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コワクナイ 上

コワクナイ 上


発行: キリック
シリーズ: コワクナイ(梅津裕一)
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 梅津 裕一(うめつ ゆういち)
 『妄想代理人』(原作/今敏)『闇魔術師ネフィリス』『アザゼルの鎖』(すべて角川書店・刊)など、著書多数。ダークファンタジーな世界観で読者を魅了する。

解説

 とある地方都市で突如発生した変異型日本脳炎ウイルス。それは人を高熱で冒すだけでなく、人の感情から「恐怖」を削除する恐ろしい病原体だった。その街の中学校に通う田島和人はウイルスに感染した最初の一人。もともと人一倍臆病な性格のせいでイジメの標的にされていたが、高熱で生死の境をさまよったあとは人が変わったように冷徹で残虐になり、クラスメイトたちを震撼させる。恐怖から解放された和人は、人を殺すことも、警察に捕まることも、自分が死ぬことさえ怖くなかった。何も怖くないということは、何でもできるということなのだ。一方、市内では蚊を媒介に変異型日本脳炎が瞬く間に蔓延。恐怖をなくした人間もゾンビのごとく増殖していく。それがもたらしたのは、人々が自らの欲望のままに、犯し、奪い、殺す……まさに地獄のような世界だった。そんな中、和人は中学の友人の桑原悟と御堂マキの協力を得て、自分をコントロールする術を身につける。そして、街からの脱出を試みようとするのだが……。

 怖くないのが一番、怖い! 鬼才・梅津裕一が恐怖を失った人間の狂気を描く、書き下ろしバイオレンス・ホラー……刮目の上巻!!

抄録

 桑原が珍しく顔色を変えた。
「ちょっと……和人。これ、見てくれ」
 目の前に携帯の液晶画面を差し出された。和人は携帯に並んだ文字に目を落とした。
『俺、二日寝込んでいたら、なんかいろいろ恐くなくなったんですけど』
『kwsk』
『なんか俺、高いとことか苦手だったんだけど、急に平気になった。すげー気分よくて。でも、ラリってるとかじゃないの』
『マジ? って例の新型ウイルス関係してるのかな?』
『わかんね』
『はじめまして。僕も一昨日あたりからなにも恐くありません。格好つけてるわけじゃないです』
 それから七人ほどの人々がいろいろと体験談を語っていた。
 間違いない。誰もが和人たちと同じ症状を発している。
『でも、なにも恐くないって、結構いい』
『うん。今なんか町中大変みたいだし、犯罪とかしちゃおうかw』
『さりげなく賛成』
『レイプとかしてみる?』
『レイプキタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━!!!!』
『どうせなら若くて可愛い子がいい。みんなでまわさね?』
『いいね、JCとか』
『なにそれ』
『女子中学生。略してJC』
『今度はロリキタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━!!!!』
『誰か、いい子しらね?』
『俺、三中なんすけど、いいのいますよ。すげー可愛いんだけど生意気で、女王様みたいな奴』
『いいねいいねー』
『親が市議会議員で、御堂っていうんですけど』
 背筋に電流を流されたような衝撃がきた。
『御堂って……知ってる。あの御堂御殿の御堂だろ』
『でも警備とか厳しい予感』
『いや。今、結構、町中荒れてるからいけるかもしれん』
『いっちょ、やってみる?』
『じゃあ今から御堂御殿前に集合でどうかな? 時間は二時で』
『合い言葉とか決めとく?』
『JCハンターとかどうよ』
『安易だがよくね?』
『なんかわくわくするね。武器とかいるかなあ』
『金属バットとか、ゴルフクラブとか推奨。警護の奴とかと出くわしたときの対策。鈍器で打撃は案外、楽に殺せるらしい』
『殺しもありか』
『リアル狩りすか。いいすね』
 なんだこれは、と携帯の画面でスクロールする文字の群れを見つめた。
 ためらいも罪悪感もなにも感じられない。
 まるでピクニックの相談でもするかのように顔も知らない相手同士で、御堂マキをレイプするというおぞましい計画が進行しているのだ。
 彼らは理性を失っているわけではない。失ったのは恐怖心だけだ。
 それが悪いことだと理解できないのだろうか?
 いや、自分も人のことを言えた義理ではない。最初に栗田と喧嘩をしたとき、殺しても構わないと思った。祥一のときも目玉をくり抜いても構わないと思った。
 人間が悪事とわかっていても悪いことをする生き物であることは、理解しているつもりだった。だが、もう少しモラルや「善悪の判断」といったものが人間のなかで強く機能しないのだろうか。
 少なくとも……今、ふたり人を殺したばかりの井岡にもあまり罪悪感は感じられない。これはウイルスの副作用により恐怖だけでなく罪悪感も失われてしまったことを意味するのではないか。
 それとも人が犯罪を行わないのは「モラルに反するから」でも「悪いとこだから」でもなく、「悪いことをすると刑事罰をうけるのが恐いから」というただそれだけの理由なのだろうか。
 いずれにせよ、ぐすぐずしている暇はない。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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