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和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>ファンタジー

解説
沙夜は、姉の身代わりに生け贄となるべく、決死の覚悟で鬼たちのもとに向かった。ところが残忍で醜悪と伝えられる鬼たちは、とても麗しく、身も心も美しい沙夜に優しかった。鬼たちを束ねる鷲鬼に気に入られた沙夜は、彼から熱心な求愛を受け、その優しさに戸惑う。そんな時、永き眠りから覚醒した鬼の王・羽羅鬼と出逢い、急速に運命の歯車が回り始める――。夜毎、長い爪と鋭い牙で弄ぶのは、鷲鬼それとも羽羅鬼? 妖艶なファンタジックロマンス!
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。
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抄録
鷲鬼を取り囲むように残った側近たちは、みな言葉を失っていた。
北鬼が羽羅鬼に示した、犠牲的で献身的な愛を目の前にして、言葉を失っていたのだ。
「なるほど、そういう愛し方もあるのだな」
頷くように言ったのは青い髪の西鬼だった。
「どんなに想っても決して自分には振り向いてもらえぬ。どんなに想っても実らぬ愛ならば、その方がずっと幸せかもしれぬ」
と、言葉を続けたのは、黄色い髪の東鬼だった。
「お、お前たち……よくもそんなことがっ」
と、一人だけ怒りを露にしたのは、ずっと北鬼を想い続けてきた南鬼だった。
そんな南鬼を見て、西鬼が言う。
「お前の気持ちは分かる。だが、これは北鬼が自ら出した答えだ。我らは受け入れなければならぬ」
「何よりも、これは羽羅鬼さまの命だ。逆らうことは許されぬ」
東鬼と西鬼の言葉に、南鬼は一言も言い返せなかった。
「では、私はこれで消える」
「私も……」
西鬼と東鬼が、柔らかな風の中で姿を消していく。
残った南鬼は、鷲鬼となってしまった北鬼の顔を憎々しげに見つめていた。
「……お前は……私の姿だけを愛していたのか?」
鷲鬼は、目を逸らしたまま言った。
「……そんなことはないっ。知っているくせに、聞くな!」
「では、私がどんな姿になろうと本質は変わらないのだからいいだろう。魂は……永遠に変わらないのだから」
鷲鬼はそう言って、優しい眼差しで南鬼を見つめた。
茶色い鷲鬼の瞳だったが、眼差しは違っていた。
元の、冷淡な北鬼の眼差しだった。
南鬼は、思わず手を伸ばし鷲鬼の顎を掴んだ。
「南鬼?」
そして有無を言わさず抱き締めて、口づける。
「…………ん」
鷲鬼の姿となった北鬼は性急な接吻に驚き、両目を見開いたが、すぐに身体中から力を抜いた。
これが、今の南鬼にできる精いっぱいの愛情表現なのだ。
自分では決して思うとおりにならぬ想いに対しての南鬼の最大限の愛情なのだ……と鷲鬼となった北鬼は思った。
そしてそんな南鬼の想いがとても嬉しく、温かく感じる。
「南鬼……今だけだ。今だけ……私はお前の思うとおりになろう。咒黐城に戻ったら、私は鷲鬼となるのだから」
「北鬼っ!」
南鬼は、今までずっと我慢していたものを吐き出すように、その場に鷲鬼の姿となった北鬼を押し倒していく。
「言っていいか……」
「何だ?」
押し倒され、両足を開かれた北鬼が、微笑むようにして聞く。
「ずっと……愛していた」
*この続きは製品版でお楽しみください。
北鬼が羽羅鬼に示した、犠牲的で献身的な愛を目の前にして、言葉を失っていたのだ。
「なるほど、そういう愛し方もあるのだな」
頷くように言ったのは青い髪の西鬼だった。
「どんなに想っても決して自分には振り向いてもらえぬ。どんなに想っても実らぬ愛ならば、その方がずっと幸せかもしれぬ」
と、言葉を続けたのは、黄色い髪の東鬼だった。
「お、お前たち……よくもそんなことがっ」
と、一人だけ怒りを露にしたのは、ずっと北鬼を想い続けてきた南鬼だった。
そんな南鬼を見て、西鬼が言う。
「お前の気持ちは分かる。だが、これは北鬼が自ら出した答えだ。我らは受け入れなければならぬ」
「何よりも、これは羽羅鬼さまの命だ。逆らうことは許されぬ」
東鬼と西鬼の言葉に、南鬼は一言も言い返せなかった。
「では、私はこれで消える」
「私も……」
西鬼と東鬼が、柔らかな風の中で姿を消していく。
残った南鬼は、鷲鬼となってしまった北鬼の顔を憎々しげに見つめていた。
「……お前は……私の姿だけを愛していたのか?」
鷲鬼は、目を逸らしたまま言った。
「……そんなことはないっ。知っているくせに、聞くな!」
「では、私がどんな姿になろうと本質は変わらないのだからいいだろう。魂は……永遠に変わらないのだから」
鷲鬼はそう言って、優しい眼差しで南鬼を見つめた。
茶色い鷲鬼の瞳だったが、眼差しは違っていた。
元の、冷淡な北鬼の眼差しだった。
南鬼は、思わず手を伸ばし鷲鬼の顎を掴んだ。
「南鬼?」
そして有無を言わさず抱き締めて、口づける。
「…………ん」
鷲鬼の姿となった北鬼は性急な接吻に驚き、両目を見開いたが、すぐに身体中から力を抜いた。
これが、今の南鬼にできる精いっぱいの愛情表現なのだ。
自分では決して思うとおりにならぬ想いに対しての南鬼の最大限の愛情なのだ……と鷲鬼となった北鬼は思った。
そしてそんな南鬼の想いがとても嬉しく、温かく感じる。
「南鬼……今だけだ。今だけ……私はお前の思うとおりになろう。咒黐城に戻ったら、私は鷲鬼となるのだから」
「北鬼っ!」
南鬼は、今までずっと我慢していたものを吐き出すように、その場に鷲鬼の姿となった北鬼を押し倒していく。
「言っていいか……」
「何だ?」
押し倒され、両足を開かれた北鬼が、微笑むようにして聞く。
「ずっと……愛していた」
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