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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

禁断の情熱

禁断の情熱


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 ジュエリーデザイナーとして高い評価を受けつつあるモーナは、かつて、かなり年上の資産家の愛人だった。しかし彼から屈辱的な形で裏切られ、捨てられて以来、男は危険な存在として警戒するような態度をとりつづけている。だから、リゾート開発も手がける事業家のホークと出会ったとき、その魅力に熱い興奮をおぼえながらも、心を開くことができなかった。そんなモーナの反応を気にもとめず、ホークは近づいてきた。「きみに心を乱されたからだ」率直な言葉にモーナは驚く。だめよ……。モーナは必死になって自分の本心を否定しようとした。

抄録

 馬に乗った男性が視界から消えるなり、モーナは上掛けを押しのけ、ノースリーブでタートルネックのトップとジーンズを身につけて、かかとの低い靴をはいた。ふたたび砂浜をゆったり歩く馬が現れたころには、髪をきちんと後ろでまとめ、顔を洗って歯磨きをすませていた。
 完璧な鎧に身を固めたモーナに対して、ホークは水着しか身につけていない。
 緊張で胸をはずませながらモーナが広いデッキに出たとき、数メートル先の砂浜に馬が止まった。
 ホークは馬から降りもせず、心の読めない目でこちらを見ている。モーナはいらだった。月並みな言葉で言えば、お気に入りの種馬に乗って遠乗りに出た領主が、優位な立場から震える農家の娘を見下ろしているといったところか……。
 でもわたしは農家の娘ではないし、震えてもいない。脈は乱れているけれど。
 モーナはむっとし、こっけいなほどよそよそしい声を出した。「おはよう」
「おはよう」ホークの声は不安になるほど感情がこもっていなかった。「よく眠れた?」
「とても」モーナは嘘をついた。ひと晩中、夢に悩まされていた。夢のなかで彼女は姿の見えない男性にキスされ、キスは彼女の手首にとどまらず……。
 馬が何かにいらついたかのように身じろぎし、頭を振りあげて数歩下がった。不安そうに様子を見守るモーナの前で、ホークはさしたる苦労も見せず、大きな動物を制御した。
「それは種馬なの?」
「ラージャは去勢馬だ」
 なるほど、去勢馬にしては気が荒そうだ。「鞭を持ってくるべきだったわね」
 ホークは肩をすくめた。「もし鞭が必要なら、きみを馬のそばに近寄らせないよ。乗馬の経験は?」
「わたしは郊外の低所得者用国営住宅で、シングルマザーの母に育てられたのよ。馬なんて考える機会もないわ。でも、この馬の色は気に入ったわ。あなたと息が合っているのね」
 ホークが声をあげて笑う。「ぼくはそのブレスレットが気に入った。きみが作ったのか?」
 信じられないくらい有頂天になり、モーナは得意げに言った。「これはメタルバンドのブレスレットなの。ええ、そう。わたしの作品よ」
 ホークがからかうように見る。「メタルバンドのブレスレットか。きみの腕をぐるりと巻く長さがあるんだね。ついているのはなんの印?」
 明らかに彼は目利きだ。「雪片よ」
 黒い眉が上がった。「雪片?」
「なぜいけないの?」モーナは言い返した。「雪片にはとくになんの意味もないわ。ただきれいで、比類ないものよ。ねえ、行ったほうがいいわ。風邪をひくかもしれないわよ」
「きみの邪魔をしてしまったかな?」
「馬はね。今にも爆発しそうなエネルギーと横柄さがちょっと鼻につくわ」
 ホークは声をあげて笑い、すばやく馬から降りた。手綱を柵の柱に結びつけ、彼女のほうに近づいていく。「手を出してごらん」
 モーナの全身が真っ赤になった。まさか、もう一度キスするはずがない。「なぜ?」
 彼は身をかがめ、芝生の雑草を抜いた。「手を出してくれれば、これをあげられる」
「世に知られていない農業の儀式か何か?」
「きみがこれをラージャにやれば、あいつは一生きみに仕える。あいつの興味は主に二つ。食べることと泳ぐことだ」
 ホークはここで立ち止まるつもりも、馬から降りるつもりもなかった。ところが、モーナの近寄りがたい雰囲気が彼の好奇心をかきたてたのだ。彼女が数歩下がったのを見て、ホークはほほ笑んだ。大きく見開かれたモーナの目が、彼の本能的な部分を満足させる。
「泳ぐこと?」モーナは彼の手から草を受けとった。
「でなきゃ、ぼくがこんな格好をしているはずがないだろう」
 ラージャが貴族的な頭を振りあげ、一歩モーナに近づいた。彼女は凍りついた。
「大丈夫だ」ホークが彼女の背に手を当て、前に押しやる。「てのひらに草をのせてさしだして」
「なんだか赤ずきんになった気分だわ」モーナはつぶやき、彼とともに前に進んだ。「ああ、おばあちゃん、なんて大きな歯なの?」
 ホークが静かに笑う。「ラージャはきみを食べたりしないよ。手を出して。そう、それでいい……」
 小さな身ぶりを見れば、モーナが安心しきっていないのがわかる。それでも、ラージャが手から草を食べるあいだ、彼女はじっとしていた。
 ホークは奇妙にもプライドをくすぐられた。「よかったら鼻を撫でてやってもいいよ」
 モーナはおずおずと手を伸ばした。ラージャはひと声いななくと、礼儀正しく頭をたれ、耳のあいだをかいてくれと催促した。
 うまいものだ。ホークは興奮した。「たぶん、きみの言う狼はぼくのことなんだろう」
 馬の毛並みをモーナは指先だけで撫でた。彼女が指を止めると、ラージャが面白くなさそうに頭を振りあげた。彼女は思わずあとずさりした。「たしかにラージャのことを言ったわけじゃないわ」
 ホークは無謀な危険に飛びこむ年齢はとうに過ぎたと思っていたが、モーナが振り向きざま冷たい目で見つめたとき、彼女のほっそりしたしなやかな体が自分に及ぼす力は無視できないと覚悟を決めた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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