マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

謎めいた後見人

謎めいた後見人


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ヒストリカル シリーズ: 謎めいた後見人
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ゲイル・ウィルソン(Gayle Wilson)
 作家になる前は高校で英語と世界史を教えていた。ロマンティック・サスペンスと、十九世紀初頭の摂政期を舞台にした歴史ロマンスを書き分けながら、北米ではこれまで二十作以上の作品をハーレクインから刊行。ロマンス小説界の由緒あるRITA賞を二度も受賞したほか、数々の賞を獲得している。すでに独立した一人息子も教師となり、現在は夫と増え続ける犬や猫とともに米アラバマ州に暮らす。ミニシリーズ『孤高の鷲』はヒーローたちの孤独な闘いと真実の愛にたどりつくさまを描いた連作で、北米で大好評を博し、続編が次々と刊行されている。次作は5月20日刊「薔薇の迷宮」(LS−242)。

解説

 ■虚構渦巻く華やかな社交界。運命の扉が今、開かれる……。

 ■わたしに後見人が? もうじき二十歳になろうというのに? ある日突然、目の前に現れた謎の紳士に、アンは当惑した。幼いころに母を失い、その直後に寄宿学校に入れられた彼女は、ほとんど父に会わずに成長した。その父も亡くなり、母校の教師が自分の生きる道だとほとんど信じかけていた。陰のある美貌の紳士はイアン・シンクレアと名乗った。陸軍大佐の彼女の父親から、遺言で後見人に指名されたという。いったい父はなにを考えていたの? これからどうなるの? アンの疑問のひとつは、やがて答えが明らかになった。夫を探すため、彼女は社交界にデビューするのだ。だが、理想の男性はもう見つかった。夢見がちな彼女にとって、イアン・シンクレアこそ、完璧な夫となりうる人だった。

 ■一つの遺言が二人の人生を変えた……残酷な現実とかすかな希望のはざまでイアンが下した決断は? 十九世紀のロンドン社交界を描くドラマチック・ロマンス!

抄録

 イアン・シンクレアは暖炉の前の心地よさそうな椅子に座っていた。初めて会ったときと同じように、彼は上質で品のいい服に身を包んでいる。アンは彼が瀕死の重症か、それとも体が不自由になったものと思い込んでいたので、元気そうな様子に驚いた。ふたりを襲った追いはぎがここでなごやかに話していたとしても、これほど驚かなかっただろう。
「お体の具合が悪いのかと思っていました」アンは歩きながら言った。
 しばらく返事がなく、室内は気詰まりな沈黙に包まれた。
「だれに聞いたのだ?」後見人が問いかけた。
 本当に知りたいような口ぶりだ。アンはミセス・マーティンがなぜあんな警告をしたのか、よくわかった。だが、いくら召使いたちに冷たくされたからといって、後見人に告げ口をしてまで困らせたくはなかった。
「わたしは後輩の生徒たちの世話を何年かしてきたので、推理が得意なんです。このあいだお屋敷に着くとすぐにあなたはどこかに姿を消して、それ以来まったくお見かけしなくなりました。そして、お医者様とあなたのお兄様がやってきました。お医者様は何度か往診し、お兄様は何日か滞在しました。ですから、だれに聞かなくともわかります」
「きみが世話した生徒たちはだれひとりきみの目をごまかせなかっただろう」ミスター・シンクレアは笑った。
 そのとたんに激しい咳が出た。去年同じような咳をしたルーシー・ベイツは亡くなった。むろん、ルーシーは痩せていて、もともと体が丈夫でなかった。ほかの少女たちの手足は肉がついてしっかりしていたのに、ルーシーのそれは小枝のように細かった。
 だが、ルーシー・ベイツが深刻な事態になったからといって、ミスター・シンクレアもそうなるとはかぎらない。それでも、喉を詰まらせるほど激しく咳き込むところを見ているうちに、アンは不安を抑えられなくなった。
「大丈夫ですか?」アンは咳がおさまってきてからきいた。
「もちろんだとも」
 ミスター・シンクレアは胸のまんなかあたりを手で押さえている。彼が望んでいるようなので、アンは激しい咳も、体調不良もなかったふりをすることにした。
「あの晩から、ずっとお礼を言わなければと思っていたんです」アンはあれ以来機会がなくてそのままになっていた感謝の気持ちを伝えた。
「その必要はない」
「あなたに命を助けてもらいましたわ、ミスター・シンクレア、少なくとも……」
 わたしの純潔を守ってくれたと言いかけたが、その表現はこの場にふさわしくないと思い直して、口をつぐんだ。アンは世間から隔絶された寄宿学校でしつけられたが、あの晩そういう種類の危険にさらされていたことはわかっていたのだ。
「命を助けられたとは大げさな」ミスター・シンクレアはアンの言葉を受けて言った。「むしろ礼を言うのはこちらのほうだ。きみが助けてくれなかったら、結果は変わっていたかもしれない。きみは不安のなかで旅をして、ふたりのならず者に、危険な体験をさせられた。それに加え、知らない人間ばかりの家で寂しい休日を過ごした。きみをそんな目に遭わせるつもりはなかったんだ。すまなかった」
「あれはあなたの責任じゃないわ。不慮の事故です。それを謝るなんて」
「きみの後見人として、ぼくはきみがならず者に襲われたり、馬車の車軸が壊れたり、吹雪に遭ったりしないようにすべきだった」
「でも、あなたが後見人になってくださらなかったら、わたしはフェントン・スクールの外を見ることもありませんでした」
「それじゃ、こう思っていいのか?」ミスター・シンクレアは見るからにほっとして、笑顔でアンに言った。「きみが体験したことは、不愉快なことばかりではなかった」
 アンは雪のなかにひざまずいて彼の体を抱いたときのことを思いだした。それは彼の言う体験には含まれていないのだろう。
「ええ。ここはとてもすばらしいお屋敷です」
「召使いたちになにか不満はないか?」
 話し相手になってくれないこと――アンはそう思ったが、黙っていた。彼が愛想よく接してくれたら、アンもこの家で寂しく退屈な思いをしていることは、言わずにいられるだろう。
「ええ。とてもよくしてもらっています」
「きのうはクリスマスだった」ミスター・シンクレアは残念そうな口ぶりで言った。「贈り物を買う機会がなかったが、きみを驚かすものを用意した。贈り物の代わりになるといいのだが」
「わたしを驚かすものですか?」アンはおずおずときき返した。驚かすもの?
「きみも知っているように、きみと同年代の女性たちはすでに社交界にデビューしている。きみの父上はずっと従軍していたから、きみはまだデビューしていないはずだ」
「デビューですか?」アンは意外な話題にとまどった。まさか彼は……。
「ロンドンで」ミスター・シンクレアは言った。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。