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キスは隠れて グレンモアに吹く風

キスは隠れて グレンモアに吹く風


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュグレンモアに吹く風
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

 ジェンナは夫の手ひどい裏切りに遭い、ロンドンを逃げ出した。遠く離れたグレンモア島で、すべてを新しくやり直すつもりだった。フェリーのタラップを降りたとき、目が合ったのは偶然か、背が高く日に焼けたその人は、青い瞳でまっすぐジェンナを見つめた。まさか彼が上司となる医師、ライアン・マッキンリーだったとは。仕事以外の交友を避け、ひとり灯台に暮らしているという彼は、ジェンナと同じ、傷ついた過去を抱えているように見えた。惹かれずにはいられない気持ちを押し隠そうとすればするほど、真っ赤になったりぼうっとしたり、空回りばかりしてしまう……。ライアンはまるで少女のようなジェンナに、ある朝たまらずキスをした。

 ■2009年にハーレクイン・ロマンスから刊行され、好評を博したミニシリーズ〈グレンモアに吹く風〉の関連作をお届けします。愛に傷ついた人々が流れ着く島グレンモア。噂好きで世話好きな島の住人たちに見守られながら、幸せを見つける二人の物語です。

抄録

 翌日、朝靄から日差しがやっと漏れ出したばかりの早朝に、ジェンナはレベルを散歩に連れ出した。まめに油を差すおかげで鉄の門はもうきしまない。庭のピンクや紫の花々をつかのま眺めてから、彼女は砂浜に続く小道を歩き出した。砂浜に人影はなく、素足になって砂の感触を楽しんだ。レベルが前方に駆け出し、尻尾を振りながら海草や流木を嗅ぎ回っている。ときどき、海水や砂を跳ねさせながら、こちらに戻ってくる。
 大西洋から押し寄せた泡立つ大波が浜で砕け散った。危険な荒波の中、サーファーが一人、神業的な波乗りを披露している。その力強く滑らかな身のこなしに思わず感心し、ジェンナは身震いして目をそらした。十年も関心がなかったくせに、急に男の人しか目に入らなくなってしまったみたい。
 砂地に真珠色のきれいな貝がのぞいているのを見つけて拾い上げ、砂を払ってポケットに入れた。小さな浴室にあるずんぐりしたガラス瓶は、集めた貝殻でほとんどもういっぱいだ。
 二つ目の貝殻をポケットに入れていると、レベルが吠えながら走り出した。犬は、ボードを脇に抱えて波間から現れたサーファー目指して駆けていく。
 ライアンだった。どきっとして、貝殻のことも頭から消えた。さっきから体の奥が熱かったのだから、気づいてもよさそうなものなのに。男性なら誰でもいいわけじゃない。私の目をとらえるのは一人だけ。
 無意識に髪を整えようとして、無駄だと気づいた。着古した短パンと綿のTシャツ姿だ。髪を手櫛で梳かしたって見栄えは変わらない。一瞬、家を出る前に少しは身支度すればよかったと思う。でも、リップグロスを塗っておしゃれな服を着て朝の散歩というのも……。彼がこちらに走ってきたとき、ジェンナはまだ一人でにやにやしていた。
「何がおかしいんだい?」
「こんな朝早くに人と会うなんて思わなかった」
 彼はサーフボードを砂地に置いた。「サーフィンにはもってこいの時間なんだ。たいていここにいるけど、君と会うのは初めてだね」ウェットスーツで体のたくましさが強調され、ジェンナは海に目を向けて気持ちを落ち着けようとした。
「ふだんはもう少し遅いけど、昨夜は眠れなくて」彼のことを考えては理性で押しのけて。でも今また思いが舞い戻り、頭が混乱していた。
「へえ。明日のバーベキューに興奮してるのかな」
「かもね」濡れたレベルが駆け寄ってきたので、彼女はよけた。「お座り!」レベルは命令を無視して激しく身震いし、二人に水飛沫をかけた。「もう、レベルったら! ごめんなさいね」
「問題は僕より君だ。僕はウェットスーツだから」彼の目は彼女の濡れたTシャツに留まった。「トレーニングは快調みたいだね」
「最悪なの。エレインの家で私の言うことを聞いたのは、住み処が欲しかったからだわ。以来、全然よ」彼女は犬をにらんだ。「お座り、レベル!」
 犬はぐずって全身を揺らす。ライアンはため息をついた。「お座り!」
 レベルは座った。「憎たらしい」ジェンナは両手を腰に当てた。「こっちはずっと苦労してるのに、あなたの命令は一度で聞いた。私とどこが違うの?」
「怖そうかどうかだな。君はやさしいんだよ。犬はそれを察知する。特にレベルみたいに、長く自由を謳歌してきた犬は」
「ちょろいってこと?」
「確かにタフで冷酷には見えない」
 浜辺をずっと走ってきたみたいにどきどきした。「こう見えても芯は強いのよ!」
 彼の声の調子が変わった。「君が強いことはわかってるよ、ジェンナ。先月君はそれを何度も証明した。住み慣れた場所を離れて、まったく知らない土地にやってきた。簡単なことじゃない」
 海のように青い彼の瞳に引き込まれ、溺れそう。彼を狂おしいほど求めている自分がいる。だからライアンの腕が彼女の腰にまわされ、引き寄せられたとき、ジェンナは抵抗しなかった。頭がぼうっとして、待ち受ける甘い罠に否応なくはまる。下りてくる彼の顔。熱く巧みなライアンの唇が重なったとき、ジェンナの頭で光が爆発し、体の奥で炎が上がった。
 キスするなんて間違いだと思うべきなのに、これでいいんだと感じている。唇を合わせて立ち尽くす二人。それを囲むのは潮の音と香りだけ。
 ジェンナは彼のウェットスーツの胸に手を当て、筋肉を感じた。炎が広がって足先まで舐め尽くし、立っていられなくなる。彼の腕に力がこもり、唇の情熱が増し、二人はキスで互いを探り、祝福した。
 レベルが吠えた。ライアンが名残惜しそうに唇を離す。ジェンナはぼんやりしながら彼を見上げ、目を唇に移した。あの感触、私はもう知っている……。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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