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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

夜だけの恋人

夜だけの恋人


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

 地元オクラホマでの親友の結婚式に出席したデビーは新婦の兄コール・ブラウンフィールドに会うなり、運命を感じた。あとを追うようにやってきたカリフォルニアで、運よくブラウンフィールド家に家政婦として雇われる。忙しい日々を送る敏腕刑事のコールをかいがいしく世話するものの、彼はデビーの思いを無視するような態度をとるばかりだ。ところがある夜、デビーが眠れずに庭のプールで泳いでいると事件現場から戻った、憔悴した様子のコールが近づいてきた。そして闇のなか、服を脱ぎ捨てるやいなや……。

抄録

 デビーはうしろを振り向き、居間の向こうに見える玄関ドアに目をやると、よく考えもせずバディの首に抱きついて、彼の頬に熱烈なキスをした。
「心配してくれてありがとう、バディ」デビーは彼の耳もとでささやいた。
 そこへコールが入ってきた。最初に目に入ったのはふたりが抱き合う姿だった。弟とデビー。キッチンでキスの最中。少なくとも彼女のほうはキスの最中だ。バディは満面の笑みでデビーを見下ろしている。まるで合衆国のコンピュータ中枢部の鍵を、だれかにもらったかのようなにやけぶりだ。
 コールはなにも考えなかった。ただ体が勝手に動いていた。うちへ帰ってきたのも、ふつうの人間に戻った気がするのも、ほんとうに久しぶりなのだ。彼は頭にきてきびすを返し、ふたたび外に出ると大きな音をたててドアを閉めた。それから玄関の前に立ち、ドアに寄りかかってベルを押した。
 デビーはにやりとした。さっきコールが出ていったあと、ドアが乱暴に閉まる音がした。それを聞いてあのときは一瞬心配になった。衝動的にバディにキスをしたのはまずかっただろうか。兄弟のあいだにいさかいの種をまくつもりはまったくなかった。でも、こうしてわざとらしくベルを鳴らしているところをみると、あれが親愛のキスにすぎないことを、コールもちゃんとわかっているのだろう。キスの相手が自分でないから腹をたてているだけなのだ。
「自分の部屋に行くよ」バディが言う。「キス、ありがとう……もうクッキーがないよ」
「わかったわ。どういたしまして。あした焼くわね」
 家族の仲直りにひと役買ったバディは、満足してうなずいた。
 モーガンは脚を引きずりながら居間にやってきた。玄関のベルでいたずらするやつを、しかりつけるつもりだったのだ。そのときデビーが居間に飛び込んできた。カーテン越しにコールの怒った顔が見える。ちらりとデビーのほうを見ると、こちらは目を輝かせている。モーガンは不自由な脚で、それなりにすばやくきびすを返した。
「自分の部屋に行くよ」彼は言った。
 デビーは笑った。「この家の家系ね」
 モーガンは彼女の言っている意味がよくわからなかったが、そのまま部屋に戻った。彼はなんとしても、コールとデビーが一緒になったところを見たかった。ふたりの幸せな顔が見たかった。
 デビーは大きく息を吸い込むと、玄関のドアを開けた。コールが三日も剃っていないひげ面でこちらをにらみつけている。
「ハーイ!」デビーは言った。「ひげが伸びたわね」
 彼女は戸口に立ちつくすコールをそのまま残してすたすたと奥に戻った。彼の顔を見るのも声を聞くのも三日ぶりだ。知らん顔をするのはなによりも大変だった。
 コールは唖然とした。けんかを吹っかけても相手にしてもらえないときは、この怒りをどうやって保てばいいのだろう? コールは家に入るとドアを叩きつけるように閉め、彼女のあとについてキッチンに向かった。なにか食べたいからだ。コールはそう自分に言い訳をした。
 大きな音をたてて戸棚を開け閉めし、乱暴に皿を出し、鍋やボウルをあちこちに動かして、冷蔵庫の中を引っかき回す。コールはそこらじゅうをにらみつけたが、デビーの顔だけは見ようとしなかった。
「ぼくが留守のあいだ、ずいぶんとお盛んだったようだな」コールはさっき見たキスを皮肉った。
「ええ、忙しかったわ。まずモーガンの松葉杖がステッキに替わったの。わたしはプールのフェンスのペンキ塗りをしたわ。それときょうは、お向かいさんにアプリコットをもらったの。一リットル入りの袋六つに分けて冷凍したわ。とてもおいしいのよ。アプリコットは好き? よかったら――」
「ぼくはアプリコットの話をしてるんじゃない」
 それに答えるデビーの声は穏やかで、彼女の手つきにはやさしさがあふれていた。彼女はコールの背後から彼の体に手を回すとその背中に頬をうずめ、ぎゅっと抱き締めた。
「おかえりなさい、コール・ブラウンフィールド。あなたがいなくて、みんな寂しかったのよ」
 ふたたびコールは思った。けんかを吹っかけても相手にしてもらえないときは、この怒りをどうやって保てばいいのだろう?
 コールはデビーの手をほどくと、彼女の腕の中で向きを変えた。彼は鼓動が響く自分の胸にデビーの顔を引き寄せ、彼女の髪に手をもぐり込ませて大きく息を吸い込んだ。デビーは石鹸と花と……例の、もらったとかいうアプリコットのにおいがする。コールはうちに帰ってきて、こんなにほっとしたことはなかった。
「そうかい」コールが言う。「正直なところ、ぼくも帰れなくて寂しかった」
「おなか、すいてる?」
 ああ、すいてる。きみを味わいたくてたまらないほどだ、デビー。
「少しだけ。それよりも眠たくてね」
 デビーは背中に回されたコールの腕に寄りかかり、暗く陰った彼の瞳をまじまじと見た。それから額にかかるまっすぐな髪をかき上げ、そっと頬を撫でた。「シャワーを浴びて、ひげを剃って、着替えていらっしゃい。それまでになにか作っておくわ」
 コールにはこのうえなく魅力的な申し出に思えた。「すぐ戻るよ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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