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MOTHER

MOTHER


発行: オンライン出版
シリーズ: MOTHER
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 久美 沙織(くみ さおり)
 1959年4月30日、盛岡市生まれ。O型。上智大学文学部哲学科卒業。
 79年「水曜日の夢はとても綺麗な悪夢だった」でデビュー。集英社文庫コバルト・シリーズに、「宿なしミウ」「抱いてアンフィニ」「丘の上のミッキー」シリーズなどがある。
 また、「MOTHER」「ソーントーン・サイクル」シリーズなどSF・ファンタジーの分野でも傑作を発表。実力派作家として活躍するかたわら、小説家志望者たちの育成にも力を注いでいる。

解説

 やっぱりあたしがついててあげなくちゃ――不思議な力を持つ少女アナは、スポーツ万能のケン、天才科学少年のロイドと一緒に、地球の危機を救う闘いに立ち上がる。マジカントの国の女王、クィーン・マリーの助力を得るため、世界中に散らばった8つのメロディを探す3人に、宇宙人の魔手が忍び寄る。恐るべき敵の正体とは…?
 糸井重里入魂の超大型RPGを完全小説化!

目次

1  白夜の村
2  戦士たち
3  幽霊屋敷
4  砂漠にて
5  クィーン・マリーの贈りもの
6  不良の町バレンタイン
7  家へ
8  秘密の湖
9  最後の戦い
10 そして次の旅へ

抄録

 「……違う! ここも行き止まりだ!」
 先のほうで、怒ったようにロイドが言う声がしました。ケンはものも言わずに踵(きびす)を返して、今降りて来た階段を登りはじめ、途端にギクリと足を止めました。
 「……どうしたの……?」
 擦(かす)れた声をようやく絞り出すと、ケンの胸が揺れました。薄くあけた眼に、眉から眼にかけてはとても真剣なのに、口許(くちもと)がはげますように笑っている、不思議なケンの表情が、ななめになってアナを見降ろしていました。
 「立てる?」
 声も静かでゆっくりで、いやにやさしい感じでした。
 「うん」
 「じゃあ。下ろすよ」
 膝をかがめて、そうっとつま先をつけて、それからゆっくり起こしてくれたのですけれども。長い事絶叫マシーンに乗りっぱなしだったみたいなアナのからだはやはりふらふらで、どの方向が地面に対して垂直であるのかを自力では決めかねました。よろけるアナの肩をあわてて押えながら、ケンは、さっきのいつもよりだいぶやさしい声のまま、そっと言いました。
 「退(さが)っていて」
 まだ痛んでしかたのない眼をごくごく薄くだけ開けてみて、アナは見ました。階段の向うから、鈍く輝く鎧姿の騎士がふたりも、ゆっくりゆっくりと降りて来るところだったのです!
 そう言えば、ガシャン、ガシャン、と重たいものがぶつかるような気味の悪い音が、ずっと聞こえていたのでした。だんだん近付いて来ていたのでした。
 叫ぼうとして振り向くと、ロイドはロイドで、見るからに幽霊らしいふわふわと空中を漂うものと無言でにらみあっているではありませんか!
 じりり、じりり、とケンが下がって来ました。
 もそり、もそり、とロイドが上がって来ました。
 三人は階段の途中で、上と下からなんとも強そうな敵たちに挟まれて、少しずつ少しずつ追い詰められているのでした。
 これがあの有名な、絶体絶命というものではないでしょうか。
 「アナ」
 ケンが向うを向いたままつぶやきました。
 「なぁに」
 「短いつきあいだったな。けっこう楽しかった。イヤミばっか、言ってごめんな」
 アナはのどが詰って返事ができませんでしたけれども。
 「やめてくれよ。縁起でもない」
 ロイドが、少々無理っぽい声で笑いました。
 「諦めるのはまだ早い。知らないか、正義は必ず勝つんだぜ! ……行くぞぉぉぉぉ……やぁぁっ!!」
 凄(すさま)じい気合いが走ったかと思うと、ロイドが幽霊にブーメランを投げつけました! たちまち敵は白熱したかのようにふくれあがり、アナは思わず、やった! と叫びそうになりましたが、爆発する瞬間そいつは調子っぱずれのベルのようなとんでもない悲鳴をあげたのです。
 びりりりりりりりりり〜〜ん!!
 するとどうでしょう。あっちの壁から、こっちの床から、天井や柱やかけられた肖像画の中からさえ、全く同じかたちの幽霊たちがわんさか出てくるじゃあありませんか!

本の情報

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