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和書>ビジネス・教育>ビジネス>ビジネス読み物

著者プロフィール
門 昌央(かど あきお)
1949年生まれ。大学卒業後、ホテルマン、業界記者などを経てフリーのライターに。さまざまな分野で取材活動を続け、スポーツ新聞、ビジネス誌、健康誌などに寄稿している。人間の顔や顔つきと性格、心理、行動に関心をもち、その実態観察と解明をテーマのひとつにしている。
人生の達人研究会
世知辛い世の中をいかに賢く世渡りするか、複雑な人間関係の海をどう遊泳するか、生きがいをもって心豊かに生きるには……など、充実した人生を送るための情報交換を行っているグループ。さまざまな職業の、価値観を異にするメンバーからなる。
1949年生まれ。大学卒業後、ホテルマン、業界記者などを経てフリーのライターに。さまざまな分野で取材活動を続け、スポーツ新聞、ビジネス誌、健康誌などに寄稿している。人間の顔や顔つきと性格、心理、行動に関心をもち、その実態観察と解明をテーマのひとつにしている。
人生の達人研究会
世知辛い世の中をいかに賢く世渡りするか、複雑な人間関係の海をどう遊泳するか、生きがいをもって心豊かに生きるには……など、充実した人生を送るための情報交換を行っているグループ。さまざまな職業の、価値観を異にするメンバーからなる。
解説
オンナとオトコ、上司と部下、仕事相手、家族、友人……狙った獲物も、厄介な相手も確実に取りこんでしまう秘策がある! モテる人、デキる人は密かに実践している禁断の“たらし術”をモノにせよ!!
目次
プロローグ ワルの人たらし学・序論
◎“人たらし”を極めれば毎日が愉快になる
人は皆、他人から“たらされたい”と切望している
自尊心をくすぐれば、どんな人もソノ気になる
人たらしは、ワルか善人か……
司馬遼太郎さんは、人たらしの天才だった?!
相手にほれこみすぎると、主導権を握れない
人たらしの功と罪を知る
人をたらす幸せ、人にたらされる悦び
この技術をマスターすれば、自在に人を操れる
人たらしでなければ、今の時代は生き抜けない
1章 ワルのヨイショ・おだて学
◎ほめて誉めてホメまくり相手の心にスキをつくれ!
人は言葉によって、たらしこまれる
人たらしの基本は、ほめることにあり
くり返しほめ、ほめ殺して骨抜きにしてしまえ
犬だって、ほめるからなつくし、忠犬になる
タイミングを誤れば、ほめても叱ってもムダ
何も考えず、ひたすらほめる技術
すごい、なるほどの連発で相手を木に登らせよ
初級者はまず、抽象的なことをほめよ
相手がほめて欲しいことをズバリほめてやれ
ほめられ慣れている人は有頂天にさせて篭絡せよ
ほめられ慣れている人はけなして陥落する
人気作家に学ぶ臆面もない“大人”のほめ方
“セクシー”は老若男女、誰にも通用するほめ言葉
他者と比較してほめてはダメ
特に長所がない人は、内面をほめて感激させる
相手も気づいていない長所をほめて心を奪う
ほめることで相手の性格や本性をあぶりだせ
2章 ワルの人たらし術・基礎篇
◎善良なるあなたのためのどんな人にも好かれるコツ
極上、満面の笑みこそ人たらしのイロハ
喜怒哀楽の“喜”の表情を豊かにする
初対面で好感をもたれる“呼びかけ術”とは
別れ際に“過去形”で感謝するのが秘訣
「でも」と反論したい時は「なるほど」と言え
約束したら迅速に行動する。これが人たらしの鉄則
聞き上手に徹することも、人たらしの極意
話をじっくり聞けば、攻略のツボが見えてくる
話をただ聞くだけで相手は勝手に感謝する
相手のペースで行動し、心を同調させよ
おうむ返しのイエス話法で、まずは相手を安心させる
相手が価値を置いていることに賛同する
わざと訥弁でしゃべると好感をもたれる
うわべを装えば、人は信用し始める
突拍子もない話は、信用をなくす元凶
初対面の相手をほめる巧妙なテクニック
自分をあけすけに話せば初対面でも相手は気を許す
自尊心をくすぐった後、自分の欠点をさらけだせ
飲食を一緒にすることが人をたらす基本
思わず相手がOKする誘惑の会話術とは
3章 ワルの実践方程式
◎狙った獲物をとりこにする絶妙なヒミツの手口
称賛、愛情、カネ……相手が望むものをくれてやれ
相談されたら相手が欲している答えを出す
弱みを握ったら、一気にたらしこめ
一方的に与えて負い目をつくり、からめとる
“注射”こそ、相手にとりいる基本
“小さな貸し”を積み重ね、相手を手なづけよ
プレゼントは小分けにして回数で釣れ
ウソも堂々といえば真実になり、相手の心を打つ
“ゴマすり”は大いに結構
しつこく何度もくり返せば、相手はその気になる
接待は相手がへとへとになるまで、とことんやれ
なついていけば、相手は裏切れなくなる
約束の時間に相手が遅れてきても、犬のように喜べ
こちらになびかない相手には、相談をもちかけよ
押して押して、いきなり引いて心の虚をつく
感謝された時こそ、相手を利用するチャンス
4章 男と女のたらし・たらされ学
◎期待を裏切り、翻弄する愛の面白かけひき
頻繁に会っているだけで、男と女は親密になる
売れっ子作家が大物女優を落とした殺し文句
大げさなリップサービスが女の脳をとろけさせる
最後の一線を越えずに女をじらす、老獪な技術
結婚詐欺師が教える、ハイソな女のたらし方
伏し目がちな男に女は魅かれてしまう
カワイさのなかに男らしさを演出する
「認められたい」という女の欲求をつけ
会ったその日にYESといわせるトーク術
見た目の格好良さで男を選ぶ女を狙え
女の弱みにつけこむ、ワルの手口
なぜ、どうしようもないワルと別れられないのか?
殴った後にやさしくする、ワルの女たらし学
ヤクザやヒモ、ホストに学ぶセックステクニック
男はやはり、床上手な女のとりこになる
5章 職場で使える人心掌握術
◎飲み屋でクダを巻く前にまずはこれを試してみなさい
豊臣秀吉に学ぶ部下たらしの極意
時には下手にでながら、部下に教えを請う
自分の実績を削っても、部下の手柄にしてやる
「この人のためなら」と思わせる星野のたらし術
部下に頭を下げて、自尊心をくすぐる
「信じているよ」というひと言でたらしこむ
「がんばって」ではなく「がんばってるね」
ウソでも部下に期待すれば期待通りに変身する
本人に直接ほめるべきか、間接的にほめるべきか?
部下の中心人物をあえて人前で叱れ
仕事の失敗話が部下を魅きつける
有能な上司ほど、時にはダメ人間を演じる
部下がミスしたら、怒らずに叱る
太っ腹にみせるために、領収書はもらわない
「大成功」と「大丈夫」を連呼せよ
6章 困った人に効く裏ビジネス学
◎ダメ社員も鬼上司もこの奥の手で丸め込め!
「あなたはこういう人」と決めつけてはダメ
仕切り屋の管理大好き上司をたらしこむには
気難しく融通のきかない上司にYESと言わす法
高慢チキで自信家の上司を手なづける秘訣
役人的で人間味のない人間と対するときの注意
自他に厳しい仕事人間を味方につける技術
堅物をたらすには、こんな力ワザが功を奏す
職人気質のオヤジには「また叱られにきました」
不平不満分子を有能な会社人間に変えるワザ
実力はあるのに評価が低い部下をたぶらかす悪知恵
職場のアホOLを、うまくたらしこむ裏ワザ
真面目なOLを、もっと頑張らせる法
キャリアウーマンを、巧みに操る知恵
バリバリの女上司は、女の部分をもちあげよ
ワルのセールスや勧誘員をギャフンといわす方法
おしゃべりな人を信頼できる人物に変える方法
7章 禁断の家族たらし術
◎夫や妻にそっと仕掛けたい家庭円満のいけない魔法
釣った魚には、エサをやり続ける
慣れて刺激のない夫婦の、たらし・たらされ術
ガミガミとうるさい妻を、うまく抱き込むには
「私がすべて正しい型」の妻を黙らせるには
理性派、理論派の妻を、組み敷くには
保守的で時代遅れの妻を変態させる法
お節介な「過保護母型」の妻をたらすには
小うるさい夫には、ボケ妻を演じよ
威厳を振りかざす夫には、徹底的にヨイショする
優柔不断な夫は、大きな子どもを育てる気持ちで
高圧的な夫は、おちょくって気勢をそぐ
年寄りをたらすには、とにかくやさしく
おばあさんには、女の部分をくすぐる
おじいさんは、女の色香でたらしこむ
◎“人たらし”を極めれば毎日が愉快になる
人は皆、他人から“たらされたい”と切望している
自尊心をくすぐれば、どんな人もソノ気になる
人たらしは、ワルか善人か……
司馬遼太郎さんは、人たらしの天才だった?!
相手にほれこみすぎると、主導権を握れない
人たらしの功と罪を知る
人をたらす幸せ、人にたらされる悦び
この技術をマスターすれば、自在に人を操れる
人たらしでなければ、今の時代は生き抜けない
1章 ワルのヨイショ・おだて学
◎ほめて誉めてホメまくり相手の心にスキをつくれ!
人は言葉によって、たらしこまれる
人たらしの基本は、ほめることにあり
くり返しほめ、ほめ殺して骨抜きにしてしまえ
犬だって、ほめるからなつくし、忠犬になる
タイミングを誤れば、ほめても叱ってもムダ
何も考えず、ひたすらほめる技術
すごい、なるほどの連発で相手を木に登らせよ
初級者はまず、抽象的なことをほめよ
相手がほめて欲しいことをズバリほめてやれ
ほめられ慣れている人は有頂天にさせて篭絡せよ
ほめられ慣れている人はけなして陥落する
人気作家に学ぶ臆面もない“大人”のほめ方
“セクシー”は老若男女、誰にも通用するほめ言葉
他者と比較してほめてはダメ
特に長所がない人は、内面をほめて感激させる
相手も気づいていない長所をほめて心を奪う
ほめることで相手の性格や本性をあぶりだせ
2章 ワルの人たらし術・基礎篇
◎善良なるあなたのためのどんな人にも好かれるコツ
極上、満面の笑みこそ人たらしのイロハ
喜怒哀楽の“喜”の表情を豊かにする
初対面で好感をもたれる“呼びかけ術”とは
別れ際に“過去形”で感謝するのが秘訣
「でも」と反論したい時は「なるほど」と言え
約束したら迅速に行動する。これが人たらしの鉄則
聞き上手に徹することも、人たらしの極意
話をじっくり聞けば、攻略のツボが見えてくる
話をただ聞くだけで相手は勝手に感謝する
相手のペースで行動し、心を同調させよ
おうむ返しのイエス話法で、まずは相手を安心させる
相手が価値を置いていることに賛同する
わざと訥弁でしゃべると好感をもたれる
うわべを装えば、人は信用し始める
突拍子もない話は、信用をなくす元凶
初対面の相手をほめる巧妙なテクニック
自分をあけすけに話せば初対面でも相手は気を許す
自尊心をくすぐった後、自分の欠点をさらけだせ
飲食を一緒にすることが人をたらす基本
思わず相手がOKする誘惑の会話術とは
3章 ワルの実践方程式
◎狙った獲物をとりこにする絶妙なヒミツの手口
称賛、愛情、カネ……相手が望むものをくれてやれ
相談されたら相手が欲している答えを出す
弱みを握ったら、一気にたらしこめ
一方的に与えて負い目をつくり、からめとる
“注射”こそ、相手にとりいる基本
“小さな貸し”を積み重ね、相手を手なづけよ
プレゼントは小分けにして回数で釣れ
ウソも堂々といえば真実になり、相手の心を打つ
“ゴマすり”は大いに結構
しつこく何度もくり返せば、相手はその気になる
接待は相手がへとへとになるまで、とことんやれ
なついていけば、相手は裏切れなくなる
約束の時間に相手が遅れてきても、犬のように喜べ
こちらになびかない相手には、相談をもちかけよ
押して押して、いきなり引いて心の虚をつく
感謝された時こそ、相手を利用するチャンス
4章 男と女のたらし・たらされ学
◎期待を裏切り、翻弄する愛の面白かけひき
頻繁に会っているだけで、男と女は親密になる
売れっ子作家が大物女優を落とした殺し文句
大げさなリップサービスが女の脳をとろけさせる
最後の一線を越えずに女をじらす、老獪な技術
結婚詐欺師が教える、ハイソな女のたらし方
伏し目がちな男に女は魅かれてしまう
カワイさのなかに男らしさを演出する
「認められたい」という女の欲求をつけ
会ったその日にYESといわせるトーク術
見た目の格好良さで男を選ぶ女を狙え
女の弱みにつけこむ、ワルの手口
なぜ、どうしようもないワルと別れられないのか?
殴った後にやさしくする、ワルの女たらし学
ヤクザやヒモ、ホストに学ぶセックステクニック
男はやはり、床上手な女のとりこになる
5章 職場で使える人心掌握術
◎飲み屋でクダを巻く前にまずはこれを試してみなさい
豊臣秀吉に学ぶ部下たらしの極意
時には下手にでながら、部下に教えを請う
自分の実績を削っても、部下の手柄にしてやる
「この人のためなら」と思わせる星野のたらし術
部下に頭を下げて、自尊心をくすぐる
「信じているよ」というひと言でたらしこむ
「がんばって」ではなく「がんばってるね」
ウソでも部下に期待すれば期待通りに変身する
本人に直接ほめるべきか、間接的にほめるべきか?
部下の中心人物をあえて人前で叱れ
仕事の失敗話が部下を魅きつける
有能な上司ほど、時にはダメ人間を演じる
部下がミスしたら、怒らずに叱る
太っ腹にみせるために、領収書はもらわない
「大成功」と「大丈夫」を連呼せよ
6章 困った人に効く裏ビジネス学
◎ダメ社員も鬼上司もこの奥の手で丸め込め!
「あなたはこういう人」と決めつけてはダメ
仕切り屋の管理大好き上司をたらしこむには
気難しく融通のきかない上司にYESと言わす法
高慢チキで自信家の上司を手なづける秘訣
役人的で人間味のない人間と対するときの注意
自他に厳しい仕事人間を味方につける技術
堅物をたらすには、こんな力ワザが功を奏す
職人気質のオヤジには「また叱られにきました」
不平不満分子を有能な会社人間に変えるワザ
実力はあるのに評価が低い部下をたぶらかす悪知恵
職場のアホOLを、うまくたらしこむ裏ワザ
真面目なOLを、もっと頑張らせる法
キャリアウーマンを、巧みに操る知恵
バリバリの女上司は、女の部分をもちあげよ
ワルのセールスや勧誘員をギャフンといわす方法
おしゃべりな人を信頼できる人物に変える方法
7章 禁断の家族たらし術
◎夫や妻にそっと仕掛けたい家庭円満のいけない魔法
釣った魚には、エサをやり続ける
慣れて刺激のない夫婦の、たらし・たらされ術
ガミガミとうるさい妻を、うまく抱き込むには
「私がすべて正しい型」の妻を黙らせるには
理性派、理論派の妻を、組み敷くには
保守的で時代遅れの妻を変態させる法
お節介な「過保護母型」の妻をたらすには
小うるさい夫には、ボケ妻を演じよ
威厳を振りかざす夫には、徹底的にヨイショする
優柔不断な夫は、大きな子どもを育てる気持ちで
高圧的な夫は、おちょくって気勢をそぐ
年寄りをたらすには、とにかくやさしく
おばあさんには、女の部分をくすぐる
おじいさんは、女の色香でたらしこむ
抄録
◇相談されたら相手が欲している答えを出す
人から相談されるということは、基本的にはその人から信頼を得ているということだ。当然、好意ももたれているだろう。そこで、その人をもっととりこみたいと思っているなら、この機会を逃す手はない。
しかし、どういう内容の相談であれ、人から相談をされて的確なアドバイスや回答を与えるのはひじょうにむつかしい。では、どうすればよいか。
それには、なぜ、人は人に相談するのかを考えれば、おのずと答えはでてくる。
だれかに相談するとき、人はたいてい自分でおよその結論をだしているものだが、それが妥当《だとう》かどうか、不安がある。そこで第三者に相談し、確証を得たい。あるいは、自分の考えや結論を正当化したい。そのために人は他者に相談をするのだ。
だから、相談されたときは、相手がいうことを親身《しんみ》になって聞いていればいい。けっして、話している途中に口をはさんではいけないし、まして、「それはちがうと思うよ」などと、相手の考えを否定するような意見をいってはいけない。
こうして相手がいうことに、うなずき、肯定をくり返すと、相手は進んで全部話すので、どういうことに悩み、どうしたいと思っているのかは、手にとるようにわかるはずだ。たとえば夫婦仲に関する相談を受けたとき、もし、けっきょくは、夫と別れたがっているとわかったら、
「別れたらいいのじゃないかな」
といってやればいいし、職業を変える相談にきたなら、
「それなら、とにかくいまの会社はやめたほうがいいでしょう」
とアドバイスしてやればいい。
相手は、自分があらかじめ決めていた結論と同じ答えをだされたのだから、おおいに満足し、相談にのってくれた人に感謝することになる。相談されたのをきっかけに、相手をとりこむには、相手が望む答えを与えてやればよいのだ。
◇弱みを握ったら、一気にたらしこめ
弱みを握って、それをネタに恐喝《きょうかつ》する。肉体関係を迫る。ワルの常套《じょうとう》手段だ。
恐喝するのは問題だが、相手の弱みを握っておけば、相手をとりこむための有効な手段としてつかえる。
ここでいう弱みとは、「会社のカネを横領《おうりょう》した」とか「人を殺した」などという物騒《ぶっそう》な情報のことではない。負い目といったほうがいいだろうか。
たとえば、待ち合わせの場所に時間どおりいくと、相手はすでに待っていた。こんなとき、つい「申し訳ない」という気持ちになるものだ。約束の時間に遅れたわけではないのだから、申し訳なく思ったり恐縮したりする必要はないのだが、たいていの人はそういう気持ちになる。
仕事の関係なら、それが精神的に負い目になる。まして、力関係において相手が優位なら、なおさらだ。こちらが上位の場合でも、相手が先にきていて、迎えられるという形になれば、対等になってしまう。すくなくとも、こちらが対等という意識をもってしまう。
だから、戦略家は、たとえ力関係で下の相手にたいしても、待ち合わせの時間よりかなり早くあらわれることをモットーにしていたりする。とにかく相手より先に到着することで、相手に小さな負い目を負わせ、それを弱みとして利用するのだ。
相手は「待たせてしまった」という負い目があるため、そのあとの商談でも弱腰になりやすい。
小さな負い目を負わせると、それが弱みになり、そのあと大きな要求をのませやすくなるというのは、心理実験でも確かめられていることだ。
◇一方的に与えて負い目をつくり、からめとる
セールステクニックのひとつに、無料お試し商法というべき方法がある。
たとえば、エアコンのクリーニング。「一台は無料です。ぜひお試しください」と、勧誘の電話をかける。エアコンの掃除は手間がかかって面倒なものだから、主婦は無料という言葉に、つい心が動く。
ところがいまどきは、一家に何台もエアコンがある家庭が多いので、そこがセールスのつけめ。一台を無料でクリーニングしてもらったら、「はい、ありがとう。ほかのエアコンは、またなにか機会があったら頼みます」とはいかないのだ。
無料でやってもらった相手に悪いような気がし、負い目になって、けっきょく、お金を払ってほかのエアコンもクリーニングしてもらうことになる。
エステやダイエット食品などもそうだ。女性は痩《や》せたいという願望があるし、「無料体験」と聞くと、「ならいいか」とひっかかってしまうのだ。
とくに日本人は欧米人のようにドライではないので、「体験してみて、いかがでした。顔、スッキリしましたよねぇ。美しくなったの、わかるでしょう。どうかしら、いまでしたら、会員になると、半年間のコースを格安で申し込めるのだけれど。クレジットや分割も可能ですから、支払いも心配ありません」などと説得されると、「ただで受けさせてもらって悪いし、効果もあるみたいだから、思いきって申し込んじゃおうかな」
ということになる。このように“一方的に与える”ということは、相手に負い目をもたせることになる。まず、相手になにかを与え、負い目をもたせるようにすることも、人をとりこむ基本テクニックとして有効だ。
人から相談されるということは、基本的にはその人から信頼を得ているということだ。当然、好意ももたれているだろう。そこで、その人をもっととりこみたいと思っているなら、この機会を逃す手はない。
しかし、どういう内容の相談であれ、人から相談をされて的確なアドバイスや回答を与えるのはひじょうにむつかしい。では、どうすればよいか。
それには、なぜ、人は人に相談するのかを考えれば、おのずと答えはでてくる。
だれかに相談するとき、人はたいてい自分でおよその結論をだしているものだが、それが妥当《だとう》かどうか、不安がある。そこで第三者に相談し、確証を得たい。あるいは、自分の考えや結論を正当化したい。そのために人は他者に相談をするのだ。
だから、相談されたときは、相手がいうことを親身《しんみ》になって聞いていればいい。けっして、話している途中に口をはさんではいけないし、まして、「それはちがうと思うよ」などと、相手の考えを否定するような意見をいってはいけない。
こうして相手がいうことに、うなずき、肯定をくり返すと、相手は進んで全部話すので、どういうことに悩み、どうしたいと思っているのかは、手にとるようにわかるはずだ。たとえば夫婦仲に関する相談を受けたとき、もし、けっきょくは、夫と別れたがっているとわかったら、
「別れたらいいのじゃないかな」
といってやればいいし、職業を変える相談にきたなら、
「それなら、とにかくいまの会社はやめたほうがいいでしょう」
とアドバイスしてやればいい。
相手は、自分があらかじめ決めていた結論と同じ答えをだされたのだから、おおいに満足し、相談にのってくれた人に感謝することになる。相談されたのをきっかけに、相手をとりこむには、相手が望む答えを与えてやればよいのだ。
◇弱みを握ったら、一気にたらしこめ
弱みを握って、それをネタに恐喝《きょうかつ》する。肉体関係を迫る。ワルの常套《じょうとう》手段だ。
恐喝するのは問題だが、相手の弱みを握っておけば、相手をとりこむための有効な手段としてつかえる。
ここでいう弱みとは、「会社のカネを横領《おうりょう》した」とか「人を殺した」などという物騒《ぶっそう》な情報のことではない。負い目といったほうがいいだろうか。
たとえば、待ち合わせの場所に時間どおりいくと、相手はすでに待っていた。こんなとき、つい「申し訳ない」という気持ちになるものだ。約束の時間に遅れたわけではないのだから、申し訳なく思ったり恐縮したりする必要はないのだが、たいていの人はそういう気持ちになる。
仕事の関係なら、それが精神的に負い目になる。まして、力関係において相手が優位なら、なおさらだ。こちらが上位の場合でも、相手が先にきていて、迎えられるという形になれば、対等になってしまう。すくなくとも、こちらが対等という意識をもってしまう。
だから、戦略家は、たとえ力関係で下の相手にたいしても、待ち合わせの時間よりかなり早くあらわれることをモットーにしていたりする。とにかく相手より先に到着することで、相手に小さな負い目を負わせ、それを弱みとして利用するのだ。
相手は「待たせてしまった」という負い目があるため、そのあとの商談でも弱腰になりやすい。
小さな負い目を負わせると、それが弱みになり、そのあと大きな要求をのませやすくなるというのは、心理実験でも確かめられていることだ。
◇一方的に与えて負い目をつくり、からめとる
セールステクニックのひとつに、無料お試し商法というべき方法がある。
たとえば、エアコンのクリーニング。「一台は無料です。ぜひお試しください」と、勧誘の電話をかける。エアコンの掃除は手間がかかって面倒なものだから、主婦は無料という言葉に、つい心が動く。
ところがいまどきは、一家に何台もエアコンがある家庭が多いので、そこがセールスのつけめ。一台を無料でクリーニングしてもらったら、「はい、ありがとう。ほかのエアコンは、またなにか機会があったら頼みます」とはいかないのだ。
無料でやってもらった相手に悪いような気がし、負い目になって、けっきょく、お金を払ってほかのエアコンもクリーニングしてもらうことになる。
エステやダイエット食品などもそうだ。女性は痩《や》せたいという願望があるし、「無料体験」と聞くと、「ならいいか」とひっかかってしまうのだ。
とくに日本人は欧米人のようにドライではないので、「体験してみて、いかがでした。顔、スッキリしましたよねぇ。美しくなったの、わかるでしょう。どうかしら、いまでしたら、会員になると、半年間のコースを格安で申し込めるのだけれど。クレジットや分割も可能ですから、支払いも心配ありません」などと説得されると、「ただで受けさせてもらって悪いし、効果もあるみたいだから、思いきって申し込んじゃおうかな」
ということになる。このように“一方的に与える”ということは、相手に負い目をもたせることになる。まず、相手になにかを与え、負い目をもたせるようにすることも、人をとりこむ基本テクニックとして有効だ。
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