マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

王家の定め 砂漠の国で恋に落ちて

王家の定め 砂漠の国で恋に落ちて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス砂漠の国で恋に落ちて
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

解説

 ジェメイア王家の一族の娘、アイーシャ王女には夢があった。愛する男性と結婚し、ふつうの人生を送る……。王位にかかわる立場にないせいか、夢はかなうと信じていた。ところが隣国の王が亡くなり、継承権のある者が王位に就くには、アイーシャを妻にすることが条件となったせいで状況は一変する。彼女は腹黒いシークに誘拐されるが、王位継承権のあるもうひとりのシーク、ゾルタンに救出される。安堵したのも束の間、翌日にはゾルタンとの結婚式が控えていた。愛する人に出会う日を夢見てこれまで自分を守ってきたのに、明日には彼の妻となり、ベッドをともにするなんて。

 ■アラブの砂漠の国を舞台に、エキゾチックな男性たちと恋に落ちるヒロインを描くミニシリーズの1作目です。今月は思わぬ運命に翻弄されるプリンセスの波瀾万丈のストーリー。

抄録

 ゾルタンは腕を組んでうなずき、真剣に検討するようなそぶりを見せながら、笑みを浮かべてしまわないよう必死にこらえた。「新しい取り決めか。それは注目を集めそうだな」
 皮肉だったのだが、彼女は気づかなかったらしい。「それに、わたしにはジェメイアでの仕事があるわ。父もわたしが仕事をやめることは望まないはずよ」
「ああ、きみの“仕事”ね。なるほど、きみみたいな人なら、ホームレスの子供たちに囲まれておとぎばなしを読んでやることを仕事と呼びそうだ。非常に重要な仕事に違いない。好印象な写真を撮るにはもってこいだろう」
 彼女の目が鋭くなった。「わたしは彼らに国語を教えているのよ! 読み書きを!」
「それをできる人間がほかにいないとでも思っているのか? 事実を受け入れたらどうだ。ジェメイアにとって、きみは指にできたたこくらいの利用価値しかないんだよ」
「よくもそんな!」
「誰もきみにそれを言わなかったようだから言うのさ。ジェメイアできみは必要とされていない。きみにはふたりの兄がいて、片方が王位を継承し、もうひとりはなにかあった場合の身代わりだ。きみは余りもので、不要な王女なんだよ。だからこそぼくと結婚し、少しでも国の役に立ったほうがいい」
 彼女のまなざしは相変わらず鋭かったが、今はそこに、冷たい憎悪が見てとれた。
「言ったはずよ。わたしはあなたとは結婚しないし、父がそれを強要することもない。正気の人間なら、あなたと結婚なんてまずしないでしょうね。あなたはわたしをあの悪党のもとから助けだしたかのようなふりをしながら、実は自分の目的のためにわたしを捕らえた。あなたこそ、そろそろ事実を受け入れたらどうかしら。あなたは信じがたいほど横柄で強引で、アルジラードの王座につくためなら手段を選ばない人間よ。たとえこの世にあなたしか存在しなかったとしても、絶対に結婚しないわ!」
 こめかみがどくどくと脈打ち、怒りが、戦争の始まりを知らせる太鼓の音のように頭に響いた。こんなわがままな王女を妻にしなければならないなんて、いったい自分は前世でどんな罪を犯したというのだ? 敵意に満ちた口やかましい妻を押しつけられるなんて、ぼくはいつどこで、神々に嫌われるようなことをしたのだろう? もし選択の自由があれば、もし自分が身を引いてもムスタファが王座につかないのであれば、今すぐ彼女を砂漠に戻して、すべてを終わりにしたいのに。
「ぼくが王になりたがっていると、本気で思っているのか? 仮にぼくが本当に妻を欲しいと思っていたとして、自分にとって有利な取り引きであることすら理解できないような女性を選ぶと思うか? きみみたいに甘やかされた、わがままで口やかましい女を選ぶとでも?」
「ろくでなし!」ばちんと音がして頬に鋭い痛みが走った。アイーシャに頬を思いきりたたかれ、勢いよく流れていた血が熱くなった。
 頬を打った手をすばやくつかみ、ねじりあげた。「ただではすまされないぞ!」彼女は手を引き抜こうとしたが、彼に放す気配がないとわかると、自由なほうの手で彼の胸をたたいて身をよじった。
「放して」
 ゾルタンはもう一方の手首もつかんだ。彼女は声をあげて力いっぱい身をひねり、頭の後ろでまとめてあった髪がほどけるほど暴れた。
「放してちょうだい!」
「なんのために?」彼は言った。「またぼくを引っぱたけるように、か?」
 そのときアイーシャが手首をまわして引き抜き、再び手を振りあげた。彼はそれを未然に捕らえ、体を押さえつけると、腕の下に彼女の腕を挟みこんで顔を数センチの距離まで近づけた。短距離走を走ったあとのように彼女の息はあがり、胸が激しく上下している。目は火を噴きそうなほど熱く、少し開いた唇から、息をするたびにきれいに並んだ鋭い歯が見えた。彼の手に噛みついた、あの歯が。
 ゾルタンは彼女の口を見つめ、どんな味だろうと想像した。甘く香ばしいと同時にぴりっと辛いスパイスの味だろうか。豊かな唇は誘うように半分開いている。噛まれるリスクを冒す価値はあるかもしれない。
 ふと目をあげ、唇を見つめていたのをアイーシャに見られていたことに気づく。彼女は目を見開いていた。
「あなたなんか嫌いよ!」アイーシャが吐きだすように言って身をよじると、体がこすれて熱を生み、その熱が欲望へと変わった。
 抑えきれないほどの欲望に。
「わかっているさ」彼女と同じように荒く息をしながらゾルタンは言った。「ぼくだってきみが嫌いだ」そして、唇を彼女の唇に押しつけた。
 アイーシャは体をこわばらせ、驚きで全身の筋肉を硬直させていたが、それでも彼は、重なりあった唇が熱を帯びていくのを感じ、予想どおり甘くて香ばしく、ぴりっと辛いスパイスの味を味わった。そして王女という立場の下に、女性らしさが潜んでいるのを感じとった。
 彼女をもっと味わってみたい。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。