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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

魅せられた伯爵

魅せられた伯爵


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ペニー・ジョーダン(Penny Jordan)
 1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた『純愛の城』が遺作となった。

解説

 ■地域と人々に尽くす領主ですって? 嘘よ、本当の姿を暴いてあげるわ!

 ■モリーは二十二歳。イングランドの田舎町、フォードカスターへ地元新聞の新人記者としてやってきた。華やかなマスコミの世界を夢見ていたのに、モリーの初仕事はチャツネの作り方を老婦人にインタビューすることだった。がっかりしながらも約束の場所へ急ぐモリーは、途中で対向車と衝突しそうになる。車から降りてきたのはびっくりするほどハンサムで横柄な男。いったい何者? 「僕はアレクサンダー・ヴィリヤーズ・セント・オテル伯爵だ」伯爵ですって? モリーは上司の話を思い出した――地域のために働く志高い伯爵の……。彼のことだったのね。でも、この態度。それに突然のキス。人をばかにして! いい人なんて嘘よ。私が真実を明らかにしてみせるわ。

抄録

 伯爵ですって? ふん、そんなことにかまっていられるものですか。彼女が他人を偉いと思うのは、それに見合うだけのことをその人がしたときだけだ。高い身分をひけらかせば彼女がひるむだろうと男がちょっとでも考えているのだとしたら……。
「あの、あなたが誰だろうと関係ありません」モリーは反抗的に言った。心の中では注意したりやめさせようとする声がしていたはずだが、彼女は聞こうとはしなかった。「ちょっとでも私が恐縮するだろうと思ったら大間違いですからね。そんなふうに立ってると、まるで、ジェーン・オースティンの小説に出てくる暴君みたい。あの、しょ、初夜権を行使するような傍若無人な……」
 黒い眉がびくっと動いて、青い目がぎらりと光った。その目が何を語っているのか、彼女には見当がつかなかった。男はていねいな口調で遮った。「ジェーン・オースティンは男の登場人物にそんな権利は持たせていなかったと思いますよ。彼女は初夜権なんていう考え方は認めなかったはずだ」
「あなたと違ってね」モリーは向こう見ずにもやり返した。
「それは場合にもよるが……しかし、そんなにまでして僕を悪漢の放蕩者に仕立てたいのなら……」
 何が起こったかわからないうちに、男はモリーに近づき、しっかりと抱きしめていた。あまりにもたくましく男らしい体に、モリーは自分が女であることを感じないわけにはいかなかった。彼は新鮮な空気と風の匂いがした。抵抗しようとして胸を押し返したものの、そのときにはもう彼の強い鼓動や肌を覆う胸毛のちくちくした痛みが感じられていた。
 彼は正真正銘の男だわ。それだけは確か。弱々しくモリーは認めた。
 モリーが自分でも予期しなかったちぐはぐな思いを振り払おうとしている間にも、彼の片手は彼女をしっかりと抱いたまま、もう片方の手はキスするのにちょうどいい角度に顔を仰向かせようとしていた。彼があまりにもあっさりとすべてをやってのけたので、唇が触れる瞬間モリーは、彼はかなり練習を積んでいるに違いないと思わずにはいられなかった。
 まるで彼女の心を読んだかのように、唇を離さないまま、彼はささやいた。「前に村の芝居で悪役をさせられたことがあってね」
「演技の必要なんかなかったでしょうね」歯を食いしばってモリーはどうにか言い返したが、しっかりと唇を押しつけられてしまい、それ以上何も言うことができなかったし、そうするのはとても危険に思われた。今でさえこんなに、こんなに激しいのに、唇を開こうなんてしたら、そうしたら、きっと……。
「ああ……」彼が唇を強く押し当てると、モリーは気が遠くなったようになって、かすかな喜びの声をあげた。唇、体、五感のすべてが、甘美な感覚に圧倒されて、うれしげに反応している。「ああ……」
「ああ……?」
 モリーは恥ずかしくなった。男は彼女の出した声をまねしているだけだとわかったからだ。キスの喜びを分かち合っているわけではなく、実際は彼女が何を言っているのかきき返しているだけなのだ。
 すぐさま、モリーは唇を離した。いや違う、キスをしていたのは私のほうではなかったはずだ。彼女はしっかりしようとして、キスでゆるんだ唇をきゅっと閉じ、誘うような温かい息づかいも、唇に触れた彼の唇のじらすような優しい動きも思いだすまいとした。考えてはだめ。相手は女をその気にさせる方法を知りすぎている。エロチックな気分に支配されて、私は女として本能的に自然に反応してしまっただけ。それはしごく単純で当然のこと、それだけのことだ。
 彼女が押しやると彼はそのままもう近づこうとはしなかった。急に寒けがしたが、がっかりしているのではないと強く自分に言い聞かせる。
「どうして……?」モリーは震える声を出した。
「ひどいわ。離して!」男はすぐ彼女の代わりに先を続けた。
 モリーは彼をにらんだ。今や彼にからかわれていることははっきりしていた。
「なんの権利があってこんなことするの?」モリーは怒って言った。もう二人の間は離れているので、五感が揺さぶられるようなさっきまでの危険は少なくなった。こんなありさまで人物をクローズアップして批評する仕事など、できるのだろうか。いや、私は本能に引きずられて判断を誤るような女ではない。いくら彼がキスが得意だからといって、あんなに私をとかしてしまうようなキスができるからといって……。
「そう? たった今僕の初夜権を認めたくせに」
 彼は笑っていた。モリーにはわかった。これは男の好きなたぐいの冗談で、私はからかわれているのだ。そう思うと本気で腹が立ってきた。
「たった今あなたがしたことは性的暴行だっていうことはわかりますよね」熱くなってまくし立て始めたが、かっかとしすぎて話が変になってしまった。
「だから君は僕の腕にしがみついて爪の跡を残したわけ?」
 爪跡。当惑する気持ちとかっとなって言い返したい気持ちが混じって、モリーは目を大きく見開いた。
「私はそんな……」
 彼女は言いかけたが、彼がシャツの袖をまくりあげるのを見て黙ってしまった。
「そこをどいてください」別のほうから攻めてみることにする。「それでなくてもローソン夫人との約束には遅れているのに」
「パットなら大丈夫」彼は気軽に請け合った。「孫の面倒を見るので忙しいだろうから」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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