和書>小説・ノンフィクションボーイズラブ小説オレ様


著者プロフィール

 ふゆの 仁子(ふゆの じんこ)
 星座:天秤座・誕生日:10月10日・血液型:A型。

解説

 「俺の心を奪ったのは、ほかでもない君だ。だから、君も共犯者だ」
 神主をつとめる悠は式のまっ最中、その日会ったばかりの男に強引にさらわれてしまう。野性的で自信に満ちた実業家・小野崎は悠を運命の相手だと堂々と宣言。悠は口づけを奪われたばかりか、男の逞しく情熱に溢れた手に感じさせられ……! 何も知らないくせに熱く求愛し続ける小野崎に反発し、悠は彼の想いに応じるための条件として、ある挑戦を突きつけるが……。
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

「悠……」
 小野崎らしくない、切羽詰まった声で名前を呼ばれるだけで、体中が震えた。
 貪るようなキスに、体の芯から溶かされて、何も考えられなくなりそうだった。
 これまでにも、何度となく小野崎にはキスをされ、体に触れられた。けれどそのたび、悠は拒んできた。男との行為に躊躇していないわけではなかったが、それ以上に抱かれてしまうことで、互いの間にある境界線のようなものが崩されることを恐れていた。
 悠のことを何も知らないはずなのに、小野崎は容易に心の内側まで見透かし、芯の部分を揺るがすのだ。必死に繕う仮面を外し、すべてを晒してもいいのだと言われても、そんなことはできない。嫌だと拒むと、小野崎は力ずくで剥がす術を持ちながらそれをせず、徐々に周囲から埋めて、悠が逃げられないまでに追いつめてくる。
 怖かった――何もかもを知られることが。自分でも驚くほど、小野崎に惹かれている。だからこそ、愚かで情けなくて、哀れな自分の本当の姿を晒したくない。
 本当の自分を知ったら、絶対に軽蔑される。自分のすべてを知らないくせにと怒りながら、実際はすべてを知られたくないと思っているのだ。
 狡いのはわかっている。だから隠してると指摘されて、悠は動揺した。恥も外聞も忘れて泣いてしまった。
「悠……」
 ため息の出るほどに優しい指先が、悠の顔の造作のひとつひとつを丹念に撫でていく。

*この続きは製品版でお楽しみください。