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三カ月だけの結婚

三カ月だけの結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

 臨月を迎えたコーリーは、借りたウエディングドレス姿で、婚約者ブランドンがレンタカーを借りてくるのを待っていた。ブランドンは幼なじみだが、おなかの子の父親ではない。ニューヨークで大企業のCEOエドゥアルドの秘書をしていたとき、一度だけ彼と夜をともにして妊娠してしまった。そんな彼女にプロポーズしてくれたのがブランドンなのだ。だがいきなりそこに現れた男性を見て彼女は息をのんだ。エドゥアルド! 前夜、すべてを打ち明けた妹から事実を聞きつけたらしく、エドゥアルドは怒りの表情でコーリーを妻にすると宣言する。一夜かぎりで私を簡単に捨てた彼が今さらなぜ? 訝るコーリーに彼は続けた。「僕は自分の子供が欲しいだけだ」

 ■セクシーで読みごたえあるストーリーが大人気のジェニー・ルーカスの新刊をお届けします。ひとときだけの愛のない結婚に合意した二人のゆくえは? 波乱万丈の展開をお楽しみください。

抄録

 エドゥアルドの黒い瞳が彼女を見つめた。かつて、これこそがコーリーが望むすべてだった。彼への永遠の愛と忠節を誓うことが。それがいま、現実のことになっている。彼への永遠の愛を誓おうとしているが、それは嘘だと知っている。
 嘘なのだろうか?
 「コーリー?」エドゥアルドが小声で呼んだ。
 「誓います」コーリーは絞り出すように言った。
 エドゥアルドが息を吐いた。一瞬でも、わたしが拒むと思ったのかしら? いいえ、ありえない。彼は傲慢で、女性に対する自分の力に自信を持っているから、疑うなんて……。
 「もう指輪はしているようだね」判事はそう言い、コーリーの指の小さなダイヤモンドを見てびっくりしたように目をぱちくりさせた。「エドゥアルド、きみにしてはずいぶんと控えめだな」
 コーリーはまだブランドンの婚約指輪をしていた! コーリーはぎょっとして、むくんだ指から抜き取ろうとしたが、抜けなかった。「ごめんなさい。わ、わたし、忘れて……」
 エドゥアルドはなにも言わずにその指輪を抜き取り、ごみ箱に放った。「指輪は僕が買う」そっけなく言う。「僕の妻にふさわしいものを」
 「気にしないで」弱々しく笑ったコーリーは、また痛みが押し寄せてきたので息を切らした。「結婚は長続きしないんだから、ほんとうにどうでも……」
 「結構、結構」判事が明るく言った。「指輪はあとでも、あるいはなくてもいい。そこは省略だ」
 コーリーは判事を、それからエドゥアルドを見つめた。結婚式はあっという間に終わった。わずかな言葉を発しただけで、ふたりの――じきに三人の――人生が永遠に変わったのだ。これほど大切なことがどうしてこんなにすばやくできるのだろう?
 判事が満面の笑みを見せた。「花嫁にキスを」
 コーリーは息がとまりそうになった。キス? その部分を忘れていた! エドゥアルドがキスをするの?
 エドゥアルドが彼女に顔を向けた。ふたりの目が合う。彼はゆっくりとベッドの上に身をかがめ、一瞬、コーリーの体からすべての痛みが消えた。
 ふたりの唇が数センチに近づいたとき、エドゥアルドは躊躇した。コーリーは彼の温かい吐息を肌に感じ、全身がちりちりした。
 エドゥアルドは唇を近づけていった。
 エドゥアルドにキスされて、ちりちりした感じがらせんを描く電流になり、火花を散らすように全身の神経を焦がした。
 「おめでとう、若者たち」判事はふたりに笑いかけた。「これであなたたちは夫婦だ」
 夫婦。コーリーは、たったいま自分がしたことの重大さのせいで凍りついた。エドゥアルドと結婚した。彼の妻になったのだ。
 三カ月のことよ、と必死で自分に言い聞かせる。婚前同意書に予定ははっきり記されていた。少なくとも、収縮に襲われる前にざっと読んだ項目には……。また痛みが押し寄せて、野火のように熱く広がり、コーリーは緊張した。あえいで、悲鳴を噛み殺していると、五十代後半くらいの茶色の髪の担当医がやってきた。彼はモニターをちらりと見て、コーリーのようすを調べ、ほほえんだ。「うまくいっているようですね。とくに初産にしては。いいですよ、コーリー。さあ、いきんで」
 コーリーは恐怖を覚え、目を大きく見開いた。思わずエドゥアルドの手に手を伸ばし、目で訴えた。
 エドゥアルドは彼女の両手をつかんだ。「コーリー、ここにいるよ」彼の声は深く、落ち着いていて、黒い瞳がまっすぐに彼女の目を見た。「僕はここだ」
 あえぎながら、コーリーはエドゥアルドの黒い目だけを見つめ、その中に引き寄せられるままになった。力を込めて、わが子をこの世に送り出しながら、ありえないほどの痛みを感じた。新郎の手の骨が折れるのではないかと思うほど強く握りしめたが、エドゥアルドはまるでたじろがなかった。決して彼女を放さなかった。必死になって彼にすがり、まわりであわただしく看護師が動きまわり、モニターが音を発する中、コーリーは涙越しに見えるぼんやりとした彼の姿だけを見ていた。コーリーにとって、エドゥアルドは唯一のゆるぎない中心だった。
 彼は目をそらさなかった。
 彼はあとずさりをしなかった。
 彼は彼女を見捨てなかった。
 そしてついに、痛みは報われた。
 コーリーの腕に、健康な三千四百グラムの女の子が渡された。コーリーは驚愕の思いで娘を見つめた。これまで感じたことのない、幸せな重みだった。コーリーの胸に抱かれ、赤ん坊は眠そうな目で彼女を見あげた。
 エドゥアルドが身を乗り出してきて、まずコーリーの汗ばんだ額に、それから赤ちゃんにキスをした。医師や看護師がせわしなく動きまわる中、完璧と思える長いあいだ、新婚夫婦は生まれたばかりの赤ちゃんと一緒にベッドに座っていた。
 「ありがとう、コーリー。生涯で最高の贈り物をくれて」エドゥアルドはそっと言い、赤ん坊の頬を撫でた。そして顔を上げ、黒く輝く瞳でコーリーの魂を貫いた。「家族をくれて」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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