にあるボタンを押した。どうやらテレビのスイッチだったらしく、壁にかけられた液晶画面に映像が映り始めた。とはいえポリーの視線は、手を伸ばした拍子に袖の下から現れた手首に吸い寄せられていた。真っ白なワイシャツと浅黒い肌のコントラストがはっとするほどセクシーだ。
 男性の手首に魅力を感じるなんて、やはりどうかしている。かなりの重症だわ。
 「君の怪我のニュースがもうじきテレビに出るはずだ。もし君のお父さんが見ていたらすぐに連絡をよこすと思うから、そのときは枕元の電話で二番を押してほしい。僕の寝室につながるから」
 デイモンはそこで裸で眠るのかしら……頭の中に妄想が広がって、ポリーは相手の言葉の意味をすぐには理解できなかった。わたしの怪我のニュースって? 「でも、テレビ局は来ていなかったわ。たしかカメラマンとレポーターだけだったから、テレビのニュースにはならないと思うけど――」
 「いや、なるね」
 「まさか……あなたが教えたの?」妄想がたちまち吹き飛び、吐き気がこみ上げる。だまされた自分に腹が立って、ポリーは頬が真っ赤になった。「つまり……わたしの怪我を利用して父の居所を突き止めようとしたのね」彼女は膝から崩れ落ちそうになって、とっさにバスルームへのドアをつかんだ。「てっきり、わたしを心配して病院に駆けつけ、夜中に何かあったら大変だからここに連れてきてくれたのかと思っていたわ」さりげない口調を装っても、声が震えてしまう。「そんなことなら、始めに教えてあげればよかったわね。父にそんな手は通用しないの。わたしが集中治療室に運ばれたとしても父は絶対に来ないわ」
 デイモンが眉をひそめた。「つまり、君の入院をニュースで知っても連絡してこないというのか?」
 唖然とした声にポリーはますます打ちひしがれた。子を顧みない親を持つのも惨めだが、それを他人に知られるのはもっと惨めだ。
 言わなければよかった。
 きっと頭を打ったせいだわ。「もうひとりにしてちょうだい」
 デイモンは何か問いたげな顔をして立っていたが、やがて口元をぐっと結んでから言った。「鍵をかけないでくれ。そうじゃないと君が倒れても中に入れないからね」
 「どうして? パパラッチに電話してアップの写真でも撮らせるの?」ポリーはそう言い捨てるとバスルームに入ってドアを乱暴に閉め、わざとかちりと音をたてて鍵をかけた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

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