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愛してるっていわせたい

愛してるっていわせたい


発行: 講談社
レーベル: 講談社X文庫ティーンズハート シリーズ: アイドルは名探偵
価格:430pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 井上 ほのか(いのうえ ほのか)
 1964年1月25日生。東京生まれ。水がめ座。血液型O型。国学院大学文・史学科卒業。
 「アイドルは名探偵」でデビュー。著書に、「少年探偵セディ・エロル」シリーズ、SFアクション「都市戦記・妖魔アルディーン」、「ルーン・エンジェルス・シリーズ」などがある。
 趣味は散歩と大工仕事。少林寺拳法2段。
 ホームページ「INOUE BOX」 http://www.catnet.ne.jp/inouebox/

解説

 お元気してますか? 八手真名子(やてまなこ)は16歳になりました。美少女アイドル癸院△垢瓦た裕い呂いい鵑世韻鼻⊃看曚離織佑蓮■贈討旅郤のこと。ちっとも恋が進んでいかないの。
 おまけに、ミステリ好きの克樹に事件の謎解きを依頼してきたのが、あでやかな日舞の師匠。な、なんと17歳の未亡人! もオッ、克樹に色っぽい流し目送るの、やめてよネッ! ところがこれ、強気の克樹が初めて頭かかえる超難事件。やっぱり真名子じゃなくっちゃ!

目次

プロローグ
1、御所車螺鈿薄墨牡丹模様(ごしょぐるまらでんうすずみぼたんもよう)
2、温習会当日
3、プロバビリティの殺人?
4、手負いの虎(とら)――殺人は癖(くせ)になる
5、許婚(いいなずけ)未亡人
エピローグ
あとがき

抄録

 「あの人が、家元?」
 人々にかこまれて座っている老人がいた。
 「はい、私のおじいさまです。そして、その横にいるのがお話しした優叔父さまです」
 わたしと克樹はいっせいに、家元の隣の席の男に注目した。桜童子優。年齢は40代なかばか……ただ見たところは、立派な整った顔立ちの壮年の紳士だわ。でも、よく気をつけると口もとがかなり冷酷そうなのがわかる。
 この人に、どんなに親切にされても安心してはいけないわね。
 「それで……僕たちはこれからどうしようか?」
 ふりかえった克樹が、小声で言った。たぶん、克樹としては聞き込みとか、そういうことを考えていたのに違いない。けれども、晶の答えは、
 「何もなさらなくて、けっこうですわ。ただ私を助けてくだされば……」
 どういう意味かと問いなおそうとした克樹を制して、彼女は何かをジッと待っているようすだった。やがて、演目と演目のあいだに、一瞬舞台の証明が消えるときがきた。
 「今です、来て!」
 ささやいたと同時に、彼女は克樹の手をとって、すばやく通路を歩きだした。桜童子の人々がいる席のあたりで、低く、
 「……晶です、遅れましてすみません……」
 「おお、晶か。遅かったじゃないか!」
 そう言ったのは、たぶん家元の泰一郎老人だったと思う。そこで、舞台のライトがふたたびつく、全員また物が見えるようになったその瞬間。
 「キャアアアッ!!」
 ひきさくような女の悲鳴に、わたしは仰天した。なに!?
 悲鳴をあげたのは、優叔父の三度目の奥さん、美也子さんだった。彼女は、恐怖でゆがんだような表情でまっすぐ克樹を指さしている。
 ――え? 克樹が、どうかしたの?
 克樹自身、狐につままれたような顔であたりを見回しているが、その周囲から叫びやわけのわからない動揺が、まるで波のように広がっていく。
 その背中を晶の手が、ドンと突いた。予告もなく突かれて、克樹が二、三歩よろめきながら前へでる。優という人の手が、まるで何かから身を守るように前へ出され……。
 「家元! 家元、どうなさいましたッ!?」
 そのとき、朋子さんの声がその場に響いた。泰一郎老人を見ると、身体をきつく曲げて、前かがみになって椅子の背をつかんでいる。
 「おじいさまッ!?」
 ただ一人、冷静に事態を見守ってきた晶が、はじめてとり乱した声高(こわだか)で叫んだ。
 それを聞いて、やっと優叔父の手が面(おもて)からどけられた。彼は、立ちあがった。
 「君は……誰かね?」
 のどの底がかすれたみたいな声で、克樹にたずねる。
 「僕は、あの……晶さんの友人で藤原克樹という者です」
 聞くなり彼はほかの人々を押しのけ、晶の前へいき、克樹が止める間もあらばこそ、腕をいっぱいにのばして彼女のほおをなぐった。
 「この……バカめがッ!」
 「なにするんですか!」
 克樹があいだに入らなければ、続いて何度もやっていたかもしれない。
 いつの間にか、会場の明かりは全部ついていて、誰もが立ちあがって何が起こったのか見ようとした。
 「誰か、来て! 家元のおかげんが……」
 大混乱だった。そして、(うわさに聞く)バーゲンセールのような混乱のなかからわたしと克樹をつれ出してくれたのは、
 「君たち、とにかく早くこっちへ。特に君、克樹君といったっけ? 君は一刻も早く会場から出てくれたまえ」
 気がつくと、晶の姿はどこかに消え、わたしたちは必死でその人について行くしかなかった。

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