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反常識の対人心理学

反常識の対人心理学


発行: 日本放送出版協会
価格:400pt
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 相川 充(あいかわ あつし)
 東京学芸大学総合教育科学系教育心理学講座学校心理学分野教授 博士(心理学)
 群馬県生まれ。茨城大学卒業後、広島大学大学院に進み、博士課程終了。
 宮崎大学助教授を経て、1993年より東京学芸大学教育学部心理学科助教授。2004年より現職。
 実験や調査によって人間関係について分析する「対人心理学」が専門。

解説

 「人の話はしゃべりながら聴け」「内容のない言い訳でもした方がよい」「人にものを頼む時は、いったん断らせろ」……これらは、今までの常識である「人の話は黙って聞く」「言い訳は見苦しい」「人にものを頼む時にはひたすらお願いする」という態度からすれば、とてもおかしく思えます。
 ですが、実は、人と上手に付き合うポイントはここにあったのです!
 常識に囚われて、人間関係で損をしていませんか?
 本書を読めば、これまで苦手だった人間関係が、楽しいものだと感じられるようになるかもしれません。
 対人心理学に基づいた、「反常識」な人との付き合い方を解説します。

目次

はじめに
第一章 人をみる
第二章 人を惹きつける
第三章 異性に惹きつけられる
第四章 人の話を聴く
第五章 人にものを頼む
第六章 人を説得する
第七章 人に従う
第八章 人と助け合う
第九章 人との葛藤に対処する
第十章 上手に自分を守る
第十一章 対人感情について知る
第十二章 親密な関係が終わる
参考文献
あとがき

抄録

 会ったことのない人についてのうわさを聞くことがある。顔も知らないし、今後もその人と会うことはないかもしれないが、断片的なうわさで、その“まだ見ぬ人”を思い浮かべることがある。
 たとえば、会ったこともない「鈴木さん」という人のうわさを聞いたとしよう。「鈴木さん」に関する次のような断片的な情報をゆっくり読んで、頭の中に「鈴木さん」の人物像を思い浮かべていただきたい。
「鈴木さんは、知的で、勤勉で、批判力に優れていて、衝動的で、頑固で、嫉妬深い」
 あなたの頭の中で「鈴木さん」は、どのような人物として思い浮かんだだろうか。
 次に、同じように、いまだかつて会ったことのない「田中さん」に関する情報を列挙するので、どのような人物であるか、イメージしていただきたい。
「田中さんは、嫉妬深くて、頑固で、衝動的で、批判力に優れていて、勤勉で、知的だ」
 さて、あなたの頭の中に、どのような「田中さん」像ができ上がっただろうか。「鈴木さん」とは、違った人物像になったのではないだろうか? そもそも、「田中さん」は、あなたの頭の中で男性だろうか、女性だろうか?
 お気づきのように、「鈴木さん」に関する情報も「田中さん」に関する情報も、中身は全く同じである。ただ順番が逆になっている。それだけの違いであるにもかかわらず、あなたの頭の中には全く別の人物像が思い浮かんだに違いない。
 このように、断片的な情報からでも私たちは、ある人物についての具体的なイメージを持つが、それが本人の実体と合致しているかどうかは危うい。その証拠に、同じ情報内容でも、それが、どのような順番で届いたかによって、私たちは違った人物像を思い描いてしまうのである。


情報のかたまり=「スキーマ」


 実験によれば、「鈴木さん」に関する情報の順番は、「有能で、世の中で成功をおさめている人物」というような印象をつくりやすく、「田中さん」に関する順番は、「心の狭い、つき合いにくい人物」というような印象をつくりやすい。これは、「鈴木さん」の場合、まず、「知的」という情報が一番最初にきているのに対して、「田中さん」の場合は、「嫉妬深い」という情報が最初にきていることに原因がある。
 ある人物に関する最初の情報は、私たちの注意を強く喚起し、その人物の印象の核になる。この核を中心に、あとからの情報は、次々につけ加えられて、雪だるまのように「情報のかたまり」が頭の中にでき上がっていく。
 こうしてでき上がった「情報のかたまり」のことを、最近の対人心理学では「スキーマ」とよんでいる。「鈴木さん」のことに関する情報のかたまりは「鈴木さんスキーマ」であり、「田中さん」に関する情報のかたまりは「田中さんスキーマ」である。私たちの頭の中には、さまざまな人物についての、このような無数のスキーマが存在している。
 このスキーマ、いったん頭の中にでき上がると、あとから入ってくる情報に対して、一種の枠組みのはたらきをする。つまりスキーマは、スキーマと矛盾しない情報ならばそのまま取り入れて、スキーマ自体を補強する材料にするが、矛盾する情報は、矛盾しない方向でゆがめたり過小評価したり、場合によっては無視してしまったりするのである。
 たとえば、知的な印象を中核とする「鈴木さんスキーマ」は、「まじめ」という情報ならすんなりと受け入れる。ところが、「ずぼら」という情報が入った場合、「こせこせしていない」などと、多少なりとも肯定的な意味にゆがめるか、たいした問題ではないと過小評価するか、あるいは聞かなかったことにしてしまうのである。


スキーマは変容し続ける


 このように、スキーマは新たな情報を取り入れるときに、一定の枠組みのはたらきをするが、固定したものではない。情報の種類や強さによっては、スキーマ自体が変容し、それまでのスキーマとは違ったものになる。スキーマは情報を取り入れながら常に変化し、変容するのである。
 たとえば、「鈴木さんは知的だ」という情報を中心とする「鈴木さんスキーマ」ができ上がっていても、その後、鈴木さんが直情的で乱暴であることを知れば、「鈴木さんスキーマ」は変容する。変容したスキーマにもとづいて、それまでの情報は評価し直され、組み替えられる。そして、変容したスキーマは、それ以後の情報に対して、再び、判断の枠組みとしてのはたらきをする。


スキーマは勝手に情報をつくり出す


 スキーマは、実際には存在しない情報を勝手につくり出すはたらきもする。
「鈴木さんは、知的な人だから、漫画なんて読まないだろう」と、そんな事実はどこにもないのに、スキーマは勝手に情報を補ってしまうのである。その結果、現実とは違った鈴木さん像が頭の中にでき上がってしまう。
 スキーマが、人間関係に思わぬ幸運や不幸を招く原因がここにある。「知的な鈴木さん」だと思い込んで、現実の鈴木さんと対面してがっかりしたり、必要以上に苦手意識を持って接したり。逆に、自分の中の「鈴木さんスキーマ」と比べて、現実の鈴木さんが思い込んでいた以上にすばらしく感じられることもあるだろう。
 異性からちょっとした親切を受けただけなのに、その異性について好意的な解釈をあれこれふくらませてしまう、というのもスキーマのはたらきによる。スキーマのはたらきで、頭の中には現実の異性とはかけ離れたすばらしい「恋人」ができ上がる。だからこそ、恋もできるのだ。
 いずれにしても私たちは、目の前にいる人の姿をそのまま見ているのではない。頭の中のスキーマを使いながら、自分が見たいように見ているのである。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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