マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ロマンス

ボスにご用心

ボスにご用心


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 サンドラ・ポール(Sandra Paul)
 高校時代の恋人と結婚し、三人の子供と犬と猫とともに南カリフォルニアに暮らす。街の書店に出かける一カ月に数回の旅も含め、旅行が大好き。シルエット・ロマンスから初めて刊行された彼女の作品はアメリカロマンス作家協会ゴールデンハート賞を受賞、RITA賞の最終候補にも残った。

解説

 三カ月前、やむをえない事情でニコラスの秘書になってから、プルーデンスはずっと彼にいらいらさせられていた。傲慢で威圧的でありながらも、たまらなく魅力的なニコラスは、かつてプルーデンスの最愛の恋人だった――ささいな喧嘩が原因で彼が町を出ていってしまうまでは。あれから七年がすぎ、再び町に戻ってきたニコラスは、過去のいさかいなどなかったかのようにプルーデンスを誘惑する。私をおいて出ていったくせに、勝手にもほどがあるわ! プルーデンスは頑なにニコラスを拒絶するが、予想外のトラブルが起きて婚約者同士を演じることになり……。

抄録

 ニコラスはプルーデンスを見つめて考えていた。早いところこの会場から彼女を連れ出し、ヘプズィバに頼んで寝かせてやったほうがいいだろうか。彼女は思いがけない行動に出て、おばの作った調合薬を一気に飲みほしてみせたが、どうやらその効果ですっかり色っぽい気分になってしまったらしい。
 プルーデンスはほほえみ、ためらいがちに誘うようなけぶった目でささやいた。「もうすぐまた明かりが消えるわ……最後のキスよ」
「ああ、わかってる」
 プルーデンスがはにかむようにまばたきしてニコラスを見あげると、気まぐれにカールした髪が眉と目にかかった。思わずその髪をそっとなでつけたニコラスの指がやわらかな髪の間を通る。愛撫をせがむ子猫のように彼の手のひらに頭を押しあてるプルーデンスに、彼の口元はゆがんだ。やはり彼女は酔っ払っているのだ。この町に戻ってきてから、一度として触れさせようとはしなかったのに。
 酔っているという証拠に彼女はニコラスの体に両腕を巻きつけた。「あなたと踊るのは好きよ」ささやくプルーデンスの唇が彼の首筋をかすめる。「覚えてる? 初めて二人でダンスしたときのことを」
 ああ、覚えている。十年前、ヘプズィバのパーティでのことだ。ヘプズィバの姪が両親を亡くしておばのもとへ身を寄せたという噂はずいぶん前に耳にしていた。コルドロンのような町では何も秘密にはしておけない。だが実際にプルーデンスに会ったのはそのパーティが初めてだった。手足ばかりひょろ長い体に、誘惑的なサイドのスリットを除けば今夜と同じようなドレスを着た彼女は、まるで子供が大人の服をいたずらで着ているふうに見えた。
 だが彼女の表情には、子供っぽさなどみじんも見えなかった。彼女の暗い目とニコラスの目が合った瞬間、二人はたちまち互いを意識し合い、それまで一度も感じたことのない、そしてそれ以降もほかの誰にも感じなかったような感覚を覚えたのだった。
 それでもまだ、プルーデンスにダンスを申し込むつもりはなかった。当時はニコラスもダンスが不得意だったし、いくら親近感を覚えたとはいえ、その年ごろで三つ違いはかなりの年齢差に思えた。だがその瞬間“魅惑の時間”で照明が消え、いつの間にかプルーデンスは彼の腕の中にいた。
「あのときは驚いたわ、あなたが私を選んでくれて」思い出すようにプルーデンスが言う。
 ニコラスは彼女の額に顎を預けた。「わかってる。照明がついたとき、呆然とした顔をしていたな」
「あなたは自信たっぷりだったわ」
「君はすごくびくついていた」
「違うわ」プルーデンスがかぶりを振り、やわらかな髪がニコラスの唇をかすめた。「ほかの人の前では恥ずかしくてぎこちなくなってしまうのに、あなたといるとなんだか……この人だ、という気がしたの」彼女はささやくように言い添えた。「あなたがコルドロンを出ていったあとは、もう二度と午前零時までパーティ会場に残ることはなくなったわ」
 ニコラスはしばらく何も言わず、ただ踊っていた。彼も同じ気持ちだった。だからこそプルーデンスが十九歳になったとき結婚を申し込み、彼女もすぐ受け入れてくれたのだ。
 だが婚約は、一週間後に破れた。
 その記憶にニコラスは落ち着きなく身じろぎし、顎をこわばらせた。不意に、こうしてプルーデンスを抱いているのが喜びであるのと同時に苦痛になってくる。彼女がほしい。だがこんな状態につけ込みたくはない。今彼がすべきことは、彼女をおばのもとへ送り届け、ゆっくり眠らせてやることだ。
 プルーデンスがささやいた。「ほら、ヘッピーがもう一度電気を消すわよ」
 ニコラスは顔をそちらへ向けた。確かにヘプズィバがスイッチのほうへ向かっている。ニコラスは腕の力をゆるめた。ヘプズィバのほうへ歩き出そうとしたとき、エドマンドがつかつかとこちらへ近づいてくるのが目に入った。
 腕の中で体をかたくするプルーデンスをニコラスはもう一度見おろした。彼女もエドマンドに気づいたらしい。やわらかな笑みが消え、顔には罪悪感が浮かんでいる。
 許さないぞ、僕の腕の中で罪悪感を覚えるなんて! 急に怒りが込みあげ、ニコラスの腕に本能的に力がこもった。プルーデンスはあらがい、彼の胸板をそっと押し返した。
 それが彼女の運命を決定づけた。当時彼女があれほど素直でなければ、彼女の唇の味がまだ残っていなければ、ニコラスの行動も違ったものになっていたかもしれない。だが、不意に彼は悟った。やはり今夜はプルーデンスを離すわけにはいかない。まして、ほかの男の手に渡すわけにはいかないのだ。
 ニコラスはプルーデンスの腫れた唇に激しく唇を押しつけた。呆然とするプルーデンスにもう一度、今度は彼女がうっとりと情熱に酔いしれるほど長く深いキスをする。「僕と一緒においで」彼はささやいた。
 プルーデンスがかすかにうなずいた。それだけで充分だった。照明が消えた。ニコラスはくるりと向きを変え、プルーデンスをさらってエドマンドの目の前を通りすぎ、ドアの外へと出ていった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。