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四季〜Four Seasons〜

四季〜Four Seasons〜


発行: ぶんか社
レーベル: ぶんか社BLノベル シリーズ: ケン&ジョー
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 鷲尾 滋瑠(わしお じる)
 2月4日生まれ 愛知県蒲郡市出身・東京都武蔵野市在住
 1993年2月、ビブロス(旧・青磁ビブロス)より耽美系小説の単行本『ベラドンナドール』でデビュー。漫画家・魔木子&鎌田幸美の専属チーフ・アシスタントとして漫画の仕事をしつつ、執筆活動を継続中。趣味は香水&お香の蒐集、最近はカスタマイズドール製作にハマっている。
 著書に『ベラドンナドール』『四季〜Four Seasons〜』(ともに1993年/ビブロス)、『永遠の灰』(1993年/茜新社)、『エンジェルズ・コネクション(AC1)』『蒼夜に抱かれた天使(AC2)』(共に1994年/茜新社)、『Endless Dream』(1995年/茜新社)、『蜃気楼〜Mirage〜』『月光の迷宮』(共に1996年/茜新社)、『滄の残像』(1997年/茜新社)、『熱沙の挿話(AC3)』(1999年/二見書房)がある。

解説

 全てを捨ててニューヨークにやって来た、ケンとジョー。二人は同性の恋人同士。これから何者にも邪魔されない、二人だけの熱く甘い暮らしが始まる。幸せいっぱいの二人――に見えたが、実はジョーの体は病魔にむしばまれていたのだった!! 命を賭けた純愛・官能的なSEX。そしてケンとジョーを取り巻く人々を写実的に、なおかつ耽美に描いた、鷲尾滋瑠の傑作! この感動ロマンス……「涙なくして読めない!!」
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

 入院前日の早朝、城の誰にも見付からぬようにケンの部屋にジョーがやって来た。ケンはジョーを襲った突然の不幸に号泣した。
 そんな彼を優しく抱き締め、ジョーが耳元で囁く。
「俺と一緒に来るか」
 ジョーは決心していた。
 このままケンと離れ、病院で治療を受けて無駄に生きながらえる位なら、たとえ僅かの間ではあっても残された日々をケンのために燃焼させたいと。
 彼らはそのまま城を抜け出すと、観光旅行者を装い、ジョーの故郷であるアメリカに渡ったのだった。
「ジョー、やっぱり他の部屋を探そうよ。こんな汚い所じゃ、余計に具合が悪くなってしまうよ」
 ケンは縋り付いたまま頬をジョーの胸に擦り寄せた。ジョーの手が頬に髪に触れる。顔を上げたケンの瞳は心配でたまらないといったように潤んでいた。
「どうしてこんな部屋を選んだの? 僕はもっと…」
 ケンの言葉を遮ってジョーが自分のそれで口唇をふさいだ。
 ケンが瞳を閉じると涙が溢れて頬を滑り落ちる。ジョーの腕がケンの華奢な躰をしっかりと抱き締めた。
 息の続く限りの長い接吻(キス)を交わした後、ジョーはケンを離して立ち上がった。
 窓辺に歩み寄り、閉じられていた窓を大きく開けると、ひんやりと湿った空気が部屋の中を駆けまわる。ケンは床に座ったまま、じっとジョーの後ろ姿を見つめていた。
「…おまえに俺の故郷のありのままを見て欲しい。ただそれだけだ」
 煙雨が風に乗って吹き込んで来る。ジョーはそう言ったきり、風に髪を揺さぶらせていた。
 彼の視線は、窓から見えるセントラルパークの森の遥か彼方に注がれている。何かを願うような儚げな眼差しだった。
 コトン…。
 不意に背後で音がした。
 ジョーが振り返るとケンが慣れない手つきでブラシを持ち、床を一生懸命に擦っていた。近付いて行き、その手を握る。ケンが顔を上げた。青い瞳がジョーを見上げる。
「こっちを使えよ」
 コクンと小さく頷いてケンは差し出されたモップを受け取った。はにかんだように笑いながらゆっくりと立ちあがる。ジョーは微笑みながらケンの形のいい尻を軽く叩いた。
 一通り居間と厨房の掃除を終えた二人は、今度は寝室に取り掛かることにした。
 ところが、ベッドを前にしてまたしてもケンが溜め息をついた。
 黒い鉄製パイプのベッド本体も相当ガタがきているものだが、マットに至っては予想以上にひどかった。前に住んでいた人間の体重がよほど重かったのか、真ん中と左側の部分がかなり沈み込んでいる。埃だらけのマットを裏返してみると、張ってある布が綻び中のスプリングがいくつも飛び出していた。
 ジョーが持ち上げていたマットを離すと、バスンと鈍い音がしてたまりにたまった埃が濛々と舞い上がった。
「これじゃ、安眠どころか、逆にうなされそうだよ」
 思わず咳き込み、口元を手で覆ったケンが端に腰を降ろして端正な顔を顰める。
「いや、ベッドは買い替えるさ」
 手についた埃を叩いて落とし、ジョーはまた掃除を始めた。
「おまえ、その窓ガラスを拭いてくれ」
 そう言い、ジョーは壁に組み込まれたクローゼットの扉を開いた。
 中は比較的綺麗だったが、ジョーは濡れ雑巾で丁寧に拭き始めた。ケンはしぶしぶながらもボロ布でガラスの内側を擦った。
「…ジョー」
 しばらくすると掃除に飽来たのか、屈みこんで奥の壁を拭いていたジョーの背中にケンが甘えるように張り付いて来た。
「なんだよ?」
 ジョーが手を止める。
「あのさ…」
 ケンは艶っぽい声を出して左手をジョーの肩に搦めて躰を密着させると、腰から前に右手を潜り込ませた。ジョーが振り向くと、すぐそばに媚びるような瞳をしたケンの顔があり、吐息が頬にかかる。
「まだ、やらなきゃならない事がいっぱいあるだろ。これから俺と二人きりで暮らすんだ。そんなに急ぐことはないさ」
 媚態を含んだケンの眼差しをするりと躱して立ち上がり、ジョーは何事もなかったかのようにさっさと寝室を出て行った。
「ジョー…」
 思わぬつれない態度にケンは戸惑った。いつものように快く抱いてくれると思っていたのに、少々あてが外れたようだ。壁越しにジョーが何かをしている音が聞こえて来る。
 たとえ腹いせにこのまま拗ねてみたところで、おそらくジョーは無視を続けるだろう。仕方なくケンは抵抗を諦め、言いつけ通りにガラスを磨いた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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