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「心とおなか」の相談室

「心とおなか」の相談室


発行: 日本放送出版協会
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 香山 リカ(かやま りか)
 一九六〇年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、各メディアで社会批評、文化批評を通じて現代人の「心の病」についての洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。精神科医。神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科助教授。

解説

 あなたの「食卓」はハッピーですか?
 食べる、作る、片付ける……。身近すぎてだれもが見過ごしていた「食」にまつわる心理を、Q&Aでやさしく答える〈相談室〉と〈解説〉編で丁寧に分析します。

目次

はじめに


第一章 台所は「女の城」か
 相談室
  私は調理マシーンではいのに、と悲しくなります
  「料理好きの男だっているのだ」と、どうしたら母親に理解てもらえるでしょう
 (以下、略)


第ニ章 根強い手作り神話
 相談室
  しばらく通って料理を作ってあげるべきでしょうか?
  わが子の食生活がこれでは、母親失格かと気が重い日々です
 (以下、略)


第三章 健康オタクは長生きするか?
 相談室
  ああいうのは、どのくらい信じたらよいのでしょうか?
  このままではスーパーに行けなくなる、なんてことはないでしょうか
 (以下、略)


第四章 あれもこれも……欲張な私
 相談室
  雑念を追い払って、最初の計画通りに作るには、どうしたらよいのでしょうか?
  なぜ、必要な分だけ買うことができないのでしょう!?
 (以下、略)


第五章 苦手は克服すべきでしょうか?
 相談室
  でも、実は、包丁が怖くて仕方ないのです
 はっきり言って「料理はキライ」
 (以下、略)


第六章 私、疲れている?
 相談室
  このままだと過食症ですよね
  最近、味覚がどんどん鈍くなってきた気がします
 (以下、略)


おわりに

抄録

第一章
台所は「女の城」か


Q 結婚して四〇年、これまで毎日、毎日、家族のために食事を作ってきました。でも、夫はもちろん、子どもたちも「あたりまえ」という感じで、食卓に並べられたものを無言で食べるだけ。私は調理マシーンではないのに、と悲しくなります。
(六〇代女性・専業主婦・福島県)


A ご質問を読みながら、「そういえば私も母親に、『いつも食事のしたくありがとう、感謝しています』なんて言ったことないや」と冷や汗が出ました。かといって、父親に「お仕事お疲れさま。高校や大学に行けたのもお父さんのおかげです」と言ったこともないのですがね。
 でも、よく思い出してみると、母親は仕事から戻った父親に、ときどき「ごくろうさま、お疲れでしょう」と声をかけていた気も。もちろん、父の返事は「…うむ」程度。
 お父さんに反抗して、お母さんから「あんたたちのために働いてくれているお父さんに、その言い方はないでしょ!」と怒られた経験がある人もいると思います。そうやって男性はかろうじて(?)妻や子どもにねぎらいの言葉をかけてもらえるけれど、家庭の主婦は夫からも子どもからも「ありがとう」「お疲れさま」とは言ってもらえない。たしかにこれでは、「どうして?」とむなしい気持ちになってしまうのもあたりまえ。
 一時、主婦の家事労働を賃金に換算してみれば、という計算が流行った時期がありました。一日、何時間労働だとして時給いくらだとすれば、一か月約二〇万円にはなるはず……。という感じ。でも、そこで「これまでタダ働きだった!」と怒って夫や子どもに「家事の給料、払ってよ」と要求した女性は、ほとんどいないはず。多くの女性は、「そうか、私にはそれくらいの賃金を稼ぐ労働能力があるってことか」とその結果に自信を高め、中には「じゃ、外で働いてみよう」と、パートなどに出る決意をした人もいるでしょう。
 そう、つまり女性たちは、決して「家事に見合った報酬をちょうだいよ」と言っているわけではない。本当にそうだとしたら、みんなで自分の家じゃなくて、ほかの家で家事のアルバイトをし合ってパート代を稼ぐ、といったシステムもできたはず。そうならずに、主婦が、自分の家庭の家事を続けているのは、単にお金の節約のためじゃない。自分の家の仕事をして、家族の健康やコンディションを管理するのは、高いマネジメント能力を要求されるクリエイティブなお仕事。それって、けっこうハマルものだと思うのです。
 反論もあるとは思いますが、多くの主婦は家庭のプロデューサーとして、知的な楽しみに酔いながら家事をしている。だって、子どもたちや夫が自分の腕ひとつでどんどん成長したり、思わぬ実力を発揮したりするのです。こんな手ごたえはなかなか味わえるものではありません。そういう高度な主婦の仕事を「時給いくら」で換算すること自体、失礼な話ではないですか。
 最初の話に戻りますが、人間は、人から強制されない限り、なかなか自然に「ありがとう」とは言えません。それに、「ほら、お母さんにありがとうは?」と要求して、家族にそう言われてもあまりうれしくないでしょう。それよりも、「私って実はこの家庭のプロデューサー。家族のマネジメントは私が一手に行っているってことに、みんな気づかないのね。ふふふ」と、カゲのプロデューサー役を楽しんでみてはどうでしょう。
 家族のメンバー間の人間関係などを広い視点からとらえることを、心理学では「『家族力動』を考える」と言います。私は家庭の中でこれができるのは、実は母親だけ、と思っています。「今、うちの家庭ではお父さんの勢力がやや弱体化し、めざましい成長を見せる息子が台頭してきているわね。ここはひとつ、お父さんをケアしなくちゃ」などと家庭力動を読みながら、家庭という舞台をプロデュース。しかも、そうされていることをほかの家族はだれも知らない。
 主婦は、舞台の登場人物でもあるし、袖から進行を見守る演出家でもある。家族から「いつもありがとう」と言われない主婦であればあるほど、きっと名プロデューサーだと思うのですがね。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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