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孤独な領主 戦士に愛を

孤独な領主 戦士に愛を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル戦士に愛を
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★☆☆☆☆1
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著者プロフィール

 マーガレット・ムーア(Margaret Moore)
 俳優エロール・フリンに憧れ、『スター・トレック』のミスター・スポックに恋をした少女は、やがて謎めいた魅力的な悪漢をヒーローに仕立てたロマンス小説を書くことに夢中になった。カナダのオンタリオ州スカボローに夫と二人の子供、二匹の猫と暮らしている。読書と裁縫が趣味。

解説

 ■領主の姫君から一転して召使いに! 城じゅうの男性が彼女に惑わされ……。

 ■レディ・ガブリエラはドゲール男爵一行の到着を待っていた。父のフレシェット伯爵はひと月前に亡くなり、彼女には借金だけが残された。城と領地は没収され、きょう明け渡すことになっている。だが、父の死も知らず行方もわからない兄が帰るまで、ガブリエラはなんとしても城に残りたかった。城に到着した男爵に自分と同じ孤独を感じた彼女は、一縷の望みを胸に、その願いを口にした。だが、噂にたがわず冷酷な彼は、情け容赦なくこう言ったのだ。「ここを出ていくか、召使いとして城に残るかだ!」なんですって? でも、わたしには行くあても、お金もない。ガブリエラは悲痛な思いで召使いになる道を選んだ。彼女の美しさが、どれほどの騒動を巻き起こすかも知らず……。

 ■中世の戦う男たちの愛と冒険を描く〈戦士に愛を〉シリーズ第六話!

抄録

「愚か者だ」エティエンヌはそう言いながら、自分の言葉に集中するように自分に命じた。「わたしは愚か者になるつもりはない。わたしの財産管理人は最初に帳簿を見たとき、不正な細工をされた証拠は見いだせなかった。だが、こういう犯罪は家令なら容易に隠すことができる。ジャン・リュックにもう一度慎重に調べさせよう」
 ガブリエラはゆっくりとうなずいた。彼女が急に頼りなげになったので、エティエンヌは胸がつぶれそうになった。以前の彼女はもっと強く、エティエンヌはそんな彼女の強さを味わいたいと思っていた。だが、今は彼女をこの腕に抱いて、慰めてやりたかった。
 こんなふうに感じるのは初めてで、エティエンヌはふいに自分が無知で孤独になったような気分に陥った。もう何年も前になるが、初めて馬上槍試合に出たときのように。彼は武器や男たちの前にいきなり放り出されておびえる、経験の足りない若者だった。
 だが、あのとき彼はなんの感情も顔に出さなかった。むろん今も出すつもりはない。「シャルフロンが本当のことを言っているとジャン・リュックが確認したら、きみは彼に謝らなければならないぞ」エティエンヌは静かに言った。
 ガブリエラは顔を上げて彼を見た。強さが戻っていたので、エティエンヌはほっとした。
「謝らなければならないときは、潔く謝ります」ガブリエラは穏やかに答えた。
「きみが今と同じく謙虚さを欠いたまま謝るなら、謝らないほうがいい」
「まだ仕事が残っておりますので、ドゲール男爵」
 仕事があるのはエティエンヌも同じだが、彼はガブリエラを行かせたくなかった。「わたしを見るんだ、ガブリエラ」
 ガブリエラは彼の顔をさっと見て、すぐに目をそらした。
「だめだ。わたしを見ろ」エティエンヌはガブリエラに近づき、彼女のあごに手を当てた。たったそれだけの動作に、ジョゼフィーンのもっとも情熱的な口づけよりも興奮させられた。「このあいだ居間に荘園管理人たちが集まったときは、あんなことになって残念だった」彼の声はやさしかった。
 ガブリエラは男爵の目にやさしさを見たような気がして驚いた。今しがたシャルフロンに謝れと言われたときも驚いたが。
 わたしを放っておいてくれればいいのに。さもなければ、この部屋から出ていかせてくれたらいいのに。あるいは、ジョゼフィーン・ド・チェイニーが戻ってきてくれたらいいのに。彼とふたりだけにならずにすむなら、どんなものでもいい。手足が熱くなり、心臓が狂ったように打ち、胸に禁断の欲望が芽生えたのを痛いほど意識しないですむなら、なんでもかまわない。
「いつまでも世間知らずではいられない。世の中は甘くないからだ。われわれはだれもがそのことを教訓から学ぶのだ」男爵はガブリエラのあごから手を離したが、その場を動こうとはしなかった。「だが、わたしはきみに教訓を与える材料にはなりたくない」
「自分が教訓を与えられているとは思いませんでしたわ」ガブリエラは怒りの口調か冷ややかな口調で言おうとしたが、みじめにも失敗した。
 男爵の射抜くようなブルーの瞳は彼女の目に釘づけになっている。「われわれは世の中に出れば、だれもがひとりぼっちで、他人の助けをあてにすることはできない」
「わ……わたしには兄がいます!」ガブリエラは力なく言った。
「どこにいるのかもわからないではないか。それに、きみが愛着を感じる村人たちも、きみを助けようとはしない」
「助けてくれるわ! わたしが本当に危険な目に遭えば……」
「彼らはまず自分たちを助ける。世間とはそういうものだ、ガブリエラ。きみはそれを学ぶべきだ」
 ガブリエラは首を振って、うつむいた。「いいえ、そんなこと信じません!」
「だとしたら、きみは何度も失望させられることになる」男爵の声は海のうなりに似た低いささやきになった。「わたしはきみにそんな思いはさせないよ、ガブリエラ。わたしはきみを助けてやる」
 ガブリエラの目に、男爵の腕のなかにいる自分の姿がはっきりと見えた。彼に口づけし、愛撫し、愛撫され、ベッドに横たわって愛し合う自分の姿が。
 そんな姿を想像した自分が怖くなり、ガブリエラはかすかにあえいで身を引いた。この男はわたしから家を奪い、わたしを召使いにしたのだ。そんな男と愛し合いたいの?
 あなたの助けはいらないわ! ガブリエラはそう言いたかったが、男爵にたくましい腕で引き寄せられて、言葉が出なかった。胸と胸をぴったり合わせながら、男爵の顔を見上げ、探った……なにを? 彼の目にあからさまな欲望が浮かぶところ? それ以上のもの?
 男爵が顔を近づけてガブリエラに口づけをした。男爵のひどい仕打ちや、なぜここにふたりでいるかということは、急にどうでもよくなった。大切なのは、重ね合った唇のぞくぞくするような感触と、ガブリエラの体のなかに猛烈な勢いで燃え広がっていく欲望の炎だけだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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