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結婚相手は最高?

結婚相手は最高?


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 ペニー・ジョーダン(Penny Jordan)
 1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた『純愛の城』が遺作となった。

解説

 結婚式でブーケを手にした瞬間、ポピーは世界から消えたくなった。主役の花婿は誰あろう、ポピーが長年好きだった従兄のクリス……片思いの終わり方としてはあまりにも皮肉だ。気持ちにけじめをつけるためポピーが泣きながら想い出の写真を焼き捨てていると、そこにクリスの兄ジェームズが現れる。会社経営者のジェームズは陽気な弟とは対照的にクールで気難しく、端整な顔立ちは威圧感を与えるほどだ。彼は“悲劇のヒロインぶるのはやめろ”と惨めなポピーを鼻で笑うと、意外な行動に出た――ポピーの唇を情熱的に奪ったのだ! 

抄録

 いがらっぽいたき火の煙が突然顔にかかったので、ポピーは顔をしかめて咳きこんだ。たなびく煙をよろけながら避けると、ジェームズが先ほどつかみ取った写真をじっと見つめているのが見えた。ポピーは恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
 それは写真にクリスが写っていたからではない。ポピーの全身が恥ずかしさと困惑で燃えるように熱くなったのは、文字どおりクリスの顔一面が口紅の跡で覆われていたからだった。
 ジェームズはばかにして笑い出すに違いない。ポピーは体をこわばらせて身構えた。手を伸ばし、写真を彼の手から奪い返したい。でも、そんなことをすれば恥の上塗りになってしまう。
 ところが、ジェームズは笑わずにただ写真をじっと見てからポピーの顔に視線を移した。わたしの唇を見ているんだわ。彼女は惨めさで体が焼けつくように感じた。ジェームズは再び写真に目を戻した。
 彼が冷静に写真を観察している間の静寂に、ポピーの神経はまいってしまいそうだった。ついに耐えられなくなった彼女は、自分はもう大人なのだからそんなことは絶対にしないと心に決めた行動に出た。ジェームズに駆け寄り、写真を取り返そうと腕を伸ばした。しかし、ポピーが腕を伸ばすと、その目的を見て取ったジェームズは片手に写真を持ったまま、もう一方の手で彼女の腕をがっちりとつかんだ。
「放して」ポピーは叫んだ。恥ずかしさからくる怒りで頭がいっぱいで、自己抑制や自尊心といった感覚はどこかにいってしまった。狂ったように拳でジェームズの胸をたたき、彼の腕を振りほどこうと身をよじったがむだだった。
 身長が百六十センチちょっとのポピーに対し、ジェームズは百九十センチに近い長身で、体重も彼女より三十キロは重い。そのうえ、日ごろ水泳とランニングを欠かさず、合気道の稽古を積んでいるのだから、ポピーが必死に身を振りほどこうとすれば、彼女の体力が消耗してしまうのは当然だった。
 それでもポピーは抵抗しつづけ、歯を食いしばったまま言った。「放してよ……ジェームズ……わたしの写真を返して」
「きみの写真、か」ジェームズは今度は本当に笑った。それは両手で耳を覆いたくなるような、軽蔑に満ちた不快な笑い声だった。「男との情熱的なキスといったら、君にとってはこれがせいぜいなんだろうね、ポピー?」
「いいえ、もちろん違うわ」ポピーは嘘をついた。ジェームズにこれ以上惨めな気分にさせられてたまるものですか。
「違うのか?」ジェームズは陰険に尋ねた。ポピーが思わず見上げると、彼はあざ笑うように見つめている。「それなら相手は誰だ? クリスであるはずはない。だが、きみはクリスしか愛したことがないと言ってたじゃないか。クリスしか愛せない、と」
 ポピーの顔は怒りで深紅に染まった。ジェームズは、彼女が十六歳のときかっとなって彼にぶつけた言葉を引き合いに出しているのだ。あのとき、ジェームズは、そろそろクリスへの片思いから卒業するくらい大人になったかと尋ねて彼女をからかったのだった。
「あなたの知らない人よ」ポピーは頭にきてやり返した。
「誰も知らない人……君も知らない誰かさんと言ったほうがいいんじゃないか」皮肉っぽくジェームズがからかった。
「そんなことないわ」かっとなってポピーは嘘をついた。
「そうかい?」ジェームズはあざ笑った。「それなら、試してみようじゃないか、どうだ?」
 ジェームズが何をしようとしているのかポピーにはわからないうちに、彼は体の重心を移動させた。ポピーは一瞬バランスを失い、本能的に腕を伸ばしてジェームズにしがみつき、体を支えなければならなかった。一方、ジェームズはそんな彼女の虚をついてさらに強く引き寄せ、今度は片手だけでなく両手を使って逃げられないように抱きしめた。あまりにきつく抱きしめられたので、ポピーはジェームズの硬く引き締まった筋肉質の腿、そして規則正しい胸の鼓動をじかに感じたほどだった。
「ジェームズ」ポピーは彼の顔を見て、自分がどんなに怒っているかを示そうと反射的に頭をそらした。しかし、彼女の唇を見つめているジェームズの視線に気づくと、ポピーの抗議の言葉は喉の奥でとだえてしまった。彼女自身の心臓が狂ったように速く浅く鼓動を打ちはじめ、呼吸も速くなり、唇が開いた。突然肺から酸素が奪われてしまったような気がした。ポピーはもっと空気が欲しくてあえいだ。
 抗議とも、やわらかなうめき声ともつかぬ小さな音がポピーの喉からもれたかと思うと、消えて聞こえなくなった。ジェームズの唇がゆっくりと慎重にポピーの唇に押し当てられたのだ。
 こんなことあるはずがない。ポピーの頭はショックと信じられない気持とで混乱していた。ジェームズの唇がわたしの唇を覆って、愛撫して……わたしの唇が彼のものに……。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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