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呪われた誓約 サザーランドの獅子 IV

呪われた誓約 サザーランドの獅子 IV


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカルサザーランドの獅子
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スザーン・バークレー(Suzanne Barclay)
 ヒストリカル・シリーズでは、本国アメリカのみならず日本でも高い人気を誇る。幼いころから夢見がちで大の歴史好きだった彼女は、“二つの趣味を一つにするには歴史ロマンスを書く以外にいい方法はない”と考えてこの道に入った。さらなる飛躍が期待されていた1999年9月、惜しくもこの世を去った。

解説

 ■六年の月日は、十五歳の可憐な乙女を強く美しい母へと変えていた。

 ■ライオン・サザーランド! わたしの息子の父親! ロウィーナはかつての恋人との再会に動揺した。六年前、ライオンに去られ、呆然とする彼女に、ガン族の族長パドレイクが結婚を申し込んだ。妊娠していたロウィーナには、受け入れるしか道はなかった。何より彼は、おなかの子供を実の子として育てると約束したのだ。だが、夫が何者かに殺された今、彼女を取り巻く状況は変わった。新しい族長となった息子のパディはまだ五歳。しかも、その族長の地位をパドレイクの弟が狙っている。もしパディの父親がパドレイクでないと知れたら、パディもロウィーナも、間違いなく即座に殺されるだろう。一方ライオンは、そんな彼女の苦悩を知らず、決意に燃えていた。ロウィーナを取り戻したい。いや、なんとしても取り戻すのだ!

 ■イングランドやフランスの干渉や、氏族間の抗争に揺れる十四世紀スコットランドで、次世代のサザーランドたちが活躍します。

抄録

 騎士は少し離れたところに立って、マクファーソン一族のふたりが去っていくのを見つめている。彼の顔は影になって見えない。右手の剣が薄明かりのなかで不気味に光った。
 ロウィーナはふいに息苦しくなった。一難去ってまた一難。「ありがとうございました。借りができましたわね。あなたがいらしてくださらなかったら、どうなっていたかわかりません」
「ぼくにはわかる。ジョーラス・マクファーソンと弟が狙うのは弱い者や小さい者ばかりだ」
 この人はわたしをか弱くて自分の身も守れない女だと思っているの? ロウィーナはうしろに下がろうとしたが、樫の木に邪魔された。
「怖がらないでくれ」騎士は剣を鞘におさめた。「ぼくがいれば安全だ」
 たしか前にもこんな場面があった。六年前の氏族の集まりで、ひとりの男が暴漢の集団からわたしを救ってくれた。ライオン・サザーランド。友人で恋人で敵だ。ロウィーナは騎士を見つめた。彼の声の響きと背筋をすっくと伸ばした自信と誇りにあふれた姿勢に、彼女は体が震えた。「あなたはだれ?」
 騎士は考えるように首をかしげた。その顔につかのま笑みが浮かんだ。「ぼくも焼きがまわったかな」彼は兜を取り、淑女の機嫌を取り結ぶように低くお辞儀をした。「グレンシーのライオネル・サザーランドだ」
「まさか」ロウィーナはよろめいた。
「ロウィーナ?」ライオンは近づいて彼女に腕をまわし、片手で彼女のあごをつかんで上を向かせた。「ああ、ほんとにきみだ」彼はロウィーナを抱く腕に力をこめた。「惜しかったな。きみだとわかっていれば、ジョーラスとディッキーを刺し殺していたのに」彼の親指がロウィーナのあごをさっと撫でた。「大丈夫か?」
「ええ」ロウィーナは予期せぬ事態の展開に、頭がくらくらしてきた。恐ろしい体験とひさしぶりに彼を間近に見たことで、体が震えた。ライオンの豊かな黒髪は前より短く、肩をかすめる長さになった。ときには冷たく凍りつき、ときには熱く燃える琥珀色の瞳は、どんなときも濁ることはない。その目が刺すようにロウィーナを見つめた。たしかに彼は今でもすばらしかった。体つきは戦士だが、顔は詩人だ。戦では男たちの先頭に立ち、女たちのため息と思慕を誘う。ロウィーナもそのひとりだった。どれだけ彼が恋しかったことか。
 その思いを断ち切られたときは悲しかった。
 彼に去られたときの記憶が体を貫き、ロウィーナは思い出から覚めて、あとずさりしようとした。
「しいっ。怖がらなくていい。きみはもう安全だ」ライオンはロウィーナをぎゅっと抱いた。六年間の空白ののちに触れる彼の腕の感触はあまりにも懐かしく、心地よくて、ロウィーナは身震いした。「落ち着いて」彼はロウィーナの背中を撫でた。ロウィーナが情熱の頂点を極めて恍惚感に酔っていたとき、彼はいつもこうして撫でてくれた。
 ロウィーナは自分の弱さに腹を立て、体をねじって逃れようとしたが、ライオンの腕の力が強くて動けなかった。六年間フランスでなにをしていたのか知らないが、力は強くなったようだ。「痛いわ」
 ライオンは腕から力を抜いたが、ロウィーナを放さなかった。「ぼくはきみを傷つけた」それは今のことではなく、六年前のことだ。
「その話はしたくないわ」
「わかっている。だが……」
「あら、わかっているの?」ガン一族とともに生きるなかで抑えてきた怒りが、突然爆発しそうになった。ロウィーナは体を揺すってライオンの腕から抜けでて叫んだ。「それなら、これもわかって。わたしはあなたを愛していたわ。心から。ところがあなたはわたしを捨てたのよ」ライオンが手を伸ばして触れようとした。「やめて」
「きみが怒るのも当然だが、ぼくの話も聞いてくれ」
「聞きたくないわ」
 ライオンはため息をついて、指で髪をかきあげた。問題を解決しようとして、いらいらしているとき、彼はきまって髪をかきあげる。いい気味だわ。苦しめばいいのよ。苦しんで当然。
「これだけは聞いてくれ。それくらいの借りはあるはずだ」
「借りなんかないわ」ロウィーナははらわたが煮えくり返り、ライオンのみぞおちに肘鉄を食らわせた。腕に激しい痛みが走ったが、気にならなかった。彼がううっとうめいて体を折り曲げたので、胸がすっとした。彼のあごの下を膝で蹴りあげて彼の罵り声を聞いたときには、さらにすっとした。
 ライオンはどさりと地面に倒れた。「うっ。いったいどこでそんな卑劣な手を覚えたんだ?」
「あなたに習ったのよ。女も自分で身を守れると言ったでしょう?」ロウィーナは両手を腰に当てて、ライオンの前に立った。傷ついていた心が喜びに舞いあがった。足もとに横たわる彼の情けない姿を見ると、いくらか過去の埋め合わせができた気がした。「これ以上あなたの言うことは聞けないわ」彼女は両手の汚れを払い落とすと、くるりと向きを変えて馬を捜した。
 だが、ロウィーナはライオンの反撃のすばやさを忘れていた。彼はロウィーナの足首をつかんで引っ張り、自分の体の上にのせた。そして、彼女が体をくねらせて起きる前に、体を回転させて上になり、片方の脚で彼女を濡れた地面に押しつけ、体重をかけずに動けないようにして、彼女の肩の上に肘をついた。そして、目に怒りと危険な光をともしてほほえみかけた。「このほうがいい」


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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