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シンデレラの出自

シンデレラの出自


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

 彼に話すしかない――ロージーは重い気分で決意した。私は妊娠している。相手は清掃の仕事で行った先の社員、アレックス。生まれて初めて味わった、めくるめくような夜の結果だった。でも、あれっきり、アレックスは姿を現さなくなった……。ロージーは彼が勤める企業を訪れ、受付で面会を求めた。すると、そういう名の社員はいないと言われ途方にくれるが、しばらくして、どういうわけか重役室へ案内された。そこにいたのはアレックス! いえ、アレクシウス・スタブローラキス。この企業の経営者。なぜ、身分を偽ってまで私に近づいたの? やがて彼の口から、ロージーの出自に関する信じられない話が語られた。

 ■L・グレアムの最新作。天涯孤独のロージーの初恋は、権力と繊細さをあわせ持つギリシア人実業家との出会いで始まりました。亡き養母の看病に忙しく、男性とかかわる機会もなかった無垢な彼女が、翻弄されながらも心に秘めた情熱を熱く燃やす極上ロマンスです!

抄録

「お母さんは?」
「十六のときに亡くなったわ。糖尿病だったのに治そうとしなくて、心臓発作を起こしたの。身寄りは誰もいないわ。あなたは?」なぜそんなことをきくのだろうと思ったが、関心を持ってくれたことがうれしくもあった。
「両親は十年前に交通事故で亡くなった。僕は一人っ子だから、遠い親戚が二人ほどいるだけだ。でも天涯孤独のほうがいいと思っている」
 ロージーは不思議そうに眉を寄せた。「なぜ?」
「家族は厄介な問題を持ちこむものさ」彼はそう言うと固く唇を結んだ。
 それはそうだろう、と母のことを思ってロージーは考えた。あれだけ母にいやな思いをさせられても、ロージーは身寄りのないことを喜べなかったが、アレックスの表情は、彼が血縁関係を嫌っていることを物語っていた。「でも家族って、喜びや安心をもたらすものでもあるわ。力がもらえたり、慰められたりすることもある。養父母の家で、そう感じたわ。だから私は自分の家族を持ちたいの」ためらうことなくロージーは言った。
「それでギリシア語を習おうと思ったのか?」
「まさか。私の知るかぎり、ギリシアに親戚はいないもの。でもギリシア人の血が混じっていたら、言葉も簡単に覚えられるんじゃないかと思ったの」ロージーは顔をしかめ、自嘲するように笑った。「大きな間違いだってわかったけど」
 アレクシウスはそんな彼女をじっと見つめていた。なぜこの小さな顔に、こんなにまでひきつけられるのかわからない。表情豊かな瞳とそこに宿る穏やかな悲しみのせいだろうか? 繊細な骨格のせいだろうか? ロージーが笑うと顔がぱっと明るくなり、胸が締めつけられるような気持ちになった。一緒にいるととても自然で、リラックスできるが、こんな女性は初めてだった。家族の話が出たら、堂々と彼の意見に反論したし、恐れる様子もなくきちんと持論を述べた。アレクシウスが普段付き合っている連中は、男女を問わず彼にひたすら同意し、洞察力や知性をほめたたえることしかしない。ロージーはデザートをスプーンで少しずつすくって、大切そうに味わい、時折唇をなめながら口に運んでいる。ふっくらした柔らかな唇を見ていると急に欲望がこみあげてきてアレクシウスは驚いた。彼女は僕をからかいたくてわざとしているのだろうか。それとも無心を装って、気をひこうとしているのだろうか。
 急に二人を沈黙が支配した。ロージーはアレックスに見つめられているのを意識せずにはいられなかった。それと同時に自分の呼吸の一つ一つや、いつもは存在さえ忘れている下腹部のあたりが脈打つような感覚が、生々しく意識にのぼってくる。電気ショックのような緊張で体を動かすこともままならないが、体の芯に巣くった熱はどんどん増してくる。ロージーは黙って彼を見つめ返した。これが欲望というものだ、とわかったが、自分がそんなものを感じていることが信じがたかった。以前にも一度男性に対してこんな気持ちを感じたことがある。あのときは十六で、相手は寝室に張ったポスターの中のロックスターだった。アレックス・コロボスがはらんでいる危険は、あれとは比べようもない。
「そろそろ帰らないと。ごちそうさまでした」自分では制御しかねる感情や反応を持て余したロージーは、そう言ってその場から逃れようとした。自分の中に危険で、愚かしいものがあることがわかる。もしかしたら自分には思っている以上に母の血が流れているのではないかというひそかな恐怖が、ロージーにはつねにつきまとっていた。ジェニー・グレーはすぐに男に夢中になり、だまされ、ベッドをともにし、捨てられていた。母はいつも苦しい人間関係の混沌とした渦に巻きこまれ、もっといいものをと求めては失敗し、それでも新しい男が現れるたびに希望をつなぎ続けていた。
 アレックスはぱっと立ちあがってロージーの手からコートを取り、着せかけてくれた。「こんなふうにしてもらうことに慣れていないから」ロージーはそう言いながら顔を赤くした。「ここでいいわ。家は三軒先だから」通りに出ると彼女は言った。
 アレクシウスは何も言わずについてきた。傷だらけの玄関のドアの鍵を開けようとしていると、急に手が伸びてロージーの腕を押さえた。振り返るとあの銀色の瞳があった。ロージーの鼓動は速まり、喉が締めつけられて息がつまりそうだった。
 彼の手が伸び、髪に差しこまれた。黒い髪の頭が下りてきて――彼にはそうするのに長い時間がかかったように思えた――ロージーの唇をとらえた。たった一度なのにその甘いキスは、まるで強力なブランデーのようにアレクシウスを酔わせた。彼はロージーの細い体を床から抱えあげるようにして、もう一度唇を重ねた。こんなに強烈に女性が欲しいと思ったのは生まれて初めてだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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