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著者プロフィール

 ふゆの 仁子(ふゆの じんこ)
 星座:天秤座・誕生日:10月10日・血液型:A型。

解説

「貴方の腕の中だと、羽のように軽く踊れるのはなぜだろう!?」
 ソシアルダンス界の期待の星・忍は、スランプから踊れなくなってしまう。失意の中、大使主催のパーティーで初めて会った精悍な美丈夫・月川は、忍に「ダンスを教えてほしい」と強引に申し込んできた。二人きりの部屋でのレッスン……艶のある低音と大人の男の香り、重ねられた手と手の熱さに、身体が浮いてしまうような甘さと、ぞくりとする痺れを感じて……。
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

抄録

「何も怖がることはない」
 甘い囁きのあと、そっと唇が重なってきた。
 触れては離れ、離れては触れる。啄むような優しいキスを、僕が慣れるまで何度も何度も繰り返す。そのキスが僕の心と体を解していく。
 気持ちがいい、幸せなキス。
 もっとキスしたいと思う気持ちを、わずかに生まれた羞恥に阻まれる。
「でも……」
「恥ずかしがることもない。素直になって……俺のキスを感じてみるんだ」
 初めて聞いたときからずっと、甘い低音で囁かれるだけで、心が蕩けてしまいそうになる。
 さらに繰り返されるキスも優しい。上唇と下唇を交互に軽く吸われる。
 昨夜、貪られるようにされたキスとはまるで違う。昨夜のキスは、怖かった。心よりも先に体が反応してしまい、その情けなさに逃げ出したくなった。
 味わうことすら許されなかった。困惑した僕にとって、苦いキス以外の何ものでもなかった。
 ただただ胸が締めつけられ追いやられる。そんなキスは、もう二度と経験したくない。幸せになるために、キスをしたい。
 愛し合う気持ちを示すために、キスをしたい。僕は初めて、月川さんに対する気持ちを認めることができる。
 僕は、月川さんのことが、好きなのだ。こうして、キスをしたいほどに。抱き締めてもらいたいほどに。もっともっと近くで感じたいほどに。
「……月川さん……」
 そっと唇を離した月川さんは、僕の顔を見つめていた。

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