マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

キスはあなたと

キスはあなたと


発行: ハーレクイン
レーベル: ハーレクイン・ロマンス シリーズ: キスはあなたと
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 サラ・クレイヴン(Sara Craven)
 イングランド南西部サウス・デボン生まれ。海辺の家で本に囲まれて育った。グラマースクール卒業後は、地元のジャーナリストとして、フラワーショーから殺人事件まで、あらゆる分野の記事を手がける。ロマンス小説を書き始めたのは一九七五年から。執筆のほかには、映画、音楽、料理、おいしいレストランの食べ歩きなどに情熱を傾けている。サマセット在住。

解説

 ルーは父の再婚相手である義母と、義理の妹とともに暮らしている。愛のない家族に、家政婦のように家事のいっさいを任せられる毎日。そんな日々も、恋人のデイビッドと結婚すれば終わりを告げるはずだ。ある日、妹と父の会社の取引相手との間に突然婚約話が持ち上がり、急遽祝賀会が開かれることになる。だがその翌朝、妹は置き手紙を残して家を出た。「彼女は一人ではないんだ」手紙を手に茫然とするルーは、男性の声に振り向いた。アレックス――妹の婚約者だった男性。いったいどういうこと? もしかして……デイビッドが?

 ■ハーレクイン・ロマンスのベテラン作家サラ・クレイヴンが、とてもキュートな恋物語をお届けします。恋人と幸せな家庭を築くことを夢見ていたヒロインのルー。ところが彼に裏切られ、妹の婚約者だった男性からの思わぬ提案を受け入れてしまいますが……。

抄録

 お湯を張り、バスオイルを垂らしながら、いちばん厄介なのはアレックスのお祖母さんをだますことではない、とルーは考えた。難問は、彼と同じ家で生活し、彼が部屋に入ってきても飛び上がったりせず、近づいても平気な顔をしていることだ。彼が近くにいても平然としていられるための特訓コースがあったらいいのに。彼は少しも動じないようだけれど、そうよね。女には慣れているのだから。なんとなく心が痛んでルーは顔をしかめた。
 香りのいいバスにゆったり浸かると心の葛藤を一時忘れることができた。いつか今が過去になる時が来るとルーは自分に言って聞かせた。早くその時が来てくれたらいいけれど。
 分厚いふかふかのタオルで体を拭き、ボディローションをつけてから持ってきたストラップつきのシンプルな白いナイトドレスに着替える。
 花嫁のようだわ――鏡を見てルーは考えた。赤いフランネルのパジャマでもあればよかった。
 リラックスはしたが眠くないので、枕に寄りかかって本を手にしたが、読んでも筋は少しも頭に入らず、何度も初めに戻らなければならなかった。
 二章目に入った時、ノックの音が聞こえたような気がした。本が手から滑り落ちた。
「誰なの?」
「ほかに誰がいる?」いらだった声を聞いてルーは少しほっとした。「いいかな?」
「もうベッドに入っているの」
「そう? 寝室で? 珍しい。ぜひ見なくては」
 ドアが開き、盆にマグとビスケットの皿を乗せたアレックスが入ってきた。
「いったい何事?」
「ココアが好きだと言うから君のために頼んだ」
「まあ」ルーは舌先で乾いた唇をなめた。「それは……ありがとう」
「そうそうあることではないから、楽しんでくれ。昼が早かったし、おなかがすいて眠れないかと思って」
「え、ええ」
「このベッドの寝心地はどう? 僕は使ったことがないからね」彼はベッドの端に腰かけた。
 ルーは不安になり、じりじりと体をずらした。
「大丈夫。ここで寝るつもりはないから。どうしてもと言うなら別だが君がそう言うはずはないし。だから安心していいよ」
「心配してなんかいないわ。あなたはばかなまねをして取引を棒に振ったりしない人だと思うから」
「そうだけれど、契約に調印したいとは思うね」彼は軽く、でも官能的にルーの唇にキスをした。
 身を震わせて飛びのき、悲鳴をあげて彼の顔を引っかきたかったが、そんなことをしたら動揺したことをばらすのと同じだ。絶対に彼にそれを悟られたくないので、ルーは必死にその場にとどまり、じっとしたままキスを受けた。
 唇が離れ、緑の瞳が問いかけるように注がれると、ルーはクールに冷笑を込めて言った。「私のことを、今のうちにどんなだか確かめたつもり?」
「そうだよ。思っていたとおり氷みたいに冷たかった。君の望みどおりにね」
「それを聞いてうれしいわ。これからはあなたも私に近づいたりしないだろうから」ルーは振り向いて枕を直した。「そろそろプライバシーを返して」
 彼の視線が鋭くなったのを見て初めて、動いた拍子にナイトドレスの紐が肩から滑り落ち、胸の上部がむき出しになっていたことにルーは気づいた。
 アレックスは舌打ちをして身をかがめ、紐を肩に戻してくれたが、そのついでにわざとらしくルーの肌の匂いを吸い込んだ。
「気をつけないと誘惑していると誤解するよ」彼はそのまま出ていきかけ、戸口で振り向いた。「ココアを飲むんだよ」

 もう少しでココアのマグを彼に投げつけようとしていたルーは、やっと自制心を取り戻した。こうなることは予想できたのだから、とにかくクールに振る舞わなくては。キスも、肌に触れた指先の感触も無視しなくては。
 だがルーの鼓動はひどく速くなっていた――いいえ、平気よ。彼にも何も悟られなかったはず。アレックスのように恋愛慣れした人に少しでも弱みを見せたら、狙われるに決まっている。獲物を狙う動物のように襲いかかってくるわ。
 でも彼は、いつかは私を抱く気でいる。そんなことはしないと言ったけれど、それは“もしかして”ではなく“いつ”という問題だ。時間と、二人の距離の近さがその時を決めるのだろう。指輪がはめられ、私が血を騒がせる熱いものに押し流されたら、きっと彼に抵抗する理由を見失ってしまう。
 どこかさめた思いで、ルーはアレックスが自分に対して及ぼす力を自覚していた。彼の持つパワーに、私は会った時からなんとなく気づいていた気がする。それを認め、恐れていたような……。
 正直なことを言えば、彼のキスは既にルーの心を侵略していた。キスされたとたん、彼を求める思いが鋭く胸を刺した。あのまま彼の首に腕を回して引き寄せるのは簡単だった――でもそれをしたらおしまいだわ、とルーは身震いした。
 私が抵抗できない力を彼が持っているのなら、なおさら関心を持たず、石のようになっていなければ。絶対に彼を半径一メートル以内に近づけないわ。そして甘やかされた自信家の彼に失敗というものを経験させてあげる。女は誰でも手に入ると思っている彼にショックを味わわせてあげるわ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。