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追憶のフィナーレ 運命のモントフォード家 III

追憶のフィナーレ 運命のモントフォード家 III


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks シリーズ: 運命のモントフォード家
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 キャンディス・キャンプ(Candace Camp)
 新聞社に勤める両親のもとに生まれ、10歳で始めたというお話作りはキャンディスにとってリラックスの手段だった。シャイで話し下手だった彼女は文章にすると自分の考えや思いを素直に表すことができた。

解説

 冬の夜道を急ぐ馬車の中、ニコラは憂鬱な気分だった。妹にせがまれて訪問を決めたが、妹の夫には会いたくない。私を不幸に陥れたあの憎い男……。急に馬車が止まった。外を見ると、黒覆面の一団に囲まれている。噂の盗賊らしい。その優雅な物腰から“紳士”と呼ばれる賊の首領は、馬車から金品を運び出し、さらにニコラに要求した。「あなたから頂きたいものがもう一つある」彼はそう言って、ニコラの唇を奪った。運命の三部作、感動のフィナーレ。

抄録

 洗面器の水を取り替えていたジャックは、ニコラの声に振り向いた。
「見て!」ニコラは声をひそめて、ペリーを指さした。「熱がさがったようよ」
「本当か?」ジャックがベッドのそばに来て、病人をのぞきこんだ。苦しげな息づかいや落ちつきのなさが治まり、顔色も赤みが薄れている。ジャックはペリーの手首をにぎってみて、ニコラのほうに振り返る。「あなたの言うとおりだ。熱がさがっている」
「峠を越したのよ! もうだいじょうぶだと思うわ」ニコラの目に涙が浮かんだ。
 ジャックは笑った。「ソーンダーズ、みんなに言ってこい。ペリーがよくなりそうだって」
「はい!」ソーンダーズは扉へ急いだ。
 ジャックは喜びの歓声をあげていきなりニコラをかかえあげ、抱きしめたままぐるぐるまわった。「やったぞ! あなたはペリーの命の恩人だ!」
 目がまわりそうになってニコラはジャックにしがみつき、一緒になって笑った。ジャックはニコラを床におろし、喜びのあまりキスをしていた。すぐ二人は離れ、後ろにさがる。心の底からほっとして、自然に出てきたジャックの行動だった。けれども見つめあっているうちに二人は、それまで抑えられていた別の感覚がいやおうなしに目覚めるのをおぼえずにはいられなかった。
 階段から、足音や、はずんだ人声が聞こえてきた。ニコラは急いで向きを変え、ジャックから離れた。扉がひらき、三人の男とダイアンが入ってきた。ジャックは笑って、まだ全快パーティは無理だよと言いながらも、四人がペリーのベッドを取りかこむのを機嫌よく見ていた。
 数分後にジャックは部下たちを追いだし、またニコラと二人きりになった。ニコラは、みんなが入ってくる前のあの瞬間の官能の高ぶりを思い起こした。あれは病人が危機を脱したことに興奮したのと、疲労で警戒心が薄れていたせいだときめつける。あの場限りのことだ。ジャックのほうは見ずに、いつもの椅子にすわった。病人の脈を取ってみる。脈拍は正常にもどり、熱もだいぶさがっていた。ペリーの顔に目を向けたまま、ニコラはベッドのふちで腕を枕にして頭をのせた。
 気がついたときには、窓から日がさしこんでいた。びっくりして目をぱちぱちさせ、ここはどこかとあたりを見まわす。ペリーの顔を見て、たちまち思いだした。ベッドのかたわらで、いつの間にか眠りこんでしまったのだ。朝になっていた。気がとがめて、ペリーの腕に触ってみる。もはや熱くない。ペリーは静かな寝息をたてて熟睡している。快方に向かっているしるしだ。
 ニコラはこわばった体を起こした。頭をのせていた腕がしびれて痛い。おかしな角度に首が曲がっていたために、首から背中にかけてこっている。ゆっくり立ちあがって、首をまわしたり、あちこち動かした。
 ベッドの反対側に、ジャックがまだすわっていた。椅子の高い背にもたれ、すっかり緊張がほぐれた無防備な様子で眠っている。外から鳥のさえずりが聞こえた。男の声と、扉がしまる音がする。
 病人の容態がよくなったので、ジャックの部下に付き添いをまかせてもだいじょうぶかもしれない。二、三時間はペリーをほったらかしにして、ニコラもジャックもぐっすり眠っていたくらいだ。誰かに交代してもらって、少し眠ろうか。柔らかいベッドに手足を伸ばして寝たら、どんなに楽だろう。
 ニコラは、もう一度、ジャックを見やった。ジャックもベッドに寝たほうがいいわ。起こしてあげようかしら。目と鼻より下しか見えないにもかかわらず、日中の光で見るジャックの顔だちは昨日よりもいっそう端麗に見える。輪郭がくっきりして彫りが深い。ニコラの視線は、ひげにかこまれた唇やあごの無精ひげにとまる。髪と同じく、ひげも漆黒だった。鼻筋の通った鼻と高い頬骨の半分は黒い布におおわれている。いつも思うことだが、どうして顔を隠しているのか? ジャックが眠っているあいだに、こっそり布をずらして顔を見ることができるかもしれない。
 そんなことをしたら、個人の自由の侵害になる。良心のとがめを感じつつも好奇心には勝てず、ニコラは忍び足でベッドのすそをまわった。どきどきしながらジャックに近づき、かがんでそっと覆面のへりに手を伸ばした。
 突然、ジャックの目があいた。同時に、ニコラは手首をがっしとつかまれる。「やめろ」
 ジャックの声音は厳しく、布のすきまからのぞく目は光を放っていた。ニコラは小さく叫んだ。卑怯な行いの現場を押さえられ、恥ずかしさで真っ赤になる。身を起こそうとしたが、ジャックが手首を放さない。つかの間、二人はそのままの姿勢で向かいあっていた。次の瞬間には、蛇が獲物に襲いかかるような敏捷さでジャックはニコラをひざにかかえこみ、唇を奪った。
 ジャックがどのような態度に出るか、ニコラは想像もしていなかった。唇をむさぼられたとたんに、ニコラの体中が燃えあがった。ジャックも欲情にわしづかみにされているのがわかる。逆らうのはおろか、何も考えることができなくなっていた。ニコラはジャックにひしと抱きついた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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