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プティまり文庫 LOVE TRAP

プティまり文庫 LOVE TRAP


発行: マリクロ
レーベル: プティまり文庫
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 羽咲 らいら(はねさき らいら)
 大阪府出身大阪府在住。執筆歴は約三年。それまでは小説より断然漫画派だったので、この業界の知識も浅い。好きな事はとことん没頭するが、苦手な事はとことん無頓着。面倒くさがりで、極度の「機械音痴」。警察ものややくざものなど、アクション要素の高いものが全般的に実は好み。関西人ゆえか、本能的にオチに拘る。現在幼い三児の母でもある。

解説

「精神的な意味で、俺に縛られてみよっか?」
 この言葉から始まった奇妙な二人の関係。高飛車ビッチ女、美月《みつき》と、策士で遊び人のS男、夜広《やひろ》。硬派な男が好きで、軟派な男が嫌いな美月なのに、気付くと強引に夜広の口車に乗せられていた。優しく甘やかしたり、素っ気なく突き放したりと、怒濤の恋の駆け引きが始まる。そして巧妙な罠に知らず嵌り始めていた。誰かに支配され、独占されるのがこんなに心地いいとは知らなかった――。

抄録

 そこには、先ほどまで他の女とキスしていた夜広がいた。
 今は顔を見られたくない。かろうじて涙は出ていないが、おそらく目が赤く潤んでいる。
 自分が今、どんな顔をしているのかわからない。
「覗き魔、発見」
 なのに夜広は、わざと私の顔を覗き込んでくる。夜広の髪が私の髪を撫でるほどに、距離が近い。
 ばつが悪く、顔を上げられない。私はまだ混乱していたのだろう。
 しかし夜広はそれを汲んでくれるような生易しい男ではないのだ。そんな私をさらに追い詰めるように、低い声で誘う。
「キスしろよ……」
「………は?」
 私は間抜けな声を出してしまった。
 命令口調の夜広の口元は歪んでいるのに、目は笑っていない。どうやら本気だとわかり、私は信じられないとばかりに夜広を見上げた。
 しかし夜広の目は私をジッと見据えていて、空気が張り詰めているのがわかる。いつもの飄々とした姿はなりを潜め、獲物を狙い定めるような鋭い目に気圧され、反抗する気持ちが萎んでいく。
 ふと、夜広の唇に目をやった。その唇は少し濡れている気がした。
 ぐっと、胸の奥からどす黒いものが這い上がってくる。
 それこそが、夜広が先ほどまで確かに他の女と唇を重ねていたと示唆している。しかも、この男は私に気づいていながら中断しなかったのだ。
 むしろ、見せつけて楽しんでいたのではないかとさえ思えた。
 それでいて、今は私にキスをしろと?
 冗談じゃない。普通なら絶対に嫌なはずなのに――。
 なのに、どうしてか、私は「嫌だ」と言えないでいる。
「お前からしろよ」
 はっとして、夜広を見た。
 私にさらなる追い打ちをかける夜広は、酷く蠱惑的な表情をしていた。唇をそっと舌で湿らせるその仕草に、私はドキッとして身を竦めた。
 まだ混乱しているし、躊躇している。でも目を逸らせない。
 悔しい――。
 だけど、身を寄せられて夜広の体温や匂いに包まれると、膝が折れて立っていられなくなりそうだった。縋るように夜広の服を掴むと、凭れかかるように体が擦り寄る形になる。
 それを見て、夜広が柔らかく相好を崩した。ほら、と優しく微笑まれる。顎を取られて正面を向かされ、せがむように促されると、もう何がなんだかよくわからなくなってくる。
 まさに飴と鞭。
 恐ろしいほどの性悪男だ。
 なのに至近距離で見つめられると、その熱のこもった目に射抜かれて、息が詰まる。巻き込まれるように、余計な事は考えられなくなっていく。
 自分はきっと、今、少しおかしいのだ。
 だから、目の前の夜広に思い切り抱きつきたいなどと考えてしまうのだ。手放しで飛び込んで、甘えたいなどと愚かな事を考えてしまうのだ。
「美月……」
 甘い声が鼓膜をくすぐる。もう逃げられない。
 私は背伸びをして、夜広の唇に自身のそれを近づけていた。それだけで息が上がる。
 この瞬間だけでいいから、この男に捕らわれたい――。
 全身が熱くて、心臓の音がうるさい。私は今、正常な判断が出来ない状態なのだと思う。
 だからだ。
 そう理由づけて、私は夜広にそっと口づけた。
 柔らかい皮膚の感触。じわりとそこから広がっていく甘美な熱。
 夜広の手が私の髪の隙間を縫って後頭部を押さえ、腰に回された手が私を力強く支えてくる。
 離れて、再び角度を変えてキスをした。今度は深いキス。粘膜を掻きわけて絡め取るようなキス。求められていると感じる。
 私は恍惚となる。そして夜広は妖艶に笑い、熱っぽく掠れた声で囁いた。
「美月、お前かわいいな……」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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