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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

ドクターは口説き上手

ドクターは口説き上手


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・スペシャル・エディション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリー・フェラレーラ(Marie Ferrarella)
 ヨーロッパに生まれ、ニューヨークで育った。現在は南カリフォルニア在住。USAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、アメリカ・ロマンス作家協会のRITA賞の受賞歴も持つ。これまで百五十作を超える作品を発表し、マリー・ニコールの名でも執筆。世界中の多くの読者から支持を得ている。

解説

 ■彼女が最も恐れるもの――それは恋。彼が恐れるものは――永遠の絆。

 ■勤め先の郵便局を訪れたハンサムな男性に、エイプリルはすぐに反感を覚えた。ジミーというその男性は、彼女を見るなりいきなり口説いてきたのだ。女好きなお医者さまというわけね。こんなプレイボーイに、まどわされるわけにはいかないわ! 妹を訪ねにこの町に立ち寄ったが、これほどの美人に出会えるとは。ジミーはほくそ笑んだ。ぼくのお世辞を少しも気に留めない、気の強い女性。口説き甲斐があるぞ。二週間もしたら出ていくつもりだが、それまで、彼女と気軽なつき合いをするのも悪くない。

抄録

 都会暮らしで身についた警戒心がエイプリルの胸によみがえった。彼女は、背の高い、がっしりとした体つきの男性をしげしげと見つめた。
「その年で、お医者さんごっこでもするつもり?」そう聞いたとたん見知らぬ男が浮かべた笑みに、エイプリルは思わず胸がどきどきした。やっぱりね。医者だなんてとんでもない、口から出まかせの大嘘にちがいないわ。
「兄がぼくの医学部の学費に全財産を注ぎ込んでしまったので、あいにく“お医者さんごっこ”なんかしている余裕はないんだよ」と言って、彼はもう一歩エイプリルのほうへ近づいた。「遊び半分ですませられれば、こちらもずっと気が楽なんだけどね」
 そう言われても、疑いはそう簡単に拭えない。ヘイディーズは観光気分でふらりと訪れるような土地ではない。ここには有名な観光スポットもないし、都会からはるばるやってきて堪能するような大自然があるわけでもない。通常の観光コースからもかなりはずれている。
 確かに、石炭は今でも盛んに掘られているけれど、この人が肉体労働者でないことは手を見るだけでわかる。この手でできる仕事と言えば、せいぜい女性の服を脱がせることぐらいかしら。しかも驚くほど鮮やかな手つきで。
 エイプリルはつんと顎を上げ、手を後ろに引っ込めた。「お医者さまが、いったいなんの用でヘイディーズにいるの?」
「人を訪ねてきたんだ」ジミーはすんなりと答えた。この女性は何をこんなにびくついているんだ? ぼくはただ手首の傷を診ようとしただけで、ほかの場所を見せろと言っているわけじゃない。もっとも、そうしてくれたらこちらは嬉しい限りだが。「料金は取らないよ」
 疑いに満ちたエイプリルの目に、ぱっと怒りの炎が燃え上がった。「料金って、なんの?」
 今までなんの話をしていたと思っているんだ? 頭が悪そうな女には見えないが、こんな美人でも人は見かけによらないというからな──ジミーはそう思いながら答えた。「診察料さ」
 エイプリルはふんと鼻を鳴らし、傷だらけの大きな机の向こうへ回り込んだ。祖母の父親の代から使われている、オーク材のデスクだ。上にはまだ郵便物がいくつものっている。わたしにはまだ仕事が山のように残っているのよ。こんな男にかかわっている暇はないわ。
「だったら、こちらもあなたの手首をただで見せていただくわ」エイプリルはぴしゃりと言い返した。もっとも、本音を言えば、見たいのは手首だけではなかった。ほんとうは、手首よりもっと見たい場所がある。ヘイディーズにはエイプリルの胸をときめかせてくれるような男性はほとんどいない。だがこの男性は、その数少ない中の一人だ。
 彼を見ていると息がつまり、胸の鼓動が速くなる。しかもそのことを見抜かれているような感じがする。背はエイプリルより三十センチほど高く、黒っぽい髪、春の海のように澄んだ青い目をしている。さりげない気品を漂わせた物腰は、幼いころ郵便局で見かけたアメリカインディアンを彷彿とさせるものがある。祖母の話によれば、その人は、かつて部族の首長だったということだ。幼いエイプリルには、その人の全身から生命力がほとばしっているように見えたものだ。
 今目の前にいる男性も、まさにそんな感じだ。ほとばしる生命力。ただし彼の場合、自己過信しているようにも思える。
 この手の男性は、いい気にさせるとろくなことにならないわ。エイプリルはわざと男を無視して、デスクの上の郵便物に目をやった。
 目の前の女性をじっと観察しながら、ジミーはますます口元をほころばせた。なかなか気が強そうだ。いいぞ。すぐにしなだれかかってくる女などつまらない。物心ついたころから、ぼくは手ごわい相手に立ち向かうのが大好きだった。そのほうが刺激的で、わくわくするからだ。
 まるで何年も前からの常連客のようにくつろいだしぐさで、ジミーはデスクに肘をついた。「ヘイディーズへ来て、きみみたいに無愛想な女性に出会ったのは初めてだよ」
 わたしの感情をかき乱そうという作戦なら、その手には乗らないわよ──エイプリルはひそかに思った。
「嬉しいわ」ぴしゃりと言い放ち、男に背中を向けた。「わたしはもともと、その他大勢と一緒にされるのが大嫌いなたちなの」
 そうだろうとも、とジミーは胸の中でつぶやいた。一味違う女性というわけか。デスクの上に身を乗り出し、彼女が集便袋を取ろうとかがみ込んだ拍子にジーンズに包まれたお尻がきゅっと引きしまるさまを観察した。病院の外へ一歩出たら、あくまでも一人の男として女性の体を眺めることにしている。しかも、この女性の体は大いに眺め甲斐がある。
「いいや、きみはその他大勢と一緒にいても埋もれてしまうようなタイプじゃない。どこにいても、一際目立つ女性だよ」
 エイプリルは肩越しに振り返り、目を細めて男を見返した。「お世辞のつもり?」
「いいや、お世辞なんかじゃない」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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