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和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>シルエット・ラブ ストリーム

著者プロフィール
ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともに米アラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』はヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は5月20日刊「薔薇の迷宮」(LS−242)。
作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともに米アラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』はヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は5月20日刊「薔薇の迷宮」(LS−242)。
解説
この三年間、キャスリーンに心休まる日はなかった。マフィアから大金をだましとり行方をくらました夫ロブのせいで、何も知らないにもかかわらず、金のありかを求める悪漢たちに追われつづける日々なのだ。かつては愛し、すべてをささげた男性。だが今は、この世でもっとも憎い男性。二度と顔を見ることはないだろう。いや、絶対に会いたくない。ふいに、物思いから覚めたキャスリーンは凍りついた。向こうがわの車の運転席に座っているのは――ロブだ! 彼は冷たいまなざしでこちらを見すえ、ゆっくりと……。
■二度のRITA賞受賞の栄誉に輝くゲイル・ウィルソンのミニシリーズ『孤高の鷲』。正義に燃える元CIAのエリートたちが紡ぐ大人のラブストーリーです。
■二度のRITA賞受賞の栄誉に輝くゲイル・ウィルソンのミニシリーズ『孤高の鷲』。正義に燃える元CIAのエリートたちが紡ぐ大人のラブストーリーです。
抄録
彼女は目をつぶって、朝目を覚ましてから続くしつこい頭痛をこらえた。そう、目を覚ましたらジョーダン・クロスがかたわらにいた。彼女はがっしりした肩と胸に身を預けていた。男性の腕に抱かれて眠ったのは、ずいぶん久しぶりだった。
ジョーダンの胸に抱かれていたという事実が――いや、抱かれて心地よいと一瞬でも思った事実が、キャスリーンに衝撃を与えた。そしてまた、ひどい嫌悪をもよおした。そのときはまだ、相手は裏切り者のロブだと思っていたからだ。
今ではキャスリーンも、彼がロブではないことを知っている。とは言っても、その本当の正体がわかったわけではない。それでも彼女の本能は、ジョーダンを信じろと告げていた。彼に守ってもらいたい、すべてを彼に委ねたいと強く感じる理由は、きっと心理学的に説明できるに違いない。
何と言っても、かつて彼と同じ顔をした男を心から愛していたのだから。娘を見るたびに、その男の面影を見いだしているのだから。
とにかく今はほかにどうしようもないのよ。キャスリーンは今一度、自分に言い聞かせると、スーツケースの蓋を閉じた。ほかに頼れる人はいないのだ。治安当局は当てにできない。今朝やってきた保安官には、ジョーダンに対する信頼感とは反対に、本能的に不信感を覚えた。
あの訪問は何かおかしかった。保安官と話している間じゅう、それを感じた。だからこそ、ここを離れなければという思いをいっそう強くしたのだ。クリスマスは間近だし、メグを劇に出してやりたいとも思ったが、一刻も早く出発しなければいけない。
子ども部屋からメグのすすり泣きが聞こえてくる。キャスリーンは天使の衣装を上手にたたみ、針金にオーガンジーを張って作った翼がつぶれないように気をつけてスーツケースに詰めた。劇に出られないことなど、小さな犠牲に思えるかもしれない。だが子どもにとっては、そうではないことをキャスリーンは知っていた。着ることのない舞台衣装が、メグの心痛を代弁している。
選択の余地はないのよ。キャスリーンは呪文のように同じ言葉を唱えながら、ぼろぼろのスーツケースの中に夢を閉じこめた。
ジョーダンの申し出を当てにしすぎてはだめだとキャスリーンは自分に言い聞かせた。助けてもらえると信じたいのはやまやまだが、世の中はそんなに甘くない。たとえどれほど魅力的でも、彼の言葉をうのみにしたら、哀れなメグのように、不可能を――クリスマスの奇跡を夢見ることになる。
メグは子どもだ。子どもなら奇跡を信じてもいい。だがキャスリーンはつらい日々を通じて、この世では誰にも頼れないことを身をもって学んだ大人だ。子どもたちを守れるのは彼女しかいない。
ジョーダンと一緒に出発するのは、ほかに選択肢がないからだ。彼を信じているからではない。彼に惹かれているからでも……。
キャスリーンは思いを断ち切るように、大きく息を吸った。今は、ほのかな恋情にひたっている場合ではない。長い間、独り身でいた人間にとっては、それはあまりにも心引かれることだが。
さっきスーツケースにしまった天使の羽のように、長い間忘れていた繊細な心のひだは、胸の奥に押しこめておかなければならない。キャスリーンには、自分の人生に再び男性が関わる日々を考えることさえ許されないのだ。
今朝ジョーダンのたくましい腕の中で目を覚ますまで、キャスリーンは自分もまた、与えられてしかるべき人間関係や楽しみを失っていることに気づかなかった。そして彼女の場合は、穴埋めを考えてくれる人間は誰もいないのだ。
次の衣類に伸ばしかけたキャスリーンの手が宙で止まった。彼女は傷ついたレコードのように、明け方のベッドでのできごとを何度も思い返した。
ジョーダンのがっしりした温かい体。さわやかな男らしい香り。肩に回されたたくましい腕。彼女が息をするたびに上下する胸のふくらみが、官能的に彼の筋肉をかすめていた。
相手がロブだと思っていたときでさえ、あの目覚めの瞬間、思いがけず欲望を呼び覚まされ、下腹部の奥にうごめくものを感じた。どれほど長い間、男性に触れられていなかったかを痛感させられた。彼がロブではないとわかった今……。
キャスリーンは目を閉じ、心に浮かびかけた切望を必死で打ち消した。だが、まどろみの中で一瞬感じた熱く甘い感覚は、とろりとした官能のうねりとなって残った。
彼は夫ではない。わたしとは縁もゆかりもない人間だ。彼は強く優しい手で、けがの手当てをしてくれた。たくましい腕で、事故の痛みにあえぐわたしを運び、眠っているわたしを優しく抱いてくれた。彼のまなざしは、わたしが信じたくてたまらなくなるような約束に満ちている。
そして彼は、裏切り者のロブと同じ顔を持っている。彼が何者で、なぜここにいるのかはわからない。だがキャスリーンは苦い経験から、どんな男性も二度と信用してはいけないことを知っていた。たとえ相手がジョーダン・クロスでも。たとえどれほど信用したくても。
*この続きは製品版でお楽しみください。
ジョーダンの胸に抱かれていたという事実が――いや、抱かれて心地よいと一瞬でも思った事実が、キャスリーンに衝撃を与えた。そしてまた、ひどい嫌悪をもよおした。そのときはまだ、相手は裏切り者のロブだと思っていたからだ。
今ではキャスリーンも、彼がロブではないことを知っている。とは言っても、その本当の正体がわかったわけではない。それでも彼女の本能は、ジョーダンを信じろと告げていた。彼に守ってもらいたい、すべてを彼に委ねたいと強く感じる理由は、きっと心理学的に説明できるに違いない。
何と言っても、かつて彼と同じ顔をした男を心から愛していたのだから。娘を見るたびに、その男の面影を見いだしているのだから。
とにかく今はほかにどうしようもないのよ。キャスリーンは今一度、自分に言い聞かせると、スーツケースの蓋を閉じた。ほかに頼れる人はいないのだ。治安当局は当てにできない。今朝やってきた保安官には、ジョーダンに対する信頼感とは反対に、本能的に不信感を覚えた。
あの訪問は何かおかしかった。保安官と話している間じゅう、それを感じた。だからこそ、ここを離れなければという思いをいっそう強くしたのだ。クリスマスは間近だし、メグを劇に出してやりたいとも思ったが、一刻も早く出発しなければいけない。
子ども部屋からメグのすすり泣きが聞こえてくる。キャスリーンは天使の衣装を上手にたたみ、針金にオーガンジーを張って作った翼がつぶれないように気をつけてスーツケースに詰めた。劇に出られないことなど、小さな犠牲に思えるかもしれない。だが子どもにとっては、そうではないことをキャスリーンは知っていた。着ることのない舞台衣装が、メグの心痛を代弁している。
選択の余地はないのよ。キャスリーンは呪文のように同じ言葉を唱えながら、ぼろぼろのスーツケースの中に夢を閉じこめた。
ジョーダンの申し出を当てにしすぎてはだめだとキャスリーンは自分に言い聞かせた。助けてもらえると信じたいのはやまやまだが、世の中はそんなに甘くない。たとえどれほど魅力的でも、彼の言葉をうのみにしたら、哀れなメグのように、不可能を――クリスマスの奇跡を夢見ることになる。
メグは子どもだ。子どもなら奇跡を信じてもいい。だがキャスリーンはつらい日々を通じて、この世では誰にも頼れないことを身をもって学んだ大人だ。子どもたちを守れるのは彼女しかいない。
ジョーダンと一緒に出発するのは、ほかに選択肢がないからだ。彼を信じているからではない。彼に惹かれているからでも……。
キャスリーンは思いを断ち切るように、大きく息を吸った。今は、ほのかな恋情にひたっている場合ではない。長い間、独り身でいた人間にとっては、それはあまりにも心引かれることだが。
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今朝ジョーダンのたくましい腕の中で目を覚ますまで、キャスリーンは自分もまた、与えられてしかるべき人間関係や楽しみを失っていることに気づかなかった。そして彼女の場合は、穴埋めを考えてくれる人間は誰もいないのだ。
次の衣類に伸ばしかけたキャスリーンの手が宙で止まった。彼女は傷ついたレコードのように、明け方のベッドでのできごとを何度も思い返した。
ジョーダンのがっしりした温かい体。さわやかな男らしい香り。肩に回されたたくましい腕。彼女が息をするたびに上下する胸のふくらみが、官能的に彼の筋肉をかすめていた。
相手がロブだと思っていたときでさえ、あの目覚めの瞬間、思いがけず欲望を呼び覚まされ、下腹部の奥にうごめくものを感じた。どれほど長い間、男性に触れられていなかったかを痛感させられた。彼がロブではないとわかった今……。
キャスリーンは目を閉じ、心に浮かびかけた切望を必死で打ち消した。だが、まどろみの中で一瞬感じた熱く甘い感覚は、とろりとした官能のうねりとなって残った。
彼は夫ではない。わたしとは縁もゆかりもない人間だ。彼は強く優しい手で、けがの手当てをしてくれた。たくましい腕で、事故の痛みにあえぐわたしを運び、眠っているわたしを優しく抱いてくれた。彼のまなざしは、わたしが信じたくてたまらなくなるような約束に満ちている。
そして彼は、裏切り者のロブと同じ顔を持っている。彼が何者で、なぜここにいるのかはわからない。だがキャスリーンは苦い経験から、どんな男性も二度と信用してはいけないことを知っていた。たとえ相手がジョーダン・クロスでも。たとえどれほど信用したくても。
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