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ガラスの結婚

ガラスの結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンゼイ・アームストロング(Lindsay Armstrong)
 南アフリカ生まれ。現在はニュージーランド生まれの夫と五人の子供たちとともに、オーストラリアで暮らす。オーストラリアのほとんどの州に住んだことがあり、農場経営や馬の調教など、普通では経験できない職業を経てきた。彼女の作品にはその体験が大いに生かされている。

解説

 ■燃えるような情熱は、幸せな結婚を約束するだろうか?

 ■ドメニカは先祖代々受け継いできた別荘の売却に際して、たたきあげの実業家、アンガスと知り合った。二人は、育ちの違いを越えて強く惹かれ合い、恋人として甘い時間を過ごすようになる。しかし、ドメニカはしだいに二人の関係に疑問を持ちはじめた。私たちの間にはお互いを求める激しい情熱が存在するが、その先にいったいなにがあるのだろう? アンガスの心の中にあるのが欲望だけでないことを確かめたい、悩みを打ち明け、分かち合えるような関係を築きたい。それを実現するのは結婚――彼女はアンガスとの結婚を強く望んだ。結婚は、スタートであってゴールではないのに。

抄録

 常におなかをすかせている鴎たち以外は昼寝の時間ね。ドメニカはそんなことを考えながら、やっとの思いでアンガス・キアと目を合わせた。
「本当の目的は、荘園領主の気分を味わうことじゃないのかしら? あの家にかつて住んでいた私を誘惑するつもりなんでしょう?」
「君を誘惑する?」アンガスは疑わしげに言った。「どうやって? 力ずくでかい?」彼の瞳には厳しい非難の色が浮かんでいた。「きっと新聞でそういう記事でも読んだのだろうが、そんな性癖があったら僕は刑務所行きだよ」
 ドメニカは恥ずかしさを隠しきれず、いらだたしげに手を振った。「わかったわ! 今のは言いがかりだったかもしれない。でも、それ以外に男と女が週末を一緒に過ごすどんな理由があるというの? それに、リッドコム・ピースに戻ったら、私が忘れたいと思っている思い出をよみがえらせることになるかもしれないでしょう?」
「君が自分で言うように現実的な人間なら、そんなことはないだろう。その評価も、今となっては二面性を持っているのではないかと疑うほかないがね。体が僕に伝えていることと、頭の中で考えていることをあくまで別物と考える頑固さが一つの例さ」
 ドメニカは膝をついて立ちあがり、両手を腰に当てた。「今日、なぜ私が来たかわかってる?」
「当ててみよう」アンガスはもの憂げに言って両脚を投げ出した。「恵まれない少年が海を見て涙した話を哀れに思い、僕の頭を撫でに来た。でも、本当の理由は、僕たちがお互いに感じている肉体的、感覚的な反応に自分が影響されないことを証明しに来たのさ」
 ドメニカは息をのんだ。
「確かに……」アンガスは体を起こし、怒りに満ちたブルーの瞳でドメニカをとらえた。「僕はリッドコム・ピースで荘園領主気分を楽しむだろう。しかしそれは、君のように人を見下した態度をとる人間にはこれまでお目にかかったことがないからだよ、ドメニカ・ハリス」
 ドメニカはなにか言おうと口をぱくぱくさせていたが、考えがまとまらないうちに、立ちあがったアンガスに抱き寄せられた。
「言わないでくれ」アンガスは小声でささやいた。ドメニカは抵抗できず、呆然としていた。「実際にこうして抱き合っても心地よくないなんて言うのはやめてくれ」
 そんな言葉は否定しなさい。ドメニカの中のあらゆる理性がそう主張し、さらに彼女にこう言わせようとした。抱き合っているといっても、好きでこうしているわけではない、と。だが、ドメニカはふと気づいた。私は囚人ではない。彼の腕を振りほどけないのは、不思議な魅力にとらわれて彼から離れることができないからだ。
 アンガスを初めて見たときにも同じように体が熱くなった。今朝、ライムグリーンのポロシャツとショートパンツ姿の彼を見たときにも。そして二日前の夜、二人の間に燃えあがったのと同じうっとりするような感覚が、再びドメニカに火をつけた。
 気がつくと、ドメニカは無意識のうちに喜びの声をもらしていた。アンガスの力強く美しい両手は、同時に賢くやさしいことを、彼女は発見した。純粋な喜びが波のようにどっと押し寄せてくる。アンガスが再びドメニカを抱き締め、髪に唇を押しつけてかすれた声で彼女の名前をささやいた。驚いたことにその一言で、ドメニカは彼のキスに降伏するのが世界で最も自然なことに思えた。
 ついに雷鳴が二人を引き離した。わずかだが、ミサイルのように突き刺さる強い雨が二人の上に落ちはじめた。頭上を暴風に流されてゆく真っ黒な雲を、二人は信じられない思いで見つめていた。
 やがてアンガスが体を離し、しかめっ面をして言った。「これ以上、言うことはない」
 ドメニカは目を閉じてアンガスから顔をそむけた。どちらかがもう一度口を開く前に雨はどしゃ降りになり、雲の上をジグザグに稲妻が走っていた。
 二人はあわてて荷物をまとめ、おぼつかない足取りで駐車場に向かった。息を切らしながらレンジローバーの座席に乗りこみ、ドアを勢いよく閉めたときには、二人は溺れた鼠のようにずぶ濡れになっていた。
「まあ、私ったらあなたの車に水たまりを作ってしまってるわ!」ドメニカは水のしたたる髪を目から払い、震えながらうめいた。
「すぐに乾くさ。さあ」アンガスは後部座席に手を伸ばし、フランネルの裏地がついた上着をつかんだ。「タオルも毛布も全部濡れてしまったな」
「ありがとう。でも、あなたは?」
 アンガスは肩をすくめた。「そのうち温まるさ。そういえば、コーヒーを持ってきたと言っていなかったかい?」
「そうだったわ! キャロットケーキもあるの」ドメニカはアンガスの上着をはおり、後部座席をのぞきこんだ。五分後、彼女はまだ湯気のたっているコーヒーと、紙皿にのせたキャロットケーキをひと切れ、アンガスに渡した。そして自分のコーヒーとケーキを用意してから座席にもたれ、おどけた口調で言った。「警戒するべきだったわ。昨日も雨が降ったし、すごく暑くなって嵐になりそうな気配だったもの!」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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