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恋という名の罠に落ちて

恋という名の罠に落ちて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス恋という名の罠に落ちて
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

 エマはある日、社長のザカリアスに呼ばれ、彼のオフィスに赴いた。ザカリアスは仲のいい友人の兄だが、普段は直接口をきくこともあまりない。いったいなんの用かしら? だが、ザカリアスの口から出た言葉に全身が凍りついた。エマの過去に不信感を持つ彼は、彼女を弟から引き離すため、ニューヨークへの出向を命じるというのだ。なんて横暴なの! 前夫との形ばかりの結婚から受けた傷を乗り越え、インテリアデザイナーとして少しずつ前進しているところだというのに。憤慨したものの、命令に逆らうことなどできず、現地に赴いたエマは唖然とした――ザカリアスが待っていたからだ。

 ■ハーレクイン・ロマンスの大人気作家S・ケンドリックのせつないラブストーリーです。プレイボーイのギリシア人ザカリアスとの束の間の関係がだんだん辛くなるエマ。この恋のゆくえは?

抄録

 ザックはまっすぐにエマを見た。「僕の提案をよく考えてみたかな?」
「ええ」
「それで?」
 正念場を迎え、エマの頭にさまざまな思いが渦を巻いた。兄の申し出を受けるべきだ、というナットの意見はもっともだ。ただし受けるべきではない理由もひとつあり、その張本人のザックが彼女の目の前に立っていた。ザック・コンスタンティニデスのどこにこれほど強烈に反応してしまうのか、エマ自身わからなかった。だが、彼女の本能は気をつけなさいと告げている。なのに、不吉な予感を覚えながらも、この抜け目のない仕切りたがり屋に思い知らせてやりたくてたまらなかった。ナットが私にさせたがっている役目を引き受け、彼に念願の自由を与えてあげたらすてきじゃない? この横柄な億万長者をまんまとだませたら、さぞすっきりするんじゃないかしら?
 その場にふさわしい笑みでありますようにと思いながら、エマは作り笑いを浮かべた。「お受けするつもりよ」
 ザックは顔をしかめた。「本当に?」
「ええ。ただ、ひとつ条件があります」
「ああ、それはだめだ」ザックは首を横に振った。「条件を出すのはこっちだよ、ミス・ギアリー」
 エマはかまわず続けた。「クリスマスにはイギリスに帰らせてほしいの」
 ザックは巨額のボーナスを要求されると思っていたので、エマの要望はいささか意外だった。クリスマスまでの二カ月ほどで望みどおりの効果が出るだろうか? ザックはナットをちらりと見た。弟は楽しげに兄のデートの相手と話をしている。ザックの口元に笑みが浮かんだ。もちろん効果は出るとも! 弟はすぐにエマ・ギアリーを忘れるに違いない。諺にあるじゃないか。去る者は日々に疎し……。
「それは問題ないと思う」ザックは言い、エマのほとんど手をつけていない皿に目をやった。「新たな任務に就く前の最後の夕食を楽しむことだね」
「できれば、向こうに発つ前に、あと数回夕食に出かける時間があるといいんですけど」
「今週末には発ってほしい」
「からかっているの?」
 ザックの灰色の瞳がエマを射抜いた。「いや、エマ、僕はきわめてまじめだよ」
 彼にそんなふうに名前を呼ばれ、エマは思わず口ごもった。それは、まるで大量の蜂蜜をスプーンでゆっくりとなめているような言い方だった。「な、なぜそんなに急ぐんです?」
 いつものように力がわきあがるのを感じながら、突然震えだしたエマの唇を楽しげに眺め、ザックは肩をすくめた。「延ばす理由があるのか? 別れを長引かせてもつらいだけだ。さっさと別れてナットがいない生活に慣れるほうがずっといい」
「私をどこにやるつもりなの? モンゴルとか?」
「コンスタンティニデスの商標もさすがにそこまで到達していないが、まあ、そのうちわかる」ザックはすぐに答えた。「いや、地の果てに送りこむつもりはないよ」
「それで、どこに出向になるかは教えてもらえるんですよね? それとも、行き先は内緒とか?」
 ザックはこめかみの筋肉が脈打ち始めるのを感じた。そうなったのは怒りのせいだが、それ以外の感情もあった。エマの反抗的な態度が彼を刺激したのだ。随分前に今の地位を手にして以来、ザックは、ミス・エマ・ギアリーが発したような傲慢な言葉を、雇用者から浴びせられたことはなかった。そしてそのせいで、ザックはエマを最も根本的なやり方で懲らしめてやりたくなったのだ。
「ニューヨークはどうだ?」ザックは猫撫で声で言った。
 一瞬、エマは硬直した。ザックは人を思いどおりに動かそうとする一種のサディストなのだろうか? ニューヨークは、私が不運な結婚生活を送ったところなのを、あそこにはつらい思い出が山ほどあることを彼は知らないの? ザックの頑固そうな男っぽい顔を見つめながら、エマは喉から出かかった抵抗の言葉をのみこんだ。だって、少しでも弱みを見せたら、彼は牛のように飛びかかってくるわよね?
 エマはできるだけうつろな表情を作った。「ニューヨーク? すてきだわ! 眠らない町ですね!」
 ザックはありふれた言葉にうめいた。「そう言われている。土曜の便を予約した。空港まで送るよう、君の家に車をやるよ。細かい話は、僕の秘書がしてくれる。“ビッグ・アップル”で会おう、エマ」
 エマが何か言う前にザックは歩み去った。だが、彼をレストランの向こう側まで追いかけ、今の言葉の意味をきくわけにはいかなかった。まさか彼もニューヨークに滞在するつもりじゃないわよね?
 私に目を光らすために? 私が彼の望みどおりに行動しているか確かめるために?
 それはわからない。だが、目下のところ、そんなことを気にする状況ではなかった。わかるのは動揺していることだけだ。そこには、分析するまでもなく、なぜか胸がときめくほどの興奮が混じっていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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