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愛の言葉を囁いて【特別版】

愛の言葉を囁いて【特別版】

著: いとう由貴
発行: 笠倉出版社
レーベル: CROSS NOVELS



解説

 【単行本未収録の短編をセットした特別版!】
 「教えてやろう――男に愛されるすべてを」
 ハートリー・グループ総帥のジェラルドに見初められた春彦は、契約を結ぶ為に接待をさせられることになる。半ば騙された形での拘束に春彦は抗うが、逆らう毎に繰り返されるお仕置きに、心は次第に麻痺していく。人格を無視され、人形のように抱かれる日々。ジェラルドにとって自分は恋人でなく、所詮愛玩物でしかないことに戸惑いを抑えられなくなった春彦は脱走を試みるが!?
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

目次

愛の言葉を囁いて
特別付録

抄録

『可愛いな、春彦。わたしはジェラルド・ハートリー。特別に、ジェラルドと呼ぶことを許してやろう。ベッドに行こうか? それとも、ここがいいか?』
 ネクタイの結び目に指をかけられる。
 布地の擦れる音に、春彦ははっとして我を取り戻した。口づけにぼうっとしている場合ではない。
『冗談はやめてください! 僕はそんな接待なんてしません。放してください』
 ネクタイを解く手を払いのけ、ジェラルドを睨んだ。なにが特別にジェラルドと呼ぶことを許してやるだ。ふざけるな。
『乱暴だな、いけない子だ。契約を野田製作所と結んでもいいんだよ?』
 ジェラルドの怖いくらいに澄んだ碧い目が、面白そうに春彦を見つめる。
 ――契約……?
 そういえば、これがハートリー・グループとの業務提携のための接待だったことを春彦は思い出す。
 だが、接待のために春彦の身体を投げ出さなくてはならないなんて聞いていない。
『そんなこと……僕に言われても……』
 春彦は小久保電器産業の社員ではない。子会社の小久保精機の人間だ。それに、そもそもこんな接待なんてあるだろうか。ジェラルドが喉の奥で小さく笑い、春彦の顎をくすぐってきた。
『いいのかな、そんなことを言って。もしも小久保電器ではなく野田製作所と提携することになったら、小久保電器はとても困るのではないかな。業績もぐっと落ちることになるかもしれない。そうなったら、それはすべて君の責任ということになる』
『僕の責任って……え……』
 春彦は額を押さえ、首を振った。ところどころ意味がわからないところがある。簡単な英会話ならともかく、込み入った話になるとなにを言っているのかうまくわからなかった。
「責任ってなんで? なにが僕の責任なんだよ。英語で言われたって、意味がわからないよ」
 どうしたらよいのか混乱して、春彦は自分でも気づかないうちに日本語で呟いていた。
『なに?』
 ジェラルドが問いかけてくる。英語での問いかけに春彦は感情を抑えきれず、ジェラルドを睨んだ。
「英語なんかで言われたって、わけわかんないよ! なんで僕の責任なんだよ! こんな接待なんて、接待であるわけがないだろう? 冗談もいいかげんにしろ!」

*この続きは製品版でお楽しみください。