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楽園の秘密

楽園の秘密


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・マカリスター(Anne McAllister)
 カリフォルニア生まれ。夏には地元のビーチで泳いだり、サーフィンやバレーボールをしたりして育つ。大学の図書館に勤めていたとき生涯の伴侶と出会い、現在は四人の子供とともにアメリカ中西部に暮らしている。教師や新聞社の原稿整理、教会の説教の代筆などを経て小説の執筆に入る。

解説

 「僕と結婚してくれ」十三年ぶりに再会したネイサンの言葉に、カリンは唖然とした。きっと彼は娘の存在を知ってこの島にやってきたのだろう。遠い昔、二人はまさに運命に導かれて一夜をともにしたが、ネイサンは翌朝、すべては過ちだったと言い捨てて姿を消した。その九カ月後に女の子が生まれ、カリンはだれにも頼らずに一人で娘を育ててきた。寂しさや孤独を乗り越え、心から愛した男性の記憶を消し去って。それなのに、今ごろ平気な顔で現れてプロポーズするなんて! カリンは再びネイサンを自分の人生から締め出す決心をした。

抄録

「この犬はあなたの本と同じころここにやってきたのよ」カリンは二人の間にボウルを置いた。そして体を起こし、身を守るように胸の前で腕を組んだ。
「レイシーが僕の本を読んでいたのには驚いたよ」
 カリンは肩をすくめた。「興味があるんでしょう」
「僕の本に? それとも僕自身に?」
「あなたのしている仕事によ」カリンはネイサンから目をそらし、暗闇を見つめた。丘の下から〈グルーパー〉というカフェバーのスチールドラムの音楽がかすかに聞こえてくる。いつもは気持ちのいい夜風も今夜は冷たく感じられ、カリンは鳥肌の立った両腕をさすった。「話というのは?」
「レイシーのこと。釣りのこと。親としての役割。それに、僕たちがこの問題にどう対処するか」
「私のほうは“親としての役割”をきちんと果たしているわ」
「それはよかった。だが、これからはもう一人でその役割を果たす必要はない。僕がいるんだから。僕たちは協力しなくてはならないし、娘の前で言い争うべきではない」
「親の役割についてあなたにお説教などされたくないわ!」
「今夜は君の味方をしたじゃないか」
「お礼はもう言ったでしょう」
「僕がレイシーになにか諭したときは、君も同じように協力してほしい」
「あなたの意見に賛成する場合はね」
「賛成しようとしまいとだ」
「冗談じゃないわ! 突然やってきて自分のやり方に無理やり私を従わせようなんて……」
 ネイサンは眉をつりあげた。「一人ですべてを決めて、レイシーのことを黙っていた君のようにかい?」
「それじゃ、私が悪いと言うの? 責められるべきは私なの?」カリンは苦々しげに言った。
 最初はレイシーで、今度はネイサン。まるで私が二人に意地悪をして、十三年間も片親を務めてきたみたいじゃないの。
「君が悪いわけじゃないよ、カリン」ネイサンはそっけなく言った。「君は自分が正しいと思ったことをしたんだろう」
 カリンは鼻を鳴らした。「賛成してくれてどうもありがとう」
「おい、いったいどうしたんだ? 君にいいように解釈しようとしているのに!」
「そんなことしてくれなくていいわ」
 ネイサンは大きく息を吸い、それから吐き出した。「いいかい、カリン。僕は喧嘩をするためにここに来たわけじゃない。君の人生をみじめにするためでもない。僕がここに来たのは娘がいるからだ」
 ネイサンは私のためにここにやってきたのではないか。カリンがそう思っていたとしたら、そんな希望はむなしくも打ち砕かれた。彼がここに来たのはレイシーのためなのだ。
 カリンは胸の痛みをこらえた。そんなことは最初からわかっていたはずよ。
「娘に対して自分の責任を果たそうと決めたわけね」彼女は嘲るように言った。
「ああ、そうさ。そのとおりだ」
「なんてご立派なのかしら。でも、その必要はないわ。私たちはあなたを必要としていないもの」
「レイシーには必要だ。あの子が自分でそう言っていた」
「私はあなたを必要としていないし、あなたを求めてもいないわ!」
「そうなのか?」
 ネイサンの挑戦的な口調に、カリンは怒りをかきたてられた。「どういう意味かしら?」
「君はかつて、僕をどうしようもなく求めていたじゃないか!」ネイサンは餌に夢中になっているゼノをまわってカリンに近づいてきた。そして、彼女を腕の中に抱き寄せてキスをした。
 それはずっと忘れられなかったキスであり、かつて二人が交わしたのとまったく同じ情熱的なキスだった。十三年という時間が一瞬にして消えていった。ネイサンの熱い唇が押しつけられ、カリンの唇を開かせようとする。カリンはこみあげる欲望や甘い記憶に必死に抵抗しようとしたが、体が言うことを聞かなかった。
 彼女の体は求めていた――ネイサンを。
 かつての二人のキスが途方もなく情熱的だったというのは、自分の思いこみにすぎない。カリンはずっと自分にそう言い聞かせてきた。
 だが、それは間違いだった。今回のキスはかつてのキスと同じくらい荒々しく激しかった。そして、昔と同じようにカリンの心の琴線に触れた。欲望や欲求、飢餓感、情熱、それらすべてが共鳴してさらに強い感情を生み出していった。
 血が全身を駆けめぐり、心臓が痛いほど打った。カリンは分別も長年の信念も捨て去り、唇を開いてネイサンを受け入れた。
 ネイサンはうなるような声をもらしてしっかりとカリンを抱き締め、自分の体を押しつけた。彼女は驚いて離れるどころか、熱くほてったネイサンの体に興奮をかきたてられていた。長い間満たされることのなかった欲望が目覚め、カリンは自分を抑えきれずにさらにキスを深めた。どうしてもネイサンが欲しかった。
 そのとき、ふいにネイサンが体を離した。
 カリンは呆然と立ち尽くし、彼を見つめた。
「これで証明されただろう」ネイサンがかすれた声で言った。呼吸は乱れ、頬は上気している。
 カリンはぼんやりと首を振った。「なにが証明されたの?」見捨てられたような気分だったし、ひどく傷ついていた。
「カリン、かつて君は僕を求めていた。今もそうだ。もう一度そこから始めよう」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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