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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

美しき同居人

美しき同居人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ローラ・ライト(Laura Wright)
 ミネソタ州生まれ。演劇に歌、社交ダンスに没頭してきたが、ロマンス小説を執筆し始めたとき、これが自分の真に望むことだとわかったという。余暇には画廊や映画館へ行ったり、森を散歩したり、飼い犬と遊んだりして楽しむ。彼女の演劇作品のマネージャーでもある夫と幼い娘とともに、ロサンゼルスに住んでいる。

解説

 ■すぐ近くにいるかもしれない運命の相手。あなたはその人に気づけますか?

 ■マギーはサロンの一室から出てきたニックを見て、言葉を失った。髭を剃り、髪をカットした彼は、抗いがたいほど魅力的だ。「君の言いなりになって変身したんだ。満足かい?」マギーは黙ってうなずきながら、心がざわめくのを感じていた。私ったら、どうしてあんな提案をしてしまったのかしら? ニックは、マギーの家の部屋を借りることになった新しい下宿人。といっても祖母が勝手に契約しただけで、最初は断るつもりでいた。ところが自力で始めた結婚相談所の開業が間近に迫っていたせいでつい彼を宣伝用の男性会員に仕立てようなどと思いついてしまった。そして紹介する女性とのデートを条件に部屋を貸すことにしたのだ。ニックを見ただけで熱くなるのに、同じ家でどうやって眠るつもり? しかも私は彼に運命の相手を紹介しなくてはいけないのよ。この日から二人の危うい関係が始まった。

抄録

「父と妹と、それからたぶんペッパーという名前の金魚もまだいると思うよ」ニックは笑みを浮かべたが、その目は笑っていなかった。「で、最初のデートはいつすればいいんだ?」
 話の続きがもっと聞きたかったが、マギーはそれ以上無理強いしなかった。彼の過去などわたしには関係ない。大切なのは今と未来だわ。「待ちきれない?」
「早く始めたらそれだけ早く終わるだろう?」
 軽い調子で話すのよ、そう心に決め、マギーはビールをグラスに注いでニックに向き直った。「さて、ミスター・キャプラン、このグラスは“半分空っぽ”でしょうか、それとも“半分も入っている”でしょうか?」
「一分くれたら完璧に空っぽにしてやるよ」
「ちょっと、態度が悪いわよ」
「お利口な女の子は悪い男の子が好きなんだろう」ニックはマギーが落としたペパロニをつまみ上げ、彼女の口元に運んだ。「これ、食べないのか?」
 マギーはニックの手とペパロニをまじまじと見つめた。喉が苦しい。まるで蛇にそそのかされて食べた林檎がつまったみたいだ。イヴのように誘惑に負けてしまっていいの?
 彼女がかぶりを振るとニックはにっこり笑い、ペパロニを自分の口にほうり込むと自分のピザの続きを食べ始めた。
 マギーの食欲は失せ、また別の飢えが頭をもたげてきた。そんな初めての感覚が怖い。マギーは脚を組み、大きく息を吸った。「いいこと、ニック。わたしたちがこの計画を成功させるには、女性を誘惑するのではなく魅了しなきゃならないのよ」
「ぼくたち?」
「あなたよ。あなたが魅力的で繊細な神経の持ち主でなければ」大切なのは仕事、ただそれだけよ。「女性が何を求めているか、あなたはわかっているつもりでしょうけど、ときには意外なこともあるかもしれないわよ」
「そう?」ニックは腕組みをしてにやりと笑った。「ぜひご教示願いたいね」
 マギーはかすかに顎を上げた。ニックは女性をベッドに連れ込むのは得意だろうが、そんなものはロマンスとは言えず、長く続くものでもない。マギーの商売の成功は、末永く続くロマンスというとらえどころのないものを形作る要素を、一つ一つ根気強く積み上げていくことにかかっているのだ。
「女性が寒くないか、居心地が悪くないか、いつも気を配ること」マギーは始めた。「映画は女性に選ばせること。彼女に、そして彼女が人生に求めるものに興味を示すこと。女性は夢を胸の中に鍵をかけてしまってあるけど、自分を愛してくれる男性には開いて見せたいものなのよ」
 ニックが眉をつり上げた。「へえ? マギー、きみの胸の中にはどんな夢がしまってあるんだい?」
 マギーはニックをにらむ。「真面目な話よ」
「ぼくだって真面目さ」
 わたしをからかっているんだわ、そうわかっていても、こみ上げてくるいとしさは抑えきれない。男性とつき合った経験はあるが、胸の中の夢が何かなんてたずねてきた人は初めてだ。実を言うと、マギーの胸の中の秘密は彼女自身にも閉ざされていて、あえて開ける気にもなれない。この人には、いいえ、誰に対しても。「わたしのことなんかどうでもいいの。今はあなたとあなたの能力の話を……」
 ニックがけだるげな笑みを投げた。「女性を誘惑する能力?」
「いいえ、女性の心を射止める能力よ」マギーがきっぱりと言う。
「女性とのつき合い方ぐらいわかってるよ」
「そうでしょうけど、生涯の伴侶を見つけるにはセックスの相性だけではだめなのよ」
 ニックがショックを受けたようにわざとらしく目を丸くする。「本当に?」
「わたしはただあなたに教えてあげたいだけよ」マギーが言った。「お相手を手配するだけでなく、あなたのアドバイザー、コーチでもあるんだから」こんなひねくれた態度にめげちゃだめよ、マギーはそう自分に言い聞かせ、テーブルから立ってカウンターから唐辛子粉を取ってきた。ニックは女性のことならなんでもわかっているかもしれないけれど、念には念を入れておきたい。何より肝心なのはマギー結婚相談所の成功だ。マギーはテーブルに戻ったが椅子には座らなかった。「女性は自分の話を聞いてもらい、理解してもらい、ささやかなことでもほめてもらいたいの。デートのときはレストランで椅子を引いてもらい、楽しい会話をしたいのよ。そして家まで送ってもらったら、おやすみなさいのキス。とても大切な瞬間なの」
 ニックがマギーを見上げ、意味ありげににっこり笑う。「とても大切だな」
「急いではだめよ。ゆっくり時間をかけるの。女性は荒っぽいのは──」
 そこまで言いかけたとき、いきなりニックが立ち上がり、マギーを抱き寄せて唇を重ねた。
 ぬいぐるみの人形のようにぐったりと、マギーの体から力が抜けた。ニックの唇が彼女の唇をかすめる。今まで何度かキスの経験はあるが、こんなにゆったりと官能的な、膝の力が抜けるようなキスは初めてだ。
「マギー?」合わせた唇の間でニックがささやく。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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