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コワクナイ 下

コワクナイ 下


発行: キリック
シリーズ: コワクナイ(梅津裕一)
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 梅津 裕一(うめつ ゆういち)
 『妄想代理人』(原作/今敏)『闇魔術師ネフィリス』『アザゼルの鎖』(すべて角川書店・刊)など、著書多数。ダークファンタジーな世界観で読者を魅了する。

解説

 とある地方都市で突如発生した変異型日本脳炎ウイルス。それは人を高熱で冒すだけでなく、人の感情から「恐怖」を削除する恐ろしい病原体だった。その街の中学校に通う田島和人はウイルスに感染した最初の一人。もともと人一倍臆病な性格のせいでイジメの標的にされていたが、高熱で生死の境をさまよったあとは人が変わったように冷徹で残虐になり、クラスメイトたちを震撼させる。恐怖から解放された和人は、人を殺すことも、警察に捕まることも、自分が死ぬことさえ怖くなかった。何も怖くないということは、何でもできるということなのだ。一方、市内では蚊を媒介に変異型日本脳炎が瞬く間に蔓延。恐怖をなくした人間もゾンビのごとく増殖していく。それがもたらしたのは、人々が自らの欲望のままに、犯し、奪い、殺す……まさに地獄のような世界だった。そんな中、和人は中学の友人の桑原悟と御堂マキの協力を得て、自分をコントロールする術を身につける。そして、街からの脱出を試みようとするのだが……。

 怖くないのが一番、怖い! 鬼才・梅津裕一が恐怖を失った人間の狂気を描く、書き下ろしバイオレンス・ホラー……衝撃の下巻!!

抄録

 人体実験の犠牲者。
 そんなことは関係ない。
 問題は田島和人の行為だ。彼がなにをしでかしたかが問題なのだ。
「田島和人!」
 再度、城島は絶叫した。
「この……ゾンビめ。おまえのせいで……いや、お前が女房と、娘を殺した……」
「え?」
 心底、驚いたといったふうに田島和人が顔を歪めた。
「なに……なに言っているんですか。僕は……やってない」
「嘘をつけ。俺はちゃんとお前が、女房と娘を殺すところを見て……」
 そこで違和感を覚えた。
 殺されるところを、自分は「見た」だろうか?
 そんな記憶はあっただろうか。
 本能が異常を告げている。なぜ、自分は田島和人が二人を殺したと知ったのだろう。
 とにかく彼が殺したことは間違いない。そうだ。だれか……思い出した、あの桑原という少年が目撃したのだ。
 そうに決まっている。
「ネタはあがってるんだ! このゾンビ野郎め! お前が……道子と凛子を殺した! お前が殺したんだ、お前が!」
「そんなこと……やってない」
 生意気にも、ゾンビのくせに田島和人は怯えたようなふりをしていた。まさに迫真の演技だ。見ているだけで虫酸が走る。
「本当です。やってないんです! 僕は……たしかに人を殺した。でも、それはマキを襲おうとした男たちで……」
「しらばっくれるな」
 頭痛がしてきた。
 吐き気と寒気が同時に襲い掛かってくる。眩暈を感じるのは、あるいは寝不足と疲労のためだろうか。
「ゆるせねえ……貴様みたいなゾンビ野郎は……」
「待って」
 ひどく超然とした口調で御堂マキが言った。
「刑事さん……なんでしょう? なにか勘違いしてる。おかしいよ。だって和人にそんな、女の人や子供を殺すような真似は……」
「御堂マキさん、ですね」
 城島は言った。
「あなたは騙されている。ゾンビは、恐怖を失っている。つまり、恐いものがなにもない。まだ警察権力を恐れるだけの『想像力』が残っているゾンビもいるが、たいていのゾンビは恐怖を失うと、そんな理性も一緒にどこかに置き忘れる」
「そりゃちょっと違うだろう」
 ホームレスらしき男が、口の端をつり上げて笑っていた。
「もう、この街じゃ警察権力なんて機能していない。あんたの言う『ゾンビ』はそれを知っているから無茶をやっただけだ。もし警察がちゃんとしていたら『犯罪を犯せば警察に捕まる』という計算ができる奴もいて、ここまで酷いことにはならなかった……そうじゃないか?」
「黙れ!」
 それは内心、城島も感じていたことだった。
 初動のうちに警察組織がしっかり対応していれば。何度も考えたことだ。県警本部や署内の幹部どもがもっとしっかりしていれば……。
「だからなんだって言うんだ! とにかくお前たちが悪いんだ! お前たちゾンビが……それに、田島和人! お前は俺の妻子を殺したんだぞ! 自分のしでかしたことの意味がわかっているのか!」
「だったら令状とってから逮捕しろよ。いくら刑事だからって無茶はよくない」
 ホームレスらしい男は、あるいは警察そのものに敵意を抱いているのかもしれない。こうした社会のクズのような人間ほど、国家や権力に対して文句を言う。
「今は緊急時だ! 令状なんてとってる暇もないし、市内の裁判所の支部だって機能してない! とにかく俺たち警察が主体的に動いて市民の安全を守るしかないんだ……」
「だから私刑も許されるってのか?」
 このホームレスは、いちいち痛いところをついてくる。
「緊急事態だ! 仕方ないんだ! こいつは俺の娘を殺した!」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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