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著者プロフィール

 甲山 蓮子(こうやま れんこ)
 3月2日生まれの魚座。埼玉県出身・O型。

解説

 上海の名家・劉家の後継者である悠貴は、美貌と冷徹な仕事ぶりで『氷華』と呼ばれている。劉グループ立て直しのため実業家の幡銘樹と組むことになった悠貴だが、幡に「提携したければ自分と寝ろ」と言われ、交渉はいきなり決裂寸前に。プライドを傷つけられたのも事実だが、人との関わりに臆病でいまだ恋さえ知らない悠貴には、男に抱かれるなど論外だった。だが、お預けを食わせたまま話し合いを続けるうちに、悠貴は幡の型破りな行動と粗野な優しさに惹かれ始める。その矢先、幡は薬で悠貴の自由を奪って抱くという暴挙に出て……。
※こちらの作品にはイラストが収録されていません。

目次

情人

抄録

 あの時の男が幡?
 よく見れば目鼻立ちは同じなのに、ずっと抱いていた彼のイメージと違う。あの時の幡はぶっきらぼうな感じだったが優しくて、初対面なのにさほど緊張することはなかった。年を取ったからだとしても、こんなに意地の悪い人間になっているなんて……。
「私にがっかりしたと? そう言いたいのは私の方だ。あなたがそんなに性格が悪い人間だったとは、失望した」
 あの後、祖父や周りの人に聞いたが彼のことはわからなかった。
 時間が経つにつれ、彼と出会ったことが夢ではないかと思うようになった。もしかしたら、私を心配した両親があの世から彼を遣わしてくれたのではと。そうでなければ、自分があんなに素直に泣けたことも、両親への悲しみが薄れたことも説明がつかない気がした。
 心底彼には感謝していたのに、夢を壊された気分だ。
「俺を忘れていなかったんだ。まあ、時間が経つと相手を自分の都合のいいように美化するからな。自分で言うのは何だが、俺はかなり魅力的な男だと思うぜ」
「確かに。お祖父様はあなたのビジネスセンスを認めてらっしゃる」
「俺の魅力は金儲けの能力だけか?」
「ビジネスパートナーには一番の能力のはずですが」
「それも李の受け売りか? 能力より、信頼だろうが?」
 ずいっと、幡が身を乗り出す。
「俺はまず、相手を信頼できるかどうかで提携を考える。今のお前じゃ、安心できん」
 本人を目の前にして、なんて失礼な男だ。
 事前に祖父と話が通っているのだから、いまさら『信頼』なんて言葉を持ってきても無意味ではないか。
「あなたに信頼していただけるには、かなり時間がかかりそうですね」
「そうかな。俺はお前より単純な男だぜ」
 どこが単純なんだ?
 面倒このうえない性格のようだが、祖父の決めた提携相手だ。ここは我慢するしかない。
 食事をしながら、お互いのビジネスを擦り合わせることを第一にするか。
「まずは食事をしませんか? そのためにここに来たのですよ」
「飯を食べながら、腹の探り合いなんて勘弁しろよ。まあ、食事の後に、お前の性根を短時間で計る具体的な方法に乗るって言うなら、大人しくつき合ってもいいぜ?」
 意味がわからず見つめ返すと、幡の顔が近づく。
「俺と寝ろ」
「……?」
 何を言われたのかわからない。私は言葉もなく、幡を凝視した。

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