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いつわりが愛に変わるとき

いつわりが愛に変わるとき


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

 ■なんてこと! 自分を襲った男性に心奪われるなんて。

 ■家族で訪れたマヨルカ島で、ケイトは妹のスージーに泣きつかれた。偶然親しくなったルイスという男に、ヌードを撮られたのだという。高名な父を持つ二人にとって、写真がマスコミに流布するのは何よりも恐ろしい。年の離れた妹の身を案じ、ケイトはルイスの部屋に忍び込んで写真を取り戻そうと決心した。だが真っ暗な部屋を手探りし、目当ての封筒を探り当てたとたん、何者かに自由を奪われる。部屋に明かりがつき、目の前にいる男性を見て、ケイトは息をのんだ。見たこともないくらいハンサムな人……。この場の状況も忘れて見とれるケイトに、彼は厳しい声できいた。「ルイスはどこだ?」

抄録

 二人の視線がからみ、ケイトは笑うのをやめた。彼の瞳に彼女をまごつかせる何かがあったからだ。
 ケイトはぎこちなくシートベルトを締めようとしたが、うまくいかなかった。
 なぜかいつの間にかエンジンが止まっていた。
「どうしたの? このシートベルト、壊れたのかしら?」クリップをいじりながらケイトは言った。
 ハビエは両手をハンドルの中心に置いてケイトを見た。「さっき君が言ったことは正しいよ」
「あなたが私の意見を認めるなんて意外だわ」
「僕らはとても結婚を控えたカップルに見えない」
 ケイトの顔が明るくなった。彼はとうとうこの茶番が成功するはずがないことに気づいたのだろうか。でも……彼の気が変わったのなら、お金を返さないといけない。もう使いみちが検討されているのに。
「君は僕が触ろうとするとびくっとして逃げる」
 彼を見ないでいようと思ったのに、磁力を持ったハビエの視線はケイトの意志より強力だった。「いやだからよ!」ケイトはきっぱりと宣言した。「でも」深呼吸してつけ加える。「そのうちに慣れると思うわ」大金を払ってくれたのだから、たまに手をつなぐとか、抱き締めるくらいは許すべきだろう。
「それはありがたいね」
「その程度なら……」
「花婿は花嫁にキスすることになっている。ケイト……」ハビエの視線がケイトの唇に注がれた。
 思わずうめき声をもらしたことを、ケイトは恥ずかしく思った。「私にキスする気だったら……」
 それを聞いたとたん、ハビエは自分がどれほどそのことを考えていたかに気づいて、ショックを受けた。しかもケイトに会った瞬間から、だ。だが今は堂々とキスできる理由がある。
「言っておきたいことが……」
「何か僕に警告しておきたいことでも?」
 からかわれて、ケイトは顔をしかめた。「何を言おうとしていたか、忘れてしまったじゃないの」
「じゃあ、何も言うな」
 ハビエに両手で顔をはさまれて引き寄せられると、ケイトの全神経は閉ざされてしまった。
 彼女は目を閉じて彼の方に倒れかかった。それが拒絶を表すボディランゲージでないことは承知していたが、彼に与えかけているその間違った印象をなぜか訂正する気になれなかった。
 間近に迫った彼の男の魅力は、ますますケイトを圧倒した。彼の香りは、セブの結婚式でシャンペンを立て続けに飲み干した時と同じ、いやそれ以上に強烈な効果をケイトにもたらした。
 ショックのせいだわ、とケイトの脳裏で声がした。
「だめ」ケイトはやっと声を取り戻し、ささやいた。
 軽いタッチでハビエがあごに触れると、ケイトは身を震わせた。燃えるような彼の目が、優しく親指で触れたケイトの唇が少し開くのを見つめる。何も言わずにいたら、彼はキスするわ、とケイトの心の中で声がした。してもらいたがっていると思われてしまう。しかも、それは正しいかもしれない!
 目が合うと、体の芯が溶けそうな感覚がケイトを襲った。温かいハビエの息が間近に迫り、ケイトの頬をくすぐる。鼻と鼻がもう少しでつきそうだ。ケイトは半ば目を閉じて、麻薬中毒者のように彼の体臭を吸いこんだ。
「キスの仕方で、相手のことがいろいろわかるものだ」
「キスはキスだわ」ケイトはかすれ声で言った。
「キスをするには、タイミングが大切だ」自信たっぷりに、ハビエはまた言った。
「それはわかるわ」ささやいたケイトの下唇を、ハビエが軽く噛んだ。これはキスといえるだろうか、そう考えている彼女の首筋を、彼はそっとなでた。
「式の時、公衆の面前でするキスが最初のキスだなんて、信憑性がなさすぎる」
「そこまで考えなかったわ」
「そういうことは考えておくものだよ」
 彼の顔が接近すると、裏切り者のケイトの感覚は期待に気も狂わんばかりになった。唇がかぶさってきた。荒々しさはかけらもない、優しいキスだった。
 肩透かし。
 挨拶代わりにすぎない、からかうようなキスにがっかりしている自分に、ケイトは困惑を覚えた。
「悪くなかったわ」唇を離した彼に言いながら、彼女は憤慨している気持ちが顔に出ないように祈った。
 彼の顔は青い瞳の中の金色の斑点の一つ一つまで見分けられるほど間近にある。溺れてしまいそうな青が消えてしまうほどハビエの黒い瞳孔が大きくなるのを見て、ケイトは息をのんだ。
「ちょっとした悪さはあってもいいものだよ」セクシーな声を聞いて、ほてった肌に鳥肌が立ったとたん、再び彼の唇が襲ってきた。
 前とは打って変わってむさぼるようなキスだった。舌がエロチックに侵入してくると、ケイトはうめき声をあげてハビエの首に腕をからませた。
 これは彼の計算ずくの攻撃だったのだと、あとで自分を納得させよう。今は、焼けるような感覚の波に身を任せることしか考えられない。
 唇が離れた時、ケイトは黒みがかったハビエの首筋の髪に指をからめて息を弾ませていた。二、三秒たってからやっと、鉛のように重く感じられるまぶたを開いた。
 燃えるような青い瞳の熱っぽい視線とみぞおちのあたりの筋肉の痙攣するような動きにはっと我に返ると、体が張りついたようにハビエの体にぴたりと押しつけられていた。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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