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断れないプロポーズ

断れないプロポーズ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 カリブ海に浮かぶ島で開かれた会社のセミナーに参加したリーラは出会ってからたった三日でダンテ・ロッシの腕に抱かれた。善悪や道徳は問題ではなかった。目が合った瞬間、恋に落ちていた。社長であるダンテと新入社員の彼女が愛を交わせば、どんな結果を招くことになるかわかってはいても。リーラが予期したとおり、二人の関係は社内の噂になった。昇進やお金目当てと陰口をたたかれ、ダンテの評判にも傷がつくことをリーラは恐れたが、彼は意に介さず、二人の情熱の炎も燃え尽きることはなかった。リーラがかつてつき合っていた男性が再び現れるまでは。

抄録

 ダンテは先に立ってテーブルの間を縫い、つややかな木の床がテラスのタイルになるところまで連れていった。リーラはあとに続きながら、カール・ニューベリーの視線が追っているのを意識した。
 心のままに振る舞えば代償を払うことになる。頭の中でそう警告する声に耳を貸さず、リーラはダンテの腕の中に入って、必要以上に強く引き寄せられるにまかせた。
「そろそろ君をこの腕に取り戻していいころだ」ダンテがささやく。
 ところが、ステップを一、二歩しか踏まないうちに音楽がやみ、ほかのカップルはテーブルに戻り始めた。リーラは自分たちもそうするべきだとわかっていた。見張っているのはニューベリーだけではない。彼女がここにいる筋合いはないと考える人々すべてが監視しているのだ。
「遅すぎたわね」リーラはダンテの目を見つめたまま手を下ろした。「バンドの出番は終わったわ」
 ダンテは彼女を放そうとせずに首を振った。「いや、僕たちが頼めば、連中は夜明けまで演奏する」
 それなら、すぐ演奏させて。激しい鼓動を静められないまま、リーラは祈った。お願いだから、彼の瞳に魅せられている私の気をそらせて。批判的に見守る人たちの前でたくましい体によりかかり、その腕の中に天国を見つけないうちに。
 神は願いを聞き届けた。≪ビギン・ザ・ビギン≫の一小節目が夜気に流れだし、数組のカップルが戻ってリズムに乗った。だがダンテは動かず、まなざしの魔力で彼女をとらえて放さない。
「お、踊る気がなくなったの?」必死の思いでリーラは言った。注目の的になっているのがわからないの? 好奇心に隠れた敵意を感じないの?
「そんなことは全然ないよ、リーラ」
「それなら、何を待っているの?」
「いや、何も」ダンテは見物人の視野から平然と熱帯の夜気の中に出て、リーラをテラスの端に導いた。闇に包まれると、リーラは体にまわされた彼の手が胸の横に触れるのを感じた。「ただ、こんなに長く待つことで超人的な忍耐力は示せたかな」
 どういう意味か、きかなくてもわかる。するとまた、正しいことをしているという感覚に圧倒されそうになり、リーラははっとした。母が父との出会いを説明したときに話したことはこれだったのだ。
「あの人を見た瞬間にわかったわ」母はそう言った。「私が一生愛する人だと。もちろん世間は仰天したわ。私はシンガポールでも指折りの名家の家庭教師だから品行方正だとされていたし、四十二歳でそんな無分別をする年ではないと思われていたから。それが八つ年下の、しかもハーフの男性と恋に落ちたので、当時はずいぶん後ろ指をさされたわ。でもあの人と出会って二カ月足らずで妊娠したときは、もっとひどい陰口をたたかれたものよ」
「それはつらかったでしょうね」そのとき十七歳だったリーラは言った。「すごく惨めで恥ずかしかったでしょう?」
 母は笑った。「そんなことをきくのは、恋をしたことがないからよ! 女性が男性を本当に愛したら、二人でしたことを恥じも恐れもしないの。あなたのお父さまに出会ったのは人生最高のできごとだったわ。あの人の子供を授かることは、お金で買えない貴重な贈り物だったの。あなたのために一つ願うことがあるとすれば、私と同じように、いつかそんな男性が現れてあなたを一生幸せにすることよ」
「幸運にもそんな男性に出会えたとしても、どうやってこの人がそうだとわかるの?」
 母は手を胸に当てた。「ここでわかるのよ。太陽が朝昇るのと同じくらい確実にね。その人は、朝はあなたの太陽になるし、夜は月になるの」
 本当ね。そう認める気持ちが心をさらに固くダンテに結びつける。彼がそうよ! もうわかったわ。
 でも、彼はわかっているかしら。かすかな不安にリーラはぞくっと肩を震わせた。確かに、彼は私を優しく情熱的に抱いた。でも私が愛していると言ったとき、同じ言葉を返さなかった。そんなことにこだわるのはばかげているかしら。行動は言葉より雄弁というでしょう?
 自分の一方的な夢ではない証拠を求めて、リーラはダンテの目を見上げた。やしの木の間に点々とある灯油ランプの明かりの中で、彼女はダンテも同じことを悟っているのをその目に見た。
「リーラ、もっと早くきくべきだったが、バンクーバーで君の帰りを待っている男性はいるのかい?」
「いいえ」二カ月前にアンソニー・フレッチャーときっぱり別れておいてよかったとリーラは思った。彼がその直後にクロアチアへ去ってから二週間ほどしてよこした手紙では、その別れに傷ついている様子はなかった。
「特別な人はいないんだね?」
「いないわ」
「今はいる」その言葉とともに唇が重ねられ、キスがその証拠を裏づけた。
 リーラはダンテのキスに酔いしれた。彼の体の切迫した緊張がうれしかった。かぐわしい夜の中で時間はとまり、まわりの世界は消えていく。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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