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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

愛を許す日

愛を許す日


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 メレディス・ウェバー(Meredith Webber)
 オーストラリアの作家。教師、商店主、旅行代理店など種々の職業を経験したあと、一九九二年に新たなチャレンジのつもりで作家を志す。二年後にデビューを果たした。現在はロマンスの書き方の講座も持っており、教えることが彼女自身の本を書くうえで大きなプラスになっているという。

解説

 キャロラインは4年前のホルヘの言葉をいまだ信じられなかった。“君のことは愛していない。はじめから愛してなどいなかった”たった1通、別れのメールだけをよこして、彼は消えた。以来、妊娠を知らせたくても、娘が生まれたと伝えたくても、すべての手紙は、封を切られることのないまま戻ってきた。だがある日、キャロラインはついに突きとめる。ホルヘが父親の住む異国の地で、診療所を開設したことを。いてもたってもいられず、キャロラインは娘と飛行機に飛び乗った。彼に冷たく拒まれることになろうとは、思いもしなかった。ましてや年老いた彼の父親に、娘のために結婚しろと言われるなんて。

 ■やっと再会したホルヘは、秘密を抱えているようでした。愛らしい娘と接するうち、彼のかたくなな心は解け始めますが、キャロラインへの愛のありかは、わからないままで……。男らしさあふれるラテン系ドクターヒーローとの、愛の復活を描いた感動作です。

抄録

「迷惑だと言いたいの?」
 答えを聞けば傷つくとわかっていながら、キャロラインはたずねずにはいられなかった。
「ああ、大いに迷惑だね」ホルヘは吐き捨てるように答えた。「きみがわざわざこんな再会を仕組んだのは、ぼくの精神を最大限揺さぶり迷惑をかけるためなんだろう。ぼくの父の家にまで行っていたら最悪だったが、それは思いつかなかったか?」
 辛辣な言葉を吐くホルヘをただ見つめ返していたキャロラインの胸に怒りがこみ上げた。
「わたしがいやがらせでこんなことをしたと思っているの? なぜ? わたしを捨てたあなたへの仕返し? 何度手紙を出しても無視され、エラを一人で育てないといけなかったから? 冗談じゃないわ、ホルヘ。そんな恨みなどとうの昔に乗り越えたわ」
「じゃ、なぜ今になって来た?」
 キャロラインは口を開きかけた。本当のことを言おう――ネットの記事でホルヘの怪我のひどさを知り、傷跡の写った写真を見たことを。ホルヘは彼女に哀れまれるよりは愛を失うほうがましだと、わざと冷たく別れを告げたのだと考えたことを。
 でもそれは、自分がまだ彼を愛していると言っているようなものだ。再会した時のホルヘの反応を見る限り、かつて感じてくれていたわたしへの愛はとうの昔に消えているようなのに。
 だからキャロラインは嘘をついた。彼に傷つけられたことなど、とうの昔に乗り越えたというのも、もちろん嘘だった。
「今は生活にも余裕があるの。急に遺産が入ったから、仕事を休んで旅行にも来られるようになったし。手紙を書いても返事がなかったから、直接エラを連れてくればあなたもあの子の人生に関わる気になってくれるかと思ったの」
「以前は余裕がなかったのか? ずっと仕事を続けていたのか? エラが赤ん坊のころはどうやっていたんだ? 母乳で育ててなかったのか?」
 この話題は確かにホルヘの不機嫌をそらすには役立ったが、その代わりにひどくぶしつけな質問を返され、今度はキャロラインのほうが不機嫌になった。「父がわたしの存在を知り、二十八年間の育児放棄の埋め合わせに遺産を残してくれる前だもの」キャロラインは語気鋭く言い返した。「食べていくためには働くしかなかったわ。でも母乳はちゃんと与えていたわよ。当時は体調がよかった母がエラを見てくれていたの。最近は母乳をパウチで冷凍保存できるから、日中でもエラに母乳を飲ませられたわ」
 キャロラインは冷たい目でホルヘをにらみつけた。本当は赤ん坊のエラや病に苦しむ母のそばにもっといてやりたかったという罪悪感が、彼の言葉のせいでまたよみがえってきたのだ。
 デスクに寄りかかっていたホルヘがこちらへ歩み寄ってくる。一瞬、体に触れてキスしてくるのではないかと思ったが、その考えは甘かった。ホルヘはキャロラインの手が届かないぎりぎりの距離で立ち止まり、静かに言った。「当時きみを手伝いに行けなかったことは後悔している。子どものことが書いてあった手紙を開封しなかったことは、悔やんでも悔やみきれない」
 キャロラインはむっとして言い返した。
「“子ども”じゃないわ、エラよ! あなたには覚えにくい名前じゃないでしょう。今日は一日のうちにいろんなことがあったし、もう遅いわ。とにかくエラを預かってくれているミーマを解放して、あの子に何か食べさせ、お風呂に入れて寝かせなきゃ」
 そう言って背を向けたキャロラインの腕を、今度は本当にホルヘがつかんだ。いきなり動きを止められてキャロラインの体はくるりと回り、ホルヘの体とまともにぶつかった。
 その体は記憶のままにがっしりと固く、どんな世間の荒波からも守ってくれる防波堤のようにたくましかった。だがそれは、二人の愛は偉大だと信じていたあのころの話だ。
 あと少し体を動かせば唇が触れ合ってしまう。二人の間で空気の密度が濃く固まる。キャロラインの体は欲望に痛いほどうずき、一瞬が永遠のように思えた。次の瞬間、ホルヘは彼女の体から手を離して後ずさり、デスクに戻って腰を下ろすと、フアンが書いた少年のカルテに目を落とした。
 彼の手が触れた瞬間、二人の間の空気が変わったように感じたのは気のせい? お互いに惹かれる気持ちはまだ残っていると信じたいわたしの妄想?
「エラを探してこなきゃ」部屋を出たキャロラインは、言い忘れたことに気づいて戻った。「あの少年の母親に話してないの、今後アリかハチに刺されると危険だって。あなたから話しておいて、次に刺された時の用心に何を準備しておけばいいか」
 落ち着かない様子で去っていく後ろ姿をホルヘは見つめた。さっきは危うくあの唇にキスしてしまうところだった。彼女の腕をつかんだ、ただそれだけでたちまち欲望がこみ上げた。あの時なぜ彼女を止めたのかさえ覚えていない。買い物に行くと言ったからか、それとも何か謝ろうとでも思ったのか。
 とにかく、彼女に手を触れた瞬間、心の中の何かに火がつき、二人の周囲の空気が熱く燃え上がって、目に見えない煙があたり一面を包んだのだ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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