マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

消えない蜃気楼 シークと見る夢 I

消えない蜃気楼 シークと見る夢 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュシークと見る夢
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 ソフィー・ウエストン(Sophie Weston)
 ロンドン生まれ。五歳のときから物語を書き始める。生来の旅好きで、健康を害したおり回復を願って最初のロマンス小説を書くが、旅にはもう出られないと思っていた。だがそれは間違いだったようで、今にいたるまで大いに旅を楽しんできた。最近は都心に二匹の猫と暮らし、さくらんぼの木を植えて楽しんでいる。そして世界を旅して、物語の題材を探すことも忘れない。

解説

 ■砂漠のプリンスとの恋なんて、誰に予測できたかしら?

 ■カイロでツアーの添乗員をしているリオの滞在先のホテルに、黒塗りのメルセデスが停まった。護衛官に守られてロビーに現れた男性に視線が引き寄せられる。ゆったりとしたアラブの民族衣装をまとったその男性からは、高貴な雰囲気がにじみ出ていた。どこかの王族にちがいない。これまでそんな人物には会ったことがないにもかかわらず、どこか親しみを感じて、リオは胸が騒いだ。すると彼もぴたりと足を止め、リオのほうをじっと見つめた。その夜、リオが宿泊する部屋のドアがノックされた。訪ねてきたのはほかでもない、彼女がロビーで見かけた男性、中東の王国ダルモーンの王子、シーク・アミールだった。

抄録

 リオは少し考えた。初対面も同然の男性に、これまでのロマンスの失敗を話したいとは思わない。でも、どうせこの人とは二度と会うこともないだろう。
 リオは言葉を選んで言った。「特別な人は、いなかったわ」
「あの男……ロイはどうなんだ?」
 あまりのばかばかしさに、リオは笑ってしまった。
 アミールは笑わなかった。「アパートを追い出すようなことを言っていたが、いっしょに暮らしていたんじゃないのか?」
「あれは会社のアパートよ」彼女はなぜか弁解したい気持になっていた。「添乗員はしょっちゅうカイロを離れるから、自分で部屋を借りる必要はないの。だから共同で住んでいたのよ。ロイ、ヴァネッサ、ケヴィン、みんないっしょにね」
 アミールは少し考えてから言った。「なるほど。それではあまりプライバシーはなかっただろう」これでこの話を終わりにできる、とリオはほっとした。ところが彼はさらに聞いた。「それが理由なのか?」
「理由?」リオはとまどった。
 アミールが照れたような笑みを浮かべた。「これまで特別な男性ができなかった理由だよ」
「あら、そんなことを言ったかしら」
 リオは、アミールが彼女の言葉を信じているのがわかって、なんだかうれしくなった。
「ああ、そんなことを言った」アミールも楽しそうにリオのまねをした。
 彼女はため息をついた。
「わたし、不器用で、男の人とうまくつき合えないの。だから母はやきもきしているわ」
 彼女はにっこり笑ってみせた。しかし、すぐに真顔に戻り、視線をそらした。
 アミールが口を開いた。「つまり、男性には興味がないということか?」
 リオはびっくりした。「違うわ。つき合った人は、ふたり。でも、どっちもたいした経験ではなくて、すぐに向こうが去っていったわ。たぶん、わたしが機嫌をとろうとしないから、おもしろくなかったのよ。そういうの、苦手なの。だから長続きしないんだわ」
 アミールは硬い口調で言った。「男女の仲は、そんなふうにうわべだけつくろっても、続くものではないだろう」
「そうかしら?」リオは冷たく言った。
 アミールは不愉快そうな顔をしている。彼女の言葉にいらだっているのは間違いない。
 リオは驚くと同時に、うれしくなった。アミールは自分に逆らう女がいるとは思っていなかったのだろう。彼の鼻をほんの少しでもへし折るのは、気分がよかった。
 アミールが言った。「きみは男性に運がなかったようだな」
 リオは肩をすくめた。「普通じゃないかしら」
「たいしたことのない経験を二度しただけで?」
「ほっといてよ」
「きみは知ってるかな」アミールは言った。「最近では、ほとんどの女性が理想の相手を見つけるまでに不本意な経験を二回以上しているそうだ」
「それは結婚したい女性の話でしょう」
 アミールは不意を突かれた。「きみは結婚を望んでいないのか?」
 リオの頭の中で母の心配そうな声がした。“ほら、もっと素直になりなさい”
「そうは言っていないわ」リオは答えた。
「結婚はしたいが、できるとは思わない、というわけだな」
 アミールはひとりで納得している。リオは乱暴に座り直した。
「わたしは、あなたの夕食のお誘いをお受けしました。でも、面白半分に詮索されるのはごめんだわ」
「いや、そんなつもりはなかった」アミールは困ったような顔をした。少しして彼は明るく言った。「わかった。では、今度はわたしが質問を受けて立とう。なんなりときいてくれ」
「いえ、結構よ。知りたいことはありませんから」
 アミールは頭を振った。楽しんでいるらしい。「はっきりしているね。本当に素直だな」
「それは、どうも」リオは腹だちまぎれに言った。
 アミールが腕をのばした。上質のコットンのシャツをとおして、彼の引きしまった筋肉の動きが見えたような気がする。リオは抱かれて船に乗ったときの彼の体の感触を思い出した。とたんに口が乾いた。
「あの月を見てごらん」アミールが言った。
 まるで自分が月を輝かせているような口ぶりだ。
 空を見あげると、ほんの少し欠けた月が、ダイヤモンドをちりばめたような空にぽっかり浮かんでいる。こんなにきれいな月は見たことがない。あまりのまぶしさにリオはめまいを感じ、あわてて両目を閉じた。
 アミールが優しく言った。「人間の行為がじつにくだらないものに思えてこないか?」
 それは、わたしの態度をさしているの? リオは彼を詰問しようと口を開け、同時に目も開けた。アミールがじっと彼女を見ている。リオは頭がぼんやりしてきた。
 思わず、クッションに身を沈めた。彼から目をそらすことができない。
 ふたりはしばらくじっと見つめ合っていた。
 アミールは片肘をつき、リオを見下ろしている。リオは身を硬くした。ふたりはまるで恋人のようにより添って横になっている。なのにアミールは彼女に触れようとしなかった。キスをする気配すらない。
 リオはいらだちを覚えた。はじめての感覚だった。やっぱり、わたしには魅力がないんだわ。恋人からの電話も、恋人の熱い視線も、わたしには縁のないものなのよ。
 恋人? アミールに恋人になってほしいの? キスさえしない人に? いいえ、わたしはキスなんかしてほしくないわ。そうでしょう?


 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。