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偽りの求婚者 テキサス・シーク III

偽りの求婚者 テキサス・シーク III


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリームテキサス・シーク
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャレン・T・ウィッテンバーグ(Karen Toller Whittenburg)
 オクラホマ州生まれ。読むことを覚えたときから本のとりこになり、以来、書かれた言葉を夢中で読みふけっている。幼いころから物語を書いていたが、ロマンス小説に出合って本格的に愛の肯定的な力について書こうと思い立つ。アーカンソー川沿いの歴史的に有名な町サンドスプリングズで育ち、オクラホマ州立大学に進学。現在はカメラマンの夫とタルサに暮らしている。

解説

 ■とても信じられない。あなたがアラビアの王子だなんて。

 ■未婚で妊娠したために教職を追われたアビーは、夏のあいだ、友人ジェシカの牧場に身を寄せることになった。今後のことをじっくり考えなければ……。空港に着き、ジェシカがよこしてくれた迎えの男性を見てアビーは仰天した。彼こそ、おなかの赤ん坊の父親だ! 去年の十二月、出会ったその夜に一度だけベッドをともにして、名前も告げずに別れた相手。まさかこんな偶然があるなんて。相手のマックも、驚きながらも再会をとても喜んでいる。ところが、実はあの夜に子供ができたと告げたとたん、マックの顔から笑みが消え、激しい怒りがみなぎった。「そうか、最初からこういう計画だったのか」

 ■権力闘争に巻きこまれ、テキサスに逃れたアラビアの王子たちの波乱に満ちた運命を描く四部作『テキサス・シーク』。第三話は前作のヒーロー、ケイドの双子の兄マックが主人公です。

抄録

 マックをいっそう腹立たしい気持にさせたのは、アビーが彼より泳ぎがうまいだけでなく、真夜中の水泳を楽しんでいることだった。彼女はただ水に浮かんだり、背泳ぎや平泳ぎやバタフライをしたりしている。そしてとうとう桟橋へ泳いでいって、水からあがった。そのときになって、彼は自分があとまで水中にいたのは単なる意地からだと悟った。シャツを水着代わりにされたのは、それほど悔しくない。シャツはぬれて、彼女の体にぴったり張りついている。マックはそそられたが、そんな自分を恥じながら水からあがり、ジーンズを手にとった。彼女は背中を向けてシャツを脱ぎ、水をしぼってそれで体をふいてから白いシャツを着た。体に残っている湿りけのせいでシャツが胸にまといつき、腰やヒップの線を際立たせる。なぜかマックは、喉が渇いて引きつるのを感じた。
「はい、あなたのシャツよ」アビーが明るく言い、湿ったデニムを丸めて差しだした。「ありがとう」
「どういたしまして。困っている女性には、いつでも喜んで服を貸してあげることにしてるんだ」皮肉な口調で言おうとしたが、思わず笑みが浮かび、やさしい声になる。「ぼくのブーツも借りたいんじゃないのかい? ここから家までの砂利道は、裸足だとつらいよ」
 アビーは時間をかけて髪の水をしぼりながら、その親切な申し出になにか罠が隠されているのではないかと疑うようにマックを見た。「遠慮するわ。こう見えても、わたしは頑丈にできているの」
「きみは泳ぎが上手だね」
「兄たちがうまかったのよ。学校では、いつも水泳大会に出場していたわ。それでわたしも、小さいときから兄たちと一緒にプールで泳いでいたの。わたしも水泳大会に出たかったけど、家族は女の子がすることではないと考えたのよ」
「それで自分からやめたのかい?」
 アビーは唇をわずかにゆがめた。髪からしずくをしぼりおえて体をまっすぐにし、髪をひとつによじって片方の肩にかける。「ええ、自分からやめたの」
「明らかにそのころから、きみは独立心を発達させてきたようだな」
 アビーは物思わしげであると同時に皮肉っぽい笑みを浮かべた。「さあ、どうかしらね」
 アビーのハスキーな声が耳に快くて十二月のあの夜を思いだしたからか、あるいは夜気が運んできた彼女の香りのせいか、話すつもりなどなかった最初の出会いのことがマックの口をついて出た。「なぜきみはさよならも言わずに立ち去ったんだい?」
 一瞬、アビーはいぶかしげにマックを見つめた。顔に痛みの影がよぎる。「わたし……ほかに行くところがあったのよ。それに……黙って去るほうがいいような気がしたから」
 マックはブーツを履きおえた。この話題を続けるのは愚かしい気がしたが、自分の気持をアビーに知らせずにはいられなかった。「きみにはわからないだろうな。目覚めたとき、横にきみがいるのをぼくがどれほど望んだか」
 その告白がふたりのあいだにしばらく漂った。アビーの顔に後悔とも非難ともとれる表情が浮かんだ。「そう」ようやく彼女は言った。「でもおかげであなたは、間一髪で災難から逃れられたじゃない」
 突然、後悔が鋭い痛みを伴ってマックを襲った。アビーは向きを変え、桟橋のつけ根のほうへ歩きだした。彼はあとをついていきながら、彼女の揺れる腰を、月光を受けて躍るぬれて色濃くなった髪を、見つめた。すると、アビーが欲しくてたまらなくなった。彼女の一歩一歩が欲望をそそる。板張りが終わり、家へ続く坂道に差しかかると、マックは彼女に駆け寄って素早く抱きあげた。
「なにをしようっていうの?」アビーが脚を軽くばたつかせながら尋ねた。
「地面はごつごつしているし、きみは裸足だからね」実際は、それを口実にしてアビーにふれたいというのがマックの本音だった。そして、ぼくがアビーに対して感じたのと同じ欲望を、彼女もぼくに対して感じているのか知りたい。けれど、胸の上で腕を組んでかたくなに前方を見据えているところを見ると、どうやら違うらしい。マックは彼女が両腕を首にまわしてくれたらいいのに、と願った。唇に長いキスをして、この恥ずべき欲望を満足させてくれたらいいのに。家のタイルの床へ彼女をおろしたとき、彼は怒りの平手打ちをくらう覚悟をした。だがアビーは思いもよらぬことをした。爪先立ちになり、彼の頭を引き寄せて唇に長いキスをしたのだ。
 マックは電流が頭のてっぺんから足の先まで走り抜けたように感じた。神経の末端に熱い炎が燃えあがる。ほてった自分の体から湯気が立っていたとしても驚かなかっただろう。わきおこる欲望で膝が震えたが、踏みとどまるべきなのもわかっていた。これもひとつの罠、もうひとつのうそかもしれないのだ。そう思ったものの、彼はアビーを抱きしめて激しくキスをした。まるで彼女が毒であると同時に、解毒剤でもあるかのように。ようやく彼女を放したとき、彼の息は荒く、気持が混乱して、自分に対して怒りを覚えた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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